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わたしの好きなライブアルバム その3

●渡辺香津美 / KYLYN LIVE

1979年発表の日本のフュージョンを代表する傑作アルバム。このアルバムは小学生の頃に買ったアルバムでもあるので、とても思い入れが深いです。渡辺香津美をリーダーに、坂本龍一、矢野顕子、村上"ポンタ"秀一 、小原礼、PECKER、向井滋春、清水靖晃 、本多俊之と、その後の日本のフュージョンの全てが詰まってると言ってもいいほどの超豪華メンバー。個人的にはオープニングの「インナーウィンド」が大好きで、ちょっとカンタベリー系のジャズロックにも通じるものがあって惹かれます。前半はクロスオーバー寄りでメンバーのソロをたっぷり聴かせる感じですが、後半はジノ・ヴァネリのカバーやYMOでもおなじみの「在広東少年」を矢野顕子が弾けた感じで歌うのも意外性があって、最後まで飽きさせません。この赤いジャケも好きですし、もう日本のフュージョン系で最も好きなアルバムかも。


●MOSE ALLISON / MOSE ALIVE!

モーズ・アリソンを最初に知ったのは海外から出ている様々なソウル〜ジャズ系のコンピレーションから。その脱力したようなクールな歌声とスウィングするピアノは、まさに理想的なヒップスターそのもの。「この人いったい誰なんだろう...、あぁザ・フーのヤングマン・ブルースのオリジナルはこの人だったんだ!」とか少しつづ知りながらも、情報も少ないまま、いつくかのアルバムを入手。中でもこのライブ盤が好きです。ピアノを弾いて歌いながら本人が「ア、ア、ア、ア、ア...」とか声にならないような声でフェイクを入れてくるのが、まぁちょっと変態っぽくて、気持ち悪いけど癖になりますね。この危ないオッサン風味がいいんですよ。


●GIL SCOTT-HERON AND BRIAN JACKSON / IT'S YOUR WORLD

ギル・スコット・ヘロンの76年のアルバム。このアルバムは90年代初頭にオリジナルラヴの田島貴男さんがテレビ番組で紹介していて、欲しいな〜と思っていたところ日本でCD化されて即入手。アナログA面はスタジオ録音で、今回の趣旨とは違いますが、ここに入ってるタイトル曲がまずカッコいい。これを最初に聴いた時は「あぁジャミロクワイじゃん!」と身も蓋もないことを思ったものです。その後のライブ演奏はバンドメンバーの息遣いが聴こえてきそうなほど生々しい録音。ジャズとソウルが絶妙にブレンドされたオリジナル曲は官能的でありながら、歌詞はシリアスなメッセージ性を含んでいて思慮深いのが彼の音楽の魅力だと思います。後半の「ザ・ボトル」の盛り上がりなど、まさにライブ盤ならではの迫力です。


●MILTON NASCIMENTO/ MILAGRE DOS PEIXES - GRAVADO AO VIVO

ミルトン・ナシメントの74年のライブアルバム。演奏しているのはヴァギネル・チゾ率いるソン・イマジナリオです。前年に発表された「MILAGRE DOS PEIXES」はミルトンの声を生かした実験的なアルバムでしたが、このアルバムもミルトン史上最もプログレッシヴじゃないかと思えるオーケストレーションを生かしたスケールの大きな楽曲が多いのが特徴です。ミルトンというと、温かみのあるホノボノとしたものを想像する人も多いかと思いますが、そうした部分もあるにせよ、それだけにとどまらない、なんだかよくわからない殺気や狂気さえ感じるほどの雰囲気がここにはあり、ミルトンの歌声もテンションが異常に高く、聴くたびに震えます。


●SS / SS LIVE!

SSは京都を中心に活動した関西最初のハードコアパンクバンドで、ここには79年の彼らのライブ演奏が収録されてます。初めて聴いたのは84年にアルケミーレコードから出た透明ヴィニールの自主制作盤(500枚限定だったらしい)でしたが、カセット録音の粗悪な音質など気にならないくらいの凄まじいテンポの早いハードコアな楽曲群に、これが70年代末期に録音されたものとは俄かには信じ難いものでした。SSのメンバーの名言に「ラモーンズ?あいつら遅いもんなぁ(笑)」というのがあるくらいで。少林寺拳法でも習っているかのような坊主頭のメンバー四人の写真もワケがわからない迫力があって必見です。よくよく聴くとそれがフィンガー5の曲だったりするというのも関西のバンドらしいユーモアがあって好きです。

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