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アニメ・映画・漫画・美術館・宝塚歌劇団についてレビューします。

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最近の記事

見た人向け!『君たちはどう生きるか』宮崎駿の反省と我々への問いとは何か。考察の突破口に向けて② ーキャラ&ストーリー編

こんにちは! 昨日は『君たちはどう生きるか』について、主に作中の時代背景と塔、積み石などのモチーフを客観的に関連付けて考察してみました! 今日はもう一歩抽象度を上げて、キャラやストーリに対するメタ考察も記していこうと思います。 例えば「アオサギって明らかに鈴木敏夫だよね笑」「やっぱり宮崎駿ってマザコンだよね笑」みたいな感じで、作品は作家の心象の表れである、という立場で物事を考えていきますね。 大叔父さん=宮崎駿説について チラッとネットを見たところ、大叔父さん=宮崎

    • 見た人向け!『君たちはどう生きるか』宮崎駿の反省と我々への問いとは何か。考察の突破口に向けて①ー時代考証・モチーフの役割分析

      こんばんは!本日公開の『君たちはどう生きるか』皆さんはどうでしたか? 今作は鈴木敏夫Pによる番宣ゼロ戦略などもありSNSでは感想を発信しにくい感じになっていますが、本記事では既に見た人向けとして個人的に感想や関心のあるポイントをまとめていきたいと思います。 今回は主に作品の時代背景と作中のモチーフをリンクさせ、物語のテーマを洗い出すような内容になっております。 どちらかと言うと作品の建前や客観的なテーマ分析というハード面の考察で、キャラクターや物語といったソフト面の分析

      • アート論×行政論として考える鳥取県ウォーホル作品「3億円」問題

         鳥取県が新しく開館する県立美術館に展示する作品を蒐集するなかで、アンディ・ウォーホルのブリロという“ただの箱“を3億円で購入したことが物議をかもしているらしい。  県民からは「憤りに近いものを感じていると述べさせていただきます」 「ウォーホルを知らない人が多いというのは鳥取県が美術振興をサボってきたツケだと思います」などなど、様々な意見が飛び交っているそうだ。  個人的な意見としては「別にいいんじゃない?」程度なんだけど、住民の意見を見ているとこれぞまさに現代アート論w

        • 七海麻美に捧げる『かのかり』社会論①ー「七海麻美の悪と近代の幻想」

            オレは、麻美を近代から救済するッッッ!!!!!  今回はシリーズで『彼女、お借りします』のヒロイン、七海麻美を全力で擁護するために、麻美ちゃんの過去を中心に考察していきます。  七海麻美は『彼女、お借りします』(以下、かのかり)において主人公の元カノとして登場し、ヒロインの千鶴に凶悪なチャチャを入れるなどして悪役として活躍。  それが故にクズ、性悪オンナなどと言われる七海麻美ちゃん…  しかし、彼女の悲惨な生い立ちを整理し、彼女の「悪」の源泉を辿ると、そこには戦後

        見た人向け!『君たちはどう生きるか』宮崎駿の反省と我々への問いとは何か。考察の突破口に向けて② ーキャラ&ストーリー編

        • 見た人向け!『君たちはどう生きるか』宮崎駿の反省と我々への問いとは何か。考察の突破口に向けて①ー時代考証・モチーフの役割分析

        • アート論×行政論として考える鳥取県ウォーホル作品「3億円」問題

        • 七海麻美に捧げる『かのかり』社会論①ー「七海麻美の悪と近代の幻想」

          宝塚雪組公演『夢介千両土産』『Sensational!!』レビュー

           当たりました一階ニ列目席!(実質最前席!) というわけで、千穐楽前日の雪組公演にお邪魔してきたんですが久しぶりの最前列めちゃくちゃ緊張しました組子さんと目会っちゃった時どうしようとかいい年したおっさんが乙女になってしましましましま。  さて、いつもは脚本とか演出について書きがちなのですが、今回は彩風咲奈さんを始めとする演者さんに関する感想記事とします!  ・彩風咲奈  いやぁ〜すごく良かったですね!  牛のようにぼーっとした夢介役、非常に上手くこなされていまし

          宝塚雪組公演『夢介千両土産』『Sensational!!』レビュー

          宝塚月組公演『今夜、ロマンス劇場で』原作比較レビュー

          先日、千穐楽前日に月組の『今夜、ロマンス劇場で』を観劇してきたのでそのレビューを書いていこうと思います。 結論から言うとめちゃくちゃ良かったですね、ラストシーンは涙でオペラグラスが見えない笑 宝塚、たまに泣いちゃいますけど、「泣いちゃったなぁ」という実感が伴って泣いたのは早霧さんの『星逢い一夜』だったかもしれません。 役者の演技面も月城かなとの2枚目健司、海乃美月の令和製オードリー・ヘップバーンかと思わせるようなヒロイン美雪、鳳月杏の大俳優役の快演、専科顔負けの光月るう

          宝塚月組公演『今夜、ロマンス劇場で』原作比較レビュー

          里見菜穂子と綾波レイについて。

          今回は里見菜穂子と綾波レイについて書きたいと思う。 里見菜穂子と綾波レイについて書くということは、それぞれがヒロインを務める『風立ちぬ』と『新世紀エヴァンゲリオン』について書くことであり、即ち宮崎駿と庵野秀明について書くということである。さらに言えば、それは堀越二郎と碇シンジについて書くことに等しいとも言えるが、それは別の機会に譲る。 また、今回取り上げる綾波レイとは基本的に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のアヤナミレイ(そっくりさん)を指すものとする。 里見菜穂子と綾

          里見菜穂子と綾波レイについて。

          シンエヴァのなり損ない『マトリックス・レザレクション』解説&感想

          今日はマトリックスの新作『マトリックス・レザレクション』見てきました。 個人的な結論をいうと、続編があるなら「エクセレント!」、ないなら「壮大なゴミ」といったところ。 今のところウォシャウスキー監督(姉)が続編の制作を否定しているようなので、「壮大なゴミ」作品かな…。 一方で、ワーナーは続編を熱烈コールしているようなので、可能性がないとも言えませんが。 以下、ネタバレ前提で解説していきます。 (前半、シンエヴァと比較しながら話していきますが、当然、本作がシンエヴァを

          シンエヴァのなり損ない『マトリックス・レザレクション』解説&感想

          『庵野秀明展』に行ってきた

          国立新美術館で開催中の『庵野秀明展』に行ってきた。 本展は庵野秀明の足跡を「庵野秀明を作ったもの」「庵野秀明が作ったもの」「これから庵野秀明が作るもの」の三部構成で辿れるようになっており、ひと言で言えば「庵野秀明記念博物館」といった様相を呈していた。 その一方で、作家としての庵野秀明とは基本的に一定の距離を置いたキュレーションとなっており、あくまで作品と設定資料を中心とした展示に留めている。 個人的にはより作家性に肉薄するような手稿や作品の企画書、つまり「庵野秀明が何を

          『庵野秀明展』に行ってきた

          『ルール?展』感想ーHow many rules we XXXX!

          現在、21_21design sightで開催されている空前絶後の大人気展「ルール?展」に行ってきました! 正直、最初は作品や他のお客さんの雰囲気に馴染めなくて、個人的には微妙な展示会かも…と思っていたのですが、全てを書いて振り返ってみると、ここまで感想が書けるんだからいい展示会だったのかも知れない。 『ルール?展』の会場の雰囲気 めっちゃバズってる展覧会『ルール?展』その現場はいかがなものか。 港区女子予備軍?の群れに呑まれながら参加してきました!(少し怖かった)

          『ルール?展』感想ーHow many rules we XXXX!

          無名のドールたちからの手紙、そして「あい」の意味について—『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』解説

           ※本稿は2020年に執筆したものの、長文・ネタバレ前提になったために非公開にしていました。しかし、2021年に発売されたBDを見て大変感動したので公開することにします。文字ばっかりです。  本日公開の『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、早速観てきました。  そもそもこの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は緻密な芝居やスタティックな演出手法においてTVシリーズの時から頭ひとつ抜けた作品でしたが、今回はとんでもなく感動しました。テレビシリーズでは微塵も涙腺に来なか

          無名のドールたちからの手紙、そして「あい」の意味について—『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』解説

          十和田市現代美術館に行った感想

           青森の美術館旅行2日目に訪れた十和田市現代美術館の感想を、忘れぬ前に帰りの新幹線でしたためるとする。 美術館の特徴  この美術館の最大の特徴は、美術館の周囲にアート作品で作られた公園や外壁が存在し、非常に実践的、顕在的に美術館と街の融合を果たしている一方で、館内では「一つの作品に一部屋」を与える贅沢な展示方法にあると思う。  館内作品は基本的に全て個室展示である事で作品のダイナミズムと直に触れ合うことができる一方で、ちょっと人が混雑すると騒がしくなったり集中できなくな

          十和田市現代美術館に行った感想

          シン・庵野秀明考ー「虚構」と「現実」の合板仮説を通して。

           最近、友人の誘いで3回目のシン・エヴァを見てきて大幅に意見が変わったので、友人と一緒に今一度エヴァに向かい合っている。  以前の感想はこのnoteでも書き散らしたように、暗澹たるものだった。  要約すれば「庵野結局女にまとめてもらっちゃってんじゃん!それがお前の”着地”かよ!それが大人になるって事なのかよ?」である。  結論から言うと、どうやらそう言うわけではなかったらしい。  僕は大人になった碇シンジの声が神木隆之介になっていたことに関してもひどく怒りを感じていた

          シン・庵野秀明考ー「虚構」と「現実」の合板仮説を通して。

          ふたつのマーク・マンダース展を巡ってー『マーク・マンダースの不在』と『ダブル・サイレント』

           先日、駆け込みで東京都現代美術館の『マーク・マンダースの不在』を鑑賞してきた(なんと最終日!)。  マンダースの彫刻作品は昨年、金沢21世紀美術館『ダブルサイレント』での展示が印象的だったこと、そして今回は個展ということで前回のそれとぜひ見比べてみようという気持ちで会場に足を運んだ。  『ダブルサイレント』ではボレマンスの現代的な曖昧さと矛盾に満ちたスピーチレスな世界観の中で、マンダースの根源的に人間が抱える抑圧や不完全性を訴えかける静かな語りが水紋のように調和しながら

          ふたつのマーク・マンダース展を巡ってー『マーク・マンダースの不在』と『ダブル・サイレント』

          シン・エヴァンゲリオンを認められないオタクの気持ち(ネタバレあり)

          エヴァ、見てきましたけど、 オレは認めん!!こんなエヴァンゲリオンは!! 見た後、三日三晩のたうち回っていろいろ考えましたけど、 やっぱりオレは認めん!!こんなエヴァンゲリオンは!!わかる、わかるよ、お前の言いたいことは。 でもオレは納得いかん!!こんなエヴァンゲリオンは!!畜生、こんな形で成仏を強いやがって、、、 納得いかんぞ、オレは!! ああわかるよ、確かに100点かも知れないよ、でもオレにとっては5点だよ!! オレは納得いかなさ過ぎて10年間セミロングだった

          シン・エヴァンゲリオンを認められないオタクの気持ち(ネタバレあり)

          あえての絶賛!新海誠『天気の子』を徹底レビュー!

           陽菜ちゃん可愛いンゴブヒブヒンゴイェイイェイwwww  さて、相当今更ですが、新海誠監督の『天気の子』を初鑑賞しました。  新海監督は『雲の向こう』の頃から追いかけ始めさせて頂いて、青春の  その新海監督の最新作『天気の子』ですが、周りが落ち着いたら見ようと思ってそのまま一年が経ち、さすがに見なきゃアカンでしょうということで恐る恐る見てみたら…信じられないほどの良作だったんですね。  個人的な個別の作品への思い入れは別として、文句無しの最高傑作だと思います。  今

          あえての絶賛!新海誠『天気の子』を徹底レビュー!