恋愛エッセイ「カッコいい職業」

今の好きな人はクリエイティブの講師をやっているのですがそれがとてもカッコいいので、それについて惚気るというか語ろうかなと思います。
片思いなので惚気るは違いますね。
というわけで、今回も、私の好きな人以外が読んでも楽しくもなんともない文章です。

私の勝手な印象なんですが、クリエイティブの講師というと、年齢のために第一線での仕事のチャンスをもらえなくなったりとか、自身で限界を感じたために講師に退く、というネガティブな印象があります。
もちろん人によりけりなんですが、クリエイティブの講師は進んでやるような職業ではなく、生活を維持するために仕方なくやってるような印象を受ける人が多かったです。

なんですが、そういう講師業の印象をあっさり覆したのが今の好きな人です。
「俺できるぜ」みたいな態度ではなく、逆にめっさ謙虚で丁寧なんですが、なんで彼がやると講師業がこんなにもカッコよく見えるのかというのを頑張って言語化します。

たぶん、自身への深い自信の有無だと思うんですよね。
自信があるので、誰からどう見られようと、さして気にしていないのかもしれません。
あるいは、他人に何も期待していないがために、無駄に自己アピールする必要がなく、講師業に徹することができているのかもしれません。
ひょっとしたら、仕事は生活のためと完全に割り切っていて、自分の存在の拠り所としていないがゆえに、講師業そのものに徹することができ、むしろ純度の高い講師業ができるのかもしれません。

その他の可能性として、純粋に講師業が素晴らしい職業だと思っているのかもしれないですが、他人からすると素晴らしい職業に見えないケースが多い職業であることを、知ってる人だと思います。
普通、そういう他人からのネガティブな認識を知っている人は、ジレンマに陥ってちぐはぐな言動したりして、あまり素敵に見えなかったりするんですよね。

「純度の高い講師業」というのも説明が難しいのですが、講師業は自身の自己実現や存在を支える手段ではなく、お金と引き換えに他人に知識やスキルを伝授する仕事という本質のみを追求している、といえばいいでしょうかね。
大概の講師さん方は、講師業に対する覚悟が半端なために、隙あれば自己アピールしてみたり、できるぜオーラを出してみたり、最悪、講師を権力者か何かと勘違いしたりしがちなんですよね。
覚悟が半端というのは、講師業を金のためと完全に割り切れず、かといって華やかなクリエイティブの第一線での仕事が忘れられないため講師業を自己実現だとも思いきれず、という意味ですね。
それが私にはダサく見えたりします…。

話は少しそれますが、会社の採用等では、採用される人の自己実現と会社の方向性が一致していることが重要視されたりすると思うんですが、そもそも仕事を通して自己実現など目指してなかったり、その仕事をやることそのものが自己実現だったりして、それを端的に言うと「仕事はお金のため」「そこに山があるから」という短絡的な表現になりがちです。
すると、採用面接等ではブラフをかかなきゃならなかったりして、悩ましかったりします。
まあこれは私の悩みですね、はい。

「仕事はお金のため」というのは、自身の仕事のクオリティに興味がないというのとは違うんですが、世間一般では同一視しがちなのが難しいところです。
私が目指す仕事のクオリティというのは、いわゆるクリエイター気質で、かなり自己中心的なんですが(「自分から見て良い仕事ができたのであればよい」みたいな)、彼のはもっと客観的だと思います。
客観的というのは、他人から見えるところで仕事のクオリティを上げていく器用さがあるというのでしょうかね。

そういうわけで、彼のようなカッコよさを再現するのであれば、本質的であることを目指せばいいかなと。
あなたの職業は誰に何を与えることでお金をもらうものなのか、というのを突き詰めるということですね。
あなたの自己アピールも自己実現も、客からするとそんなもの求めていないし興味もないのだから、あなたの内面にとどめておくべきで、客に見せてはいけません。
ただまあ、本質的であるというのは世間一般様から見ると手を抜いていたり諦めてたりするように見える傾向があるので、そこはあなたを評価する人々(上司・先輩・同僚・客など)に対するコミュニケーションで埋めていかないと、昇進も昇給もできません。
彼はコミュニケーション能力も大分高いです。

自己アピールとコミュニケーションは何が違うんだというと、難しいですが、無駄か本質的か、あるいは自分のためか他人のためかの違いです。
自己アピールは他人にとってためにならないが、コミュニケーションはためになります。
夜、あなたが1日に発したそれぞれの発言を思い返し、自分のためという思惑が含まれた発言だったのか、純粋に他人のための発言だったのかをよくよく精査してみるといいかもしれませんね。
それを積み重ねると、リアタイで自分がしようとしてる発言が誰のためのものなのかを瞬時に判断できるようになって、より本質的なコミュニケーションをとれるようになるかもしれません。

で、彼の場合は、本質を見極める能力やコミュニケーション能力などの個別能力が高いのはもちろんですが、それらをさらに上に引っ張る発想がある可能性もあります。
上に引っ張る発想というのは、可能性として前述した、講師を心の底から素晴らしい職業だと思えていて、さらに、他人からどう見えるかはあまり気にしていない、という発想ですね。

P.S.
好きな人の職業だからカッコよく見えるだけだろと思ったそこのあなた!!
残念ですが微妙に違います。
今の好きな人のついた職業ならなんでもカッコよく見えると思いますが、過去の好きな人ではそんなことなかったですね、はい。

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