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2021年9月の読書まとめ

読書アプリで簡単なあらすじ・感想をまとめていますが、それに収まりきらなかったこと、そこから派生して考えたこと・実践してみたことをまとめてみました!今月はこの3冊です!

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」で労働を考える

「AIによって仕事が奪われる」というフレーズをよく聞きますが、実際にはすべての仕事が奪われるわけではなく、AIに代替可能な仕事だけが奪われそれ以外はまだ人の手で行われます。本書でAIにできるのは、論理・確率・統計で導き出せることとあります。そこから外れる仕事はまだ人の手でやらなければならないということです。

人口が減少している日本では、むしろAIが一部の仕事をやってくれた方が本当に必要なところに人員を割けるので都合が良い気がします。なのに、どうしてAIに仕事を奪われることがこんなに危機感を持って伝えられているのでしょうか?働き方を変えるのがめんどくさい人たちが声をあげているだけなのでしょうか?

今回と同じように、人の仕事が奪われた前例として本書ではベルトコンベアの導入について触れられています。

ベルトコンベアの導入で工場がオートメーション化される一方、事務作業が増えホワイトカラーと呼ばれる新しい労働階級が生まれました。でも、それは一度に起こったことではありません。タイムラグがありました。大学が大衆化し、ホワイトカラーが大量に生まれる前に、多くの工場労働者が仕事を失い、社会に失業者が溢れました。それが、 20 世紀初頭の世界大恐慌の遠因となりました。その時代、ホワイトカラーという新しい労働需要があったのに、なぜ失業者が溢れたのか。答は簡単です。工場労働者はホワイトカラーとして働く教育を受けておらず、新たな労働市場に吸収されなかったからです。

本書では、現在の労働力の質が進化してきたAIの労働力の質と似ており、このままでは過去の二の舞になることに警鐘を鳴らしています。それを防ぐために必要な教育が「教科書を読める」力です。

今働いている私たちがAIが台頭してきても、残っている仕事や新たに生まれた仕事に軽やかに移れるように自分をアップデートしていくことも重要ですが、数年後、数十年後に労働市場に出てくる若者たちに対して必要な教育を施していくということも同様に重要なことだと思いました。

(余談ですが、「AIにオレの仕事が奪われるんだー!!」と嘆いている人は、よほど今の仕事が好きな方なんだなとも思いました。)

「転職2.0」を読んで職務経歴書を作ってみた

ビジネスSNSリンクトインの日本代表が自身の経験や現職の知識から、これからの時代の転職について書いた一冊。転職だけでなくキャリア全般を考えるのにも有用な本だと思います。

本書では、自分の強みや実績を確認する方法として、自分のこれまでのキャリアを「ポジション」「スキル」「業種」「経験」「コンピテンシー」に分解することと書かれています。自分の職務経歴書を作りながら、これに沿って自分のキャリアを分解してみました(本書付属の別表も参考に)。

・ポジション:販売員、事務、バイヤー
・スキル:Office、データ分析、ライティング
・業種:小売、地方公務
・経験:中小企業相手、出向、短期間での異動
・コンピテンシー:情報収集、成長意欲、自己客観視、改善思考など
※コンピテンシーは、「ハイパフォーマーに共通する行動特性」などと訳される言葉であり、数値化しにくいけれども確実に認められる特性のこと。その人自身が持っている能力であり、会社の人事評価などでも重視されている要素。(本書から抜粋)

やってみてると分かるのですが、「スキル」と「コンピテンシー」を考えるのがすごく難しいですね。ポジション、業種、経験は事実としてあるのでそれを書けばよいのですが、スキル、コンピテンシーは「それをあると言っていいのか」という気持ちもあり非常に書きづらいです。今回も「ライティング」とか書いちゃいましたが、ちょっと団体の記事を書いたことがあるくらいなので、あると言っていいか微妙だと思っています。「大丈夫!そのスキル(コンピテンシー)あるよ!」という人もいれば、「それくらいであるとか言ってるんじゃねえよ!」という人もいるでしょう。日本人特有の謙虚な心がそうさせているのかもしれません。

今回の場合、私の意見としては「ありそうならあると言っちゃっていい」と思っています。スキルやコンピテンシーは相対的なものだと思います。周りがパソコンなんて全然分からないという中であれば、ワードやパワポが使えるくらいで「パソコンスキルあり」となるでしょうし、逆に周りがパソコンをガンガン使いこなしていてエクセルのマクロとかプログラミングとかやっていれば、そのレベルでは「パソコンスキル低い」となるでしょう。なので、とりあえず言っちゃって突っ込まれたら「これくらいのレベルです」と説明すればいい。それで向こうが思っていたより高いレベルなのか、低いレベルなのかを判断してくれるんじゃないでしょうか。それでも自信が無ければ、「誰かにそのスキルに関わる内容で質問されたことがあり、それを解決したことがある」という経験があれば、書いておけばいいと思います。

初めて職務経歴書を書いていますが、なかなか難しいですね。特に実績とかは具体的な数字とか忘れちゃうので定期的に記載・更新しないといけないなと。でも、自分というキャラクターのステータスを書いているみたいで、ゲーム好きとしてはちょっと面白いなとも思ってます。

「戦国ベンチャーズ」の著者が語る歴史を学ぶ意味

歴史×人事・人材育成というテーマで、歴史上の偉人の人事政策から今日の経営に活かせる内容をまとめた内容となっています。学生時代は歴史の勉強が嫌いだった著者が考える歴史を学ぶ理由が非常に共感を持てました。

「なぜ人は歴史を学ぶのだろうか……?」 ・・・今ならきっとこう答える。 歴史を学ぶことで世界が立体的に見えるから。そして、その結果、人生を豊かに生きるため、と。私たちは誰もが皆、一度きりの人生を生きていますが、その中で大きな課題や難局にぶつかった時、過度にその問題を「特別視」してしまうことがあります。例えば「自分だけがこんなに大変」「こんな大変な状況は過去になかった」、そう思うことです。私もたくさんあります。ただ今回歴史を学んでみて分かった事は、いつの時代も繰り返しなのであるということです。いつの時代も変化は激しかったですし、いつの時代もテクノロジーが職業の形を変えてきました。だからこそ今、私たちが歴史を学ぶ意味と言うのは、ただ暗記するだけではなく、先人たちの知恵を学ぶことで物事を立体的に捉え直し、人生に活かすことだと思います。なぜならほとんどの悩みや問題の答えはすでに歴史が答えを出しているからです。

個人的に、これにめちゃくちゃ共感します。「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」という書籍のタイトルもありましたが、自分たちが抱えている悩みというのは、過去の誰かがすでに答えを出していることがあります。もちろん、人それぞれ姿形も違って、歩んできた人生も違うので隅から隅までまるっと同じ悩みへの答えは無いかもしれません。でも、「上司とそりが合わない」「恋人との関係がうまくいかない」といった少し抽象度を上げた中では有用な答えがあると思います。

だからこそ、歴史や他の人の意見や知識に触れることが大切だと思います。そうすることで、自分や周りの友人と答えを考えるよりもずっと早く解決にたどり着くかもしれません。せっかく先人たちが答えを出してくれているんだから使わない手はありません。この場合はカンニングOKです。

そういった問題をさくっと乗り越えて、先人たちが直面しなかった問題の答えを考える。そしてその答えを後世に伝えていく。それを繰り返していって、もっと遠くの景色を見に行くことが大切だと私は思います。

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今月はこれら3冊を紹介しました。これ以外にも素晴らしい本はたくさんあります。
皆さんがステキな本と出会い、良い読書ライフを過ごせるよう祈っています。