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1985 Vol.4~ザ・スミス

今回はラフ・トレード・レーベルを代表するバンド、ザ・スミス(THE SMITHS)です。1985年といえば、もちろんコレ。

「肉喰うな!」

いや、これ邦題じゃなくてキャッチコピーですけどね。同じ徳間ジャパンのINUの「メシ喰うな」のパロディでしょうか。

ミュージック・マガジンにも当時の広告がありました。

「肉喰うな!自分を喰ってみろ!」

すごいインパクトです。「現生の存在形態を問う」っていうのも何だかよくわかりませんが。

スミスのサウンドに関しては80年代臭というのはあまり感じません。アメリカでは当時ペイズリー・アンダーグラウンドというか、60年代のバーズあたりに影響されたようなフォーク・ロック・サウンドも流行りつつありましたが、でもそういうのとも何か違うんですよね。経済的にもドン底だった当時のイギリスの暗さがジャケの雰囲気からも漂っています。演奏は硬く緊張感があり、60年代ガレージロックというより、完全にパンク以後のサウンドです。

浮かれた80年代に冷水を浴びせるような白けた歌詞も、鬱屈した青春時代に聴いているとたまらないものがありましたね。僕は日本盤LPを買っていたので歌詞対訳を見ながらスミスをよく聴いてました。

当時の徳間ジャパンの歌詞カードは古いタイプライターで打ったような荒っぽいフォントだったんですが、それがまた強烈なインディー臭が漂ってて好きでしたね。モリッシーの起伏に乏しいメロディと一本調子のボーカルは正直好みの別れるところでしょう。でもハマるとクセになっちゃうんですよねぇ、この声が。

でも、やっぱり好きなのはジョニー・マーのギターかな。ジョニ・ミッチェルに影響を受けたというオープニング曲の変則チューニングからして本当にカッコいい。所々さりげなく不思議な分数コードを使っているのも驚きです。意識的なのか無意識なのかはよくわかりませんが、この独特のコードの響きが結果的に他の多くのネオアコやギター・ポップとの明確な違いを作っているように思えてなりません。

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