詩/ここに

もうずっと君の声が耳に鳴り続けるのはなくなり
君の体温がこの身体を温めることもなく
甘い言葉が心を溶かすこともない午後

君としたセックスをただ思い出している
ディティールのないぼんやりした記憶
そうなりつつあるこの時間という怖さに
舌打ちをしながら僕は考えている
君の人生にまだうまく関われなかったのかと
愚かにも
そうしていろんな手段を考えて
君に送る言葉
君に見せる写真
そういうものをひっきりなしに出し尽くしたあと
もう戻れないのだということに気がつく

もう君がいたところには戻れない

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