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ATD2019に参加して − テクノロジートレンド

ワシントンで開催されたATD(Association for Talent Development)にてトレンドと題する3つのセッションに参加し、共通で出てきた考え方を私なりにまとめてみました。主にLearning Technologyのトラックを聴講しています。

教育の世界も、いよいよトラッキングできる時代になったんだな、というのがまず大きな感想です。というのも、LMSによる学習管理、マイクロラーニングの台頭による細かな学習データの取得、が当たり前のように可能になっているのが大きな背景だと理解しました。

セッションによっては、パネルで人材育成の話とは遠く、Deep learningやxAPIの技術についてのみ、議論が堀り込まれているものもあり、それらでは大半の参加者(人事系)は若干消化不良感も見られたくらいです。いずれにせよ、お題目としてのテクノロジートレンドではなく、ベンダー数もある程度揃ってきて、実務的にもテクノロジーが落とし込まれつつある段階だと思いました。

大きな潮流として感じたのは3つ:

1. パーソナライゼーション

各セッションで様々な角度から出てきたのですが、「学習者が自分の学びに責任を持つこと」、「提供者は学習者個々に最適なものを最適なタイミングで提供すること」の必要性が強く押し出されていました。

Democratization of Leadership Development Model(リーダー育成の民主化)との言葉も出ており、限られた人の教育をクローズにするのではなく、オープンに機会平等(オンラインプラットフォームで)、一人一人が学びの自己責任を持つ。狭義にテクノロジー文脈では、AIによるリコメンデーション機能、アダプティブラーニング、チャットボット、LMSでのパーソナルラーニングパス等を指していました。

基調講演で非常に魅力的なプレゼンをされたSethさん(世界的な著作を誇るマーケター/リーダー教育者)の話にも通ずるものがあり、マスの学習体系を押し付けられるTrainingはもう終わり、Developmentの時代だと言われていました

2. Open & Connect のエクスペリエンス

これも複数セッションで出てきた話題です。様々な表現の仕方として、
ーオンライン教育が増えたといえ、まだブーストしきれていないのは、SNSの要素が十分でないから、これがUI体験としてできるようにする
ーYou teach me I teach you、権威から学ぶのではなく、学び合うことがベースになっていく。世界の動きは早すぎるため、権威として長期的に君臨することは不可能。日々様々な人がいろんな場所でやっていることをアップしていく、必要な人がそれを学ぶ、教えることは重要なリソース文献を読むよりも学びを深める。
ー労働力の大半となるミレニアル世代はフィードバックを欲しがる、なぜか? 彼/彼女らは、自分の考えやアイデアをプロトタイピング→オープン&コネクト(SNS)を基本行動とするデジタル世代だから。この高速ループを体験し学習していく、サービスも生まれていく。

3. ゲーミフィケーション

要はゲーム要素を他分野で応用すること(今回の文脈ではセッションに取り入れること)ですが、紹介されていたのは、リーダーボードや修了バッジをみせ競争要素を入れる、ロールプレイを取り入れる、ストーリーテリング(シナリオベースの学習)を取り入れる、キャラクターを使い対話する等でした。
これらを提供しているベンダーも複数あるし、もしくはLMSや他コミュニティ機能等に付加されていて使いやすくなっているものもある、とのことでゲーミフィケーションの実例に特化したセッションもいくつかありました。いずれもただ入れれば良いのではなく、ゴール/目的の設計が非常に重要になるとの強調がありました。

育成担当の役割も、マスに対して同じトレーニングを提供するのではなく、個が学びたいときに、各レベルに合わせて学びたいものを学べる、飽きさせずビジネス成果に反映するところまで定着させる環境を用意する、と変わっていくように感じ取りました。

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