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子どもへの関わりで大切にしたい価値観が、決めつけに変わらないように

※PIECESのcforcプログラムの紹介記事

子どもとの信頼関係を築く時、どんなことに気をつけていますか?

そうたずねると、「僕は子どもを子どもだと思っていませんね。子ども扱いしない、対等に行くのが自分流です。」「あまりベタベタしないようにします。少し離れたところから、ときに厳しく関わります。」など、子どもとの信頼関係を築くための、人それぞれのこだわりや大切にしている価値観がみえてきます。

こうしたこだわりはきっと、その人の過去の経験から生まれてきたもの。誰しもが子どもの頃、大人からの関わりのなかでムカついたり悲しくなったりしたことがあるだろうと思います。そうした経験から、「こういう関わりをしてくる人は信頼できない」とか「こうした関わりは嬉しいし、信頼できる」とか、その人なりのこだわりが生まれてきます。

わたしも同じ。「子どもだから」「かわいそうだから」と、わたしに「さみしかったもんね」などと、明るく優しさをふりまく人が苦手でした。わたしのことを想うふりをして、わたしの意見や願いをきいてもらえていない、わたしの考える力を否定されているような感覚がしたから。子どもかもしれないけど、私にも意見はあるのに。そう思って、こんな大人にはなりたくないと思っていました。だから、わたしは、「優しさをふりまくような子ども扱いはしない。もっとクールに適度な距離をおいて関わるほうが信頼される」と思っていました。

こんなふうに、誰しもが過去、自分が傷ついた経験や、反対に嬉しかった経験から、自分なりの子どもと関わる時のコミュニケーションのこだわりや価値観をみつけています。

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子どもへの関わり方に関する価値観だけではなく、わたしたちは、過去から自分なりのこだわりをたくさん生み出して、抱えながら行きています。

たとえば、「ルールは守るべきだ。ルールは一人守らない人がいると、ルールじゃなくなるし、破る人がいると守っている人が損を被るから、守らない人は許せない」と思う人もいれば、「ルールは、その場その場の状況に応じて臨機応変に解釈して、危険がなければやぶってもいい」と思う人もいます。

これらには正解はなく、その人の過去の経験から生まれてきたものたち。このこだわりは、十人十色だし、無数にあります。だって、みんな違う経験をしてきているし、経験が同じでも感じ方は違うのだから。

わたしたちは、こうした自分なりの価値規範や、こだわりに対して無自覚なことがあります。そして、無自覚なまま、このこだわりを相手に押し付けてしまっていることもあるのではないでしょうか。

そうしたこだわりを相手を押し付けていくと、なかなかいい関係を築くことができないことが多いと思います。大人同士なら、価値観が違えば、わたしはそうは思わないよ、と反論できるかもしれないけど、相手が子どもの場合、子どもはそう言えない可能性もあり、それによって、子どもを傷つけてしまうこともあります。

たとえば、子どもによっては、「かわいいね」と褒められることが、逆に容姿が大事だという価値観を押し付けられているような気がして、もやもやするかもしれない。厳しくされることにトラウマがある子もいるかもしれない。

・親との関係性で悩んでいる子ども

・自分のことを大切に思えず、自分を傷つけている子ども

・友達とうまくいかなくてイライラしている子ども

・社会に対して不信感を持っている子ども

そんないろんな思いを持った子どもと接するときに、わたしたちが過去から紡いできた価値観がもしかしたら、相手を傷つけてしまうことにつながってしまうかもしれません。だけれども、その子とのコミュニケーションに「私」が介在する限り、どうあがいてもわたしの「価値観」を排除することはできません。また、わたしたちの価値観も、大切なものなので、それを否定することも違います。


そんな現実のなかで、子どもの願いを知り、その子を大切に思い、いい関係を築いていきたいのであれば、わたしたちは、自分の「価値観」とうまくつきあっていき、うまく扱えるようになっていくことが大切になります

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そのために大切になるのが、リフレクションと自己覚知です。

PIECESのCforCプログラムでは、子どもの周りに優しい間を紡ぐために、このリフレクションと自己覚知を大切にしています。

リフレクションとは、通り過ぎていく「経験」を、振り返り、自分の中で整理し、改めて「意味」を紡ぎ直すことです。自己覚知は、自分の価値観や特性、感情のことを俯瞰してみることです。(詳しく何をするかは、別の記事を読んだり、プログラムに参加していただきたいのですが。)

自分の価値観は、自分と不可分に存在しているからこそ、その存在をまず自分で自覚していきます。自覚することで、それを時には、自分を守る盾として使う、逆にひっこめておいて使わない、というように、少しずつ自分でコントロールして扱えるようになります。

そういうふうに自在に自分の価値観やこだわりを、少し自分と距離をおいて扱えるようになることは、自分の価値観のなかでも、大切にすべきものは大切にしつつ、要らないものは捨てていくことができるようになり、自分自身も生きやすくなります。

すると、子どもとの関わりも少し変わってくるはずです。子どもが本当になにを願っているのか。その願いのために、自分の価値観は、出しておくか、しまっておくか。もし、自分の価値観をしまっておくことで、自分はしんどくないか。そんなふうに、自分と子どもの両方を大事にしながら、調整していくことができるようになります。

そうして、自分も、相手も大切にするコミュニケーションをしていけるようになると、きっと、いろんなところに、優しい間が生まれるのだろうと思います。

そうしたリフレクションや自己覚知に興味のある方は、ぜひ、わたしたちと一緒に、探求してみていただければと思います。




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