2016.2.6 今宵に名前をつけるなら 冬-1

このnoteは2016年2~11月に全4回にわたって行われた朗読イベント、「今宵に名前をつけるなら」の皆勤レポです。私は普段は文章を書く人間ではないので、ほとんど覚え書きか日記のような稚拙な文章になること、ご了承ください。

最初は「短歌が好き」というより「穂村弘が好き」だった私が、ほかの歌人に手を出すきっかけとなった本が、安福望さん『食器と食パンとペン』であり、彼女が装丁を手がけた岡野大嗣さん歌集『サイレンと犀』でした。2015年11月ごろの出来事です。その後2015年末に神戸大学短歌会に入ることになるのですが、本筋とは関係ないので割愛します。

2016年1月、岡野さんが朗読をするという情報に釣られて、「今宵に名前をつけるなら」(以下「こよなま」※なお池田さん曰く公式略称は「今宵」だそうです)のイベントに首を突っ込むことに決めました。当時バイトを休みがちで金欠だった私にとって1イベント参加に2500円はかなりのハードルだったのですが、それも気にならないくらい、短歌を始めたばかりに私にとって「あこがれの歌人に会う」というのは魅力的でした。わー岡野さんだー、わくわく、サインもらおー。

会場は大阪堂島の「UMLAUT(ウムラウト)」。ダンサー・振付家の高野裕子さんと、写真・フード・舞台美術担当の高橋拓人さんのアトリエです。同ビル下階に書籍と雑貨のお店「本は人生のおやつです!」もあり、開場までにゆったり本を見繕って過ごすこともできました。

そしてはじまった朗読会。
最初に池田彩乃さんの詩の朗読にあわせて、高野裕子さんが踊ります。

夜は

あなたがねむるまで

夜は

どんな名前で呼ばれても返事をするんだそうだ

夜は

あなたが名づける今日のこの夜は

(池田彩乃「今宵に名前をつけるなら」より一部引用)

池田さんの朗読は、わざとらしい抑揚がなく、むしろどちらかというと淡々とした印象で、聞いている者にすっと判断を委ねるような声で読まれていました。そこに高野さんの踊りが加わることで、外の雑音が微かに聞こえるちいさなアトリエの空気がピーンと緊張して、私にとって初めての経験であり、朗読の世界に引き込まれるきっかけとなったのでした。

つづく


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