業務外日報



人知れず、人を思い、煩う
事も、少なくなってきた気がする。
ふと目を醒ましたら、桜が咲いていた。

新しい服を着て、新しい靴を履き、髪を切る。
そして熱心に働き、愛想を振り撒き、休憩室では腕を枕にし、数分間涎を垂らしている。

そうして過ごしていたら、季節に肩を叩かれてしまった。

君が葉桜になる前に
君が紅葉になる前に
君が裸になる前に
一言言おうと思っていたのに
結局声はかけられず、過ぎてゆく
1年、また、1年。

そんな俺を見て、母親はなんだか嬉しそうだ。
そんな俺を見て、兄貴は関心している。
そんな俺を見て、姉は応援してくれる。
そんな俺を見て、親父は背中を見せてくれる。

満タンになった灰皿を見て
"俺たち"が生きていた証拠だとボヤくくらい
いつまでもカッコつけていたい
空気を吸い、空気を吐く
皆当たり前にしている事だ。

それぞれの人々の当たり前が連なり、枝分かれした結果が今、景色になっている。
服もテレビもPCもタンスも壁も、俺が作った訳じゃない。
誰かが作ったものだ。
それは全て、誰かが空気を吸って、吐いていたからそこにある。

俺は今日も誰かが作ったものの中で生きている。

そして、誰かが作ったものの中で
自分にしか作れないものを作っている。
否、創っている。

きっと誰かにとって必要なんだろう
と、思いながら。

叩かれた肩を擦り続けていたら、かぶれてしまったよ。
でも心配無いことを知っている
昔より怖いものが減ったのは、単純な話で
もう怖くなくなってきたからだ。

目を瞑ってジャンプするより
息を呑んで背伸びする方が、楽しい。

こないだ雲の形が綺麗で、美しいと思ったんだけど、誰にも見せないのは美しくないと思ったから見せるね



欠伸が出るだろう

今日もお疲れ様。


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