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「ボランティア」でも「副業」でもない、「プロボノ」を4年やってわかったこと

プロボノとは

もしかしたら「SUITS」などの法律系海外ドラマでこの言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。もともとはアメリカの弁護士業界が低所得者向けの無償相談を義務づけたのがきっかけのため、法曹界や士業のイメージが強いですが、近年は外資系企業を中心にメジャーになってきているようです。

<Wikipediaより>
プロボノ(Pro bono)とは、各分野の専門家が、職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動全般。また、それに参加する専門家自身

私は前職のスタートアップにいる頃から今まで約4年ほど、週末や平日の夜をつかってプロボノとしてある教育系のNPOに従事しています。実際に手を動かせる時間は限られることもあって実作業を行うのは難しいですが、主に戦略やマネージメント、施策の壁打ち相手など、フェーズに応じて実施する内容は多岐に渡っています。

具体的には、団体としてのPRをきちんとしましょう、ということで発信のお手伝いをしたり、営業が本格化するタイミングで数字の追い方や戦略の仕組みづくりをしたり、スタッフ数が足りないときは正職員採用のお手伝いをしたり、、といった具合です。

「副業ならまだしも、収入にもならないのになぜわざわざ週末に働くのか?」という質問をよく受けるため、その点が少しでも伝わるといいなと思い、このNoteを書きました。笑

私がプロボノをはじめたきっかけ

①母親の影響
母親は地元の兵庫県西宮市で、自閉症の方向けのグループホームを運営するNPOの代表をしています。彼女の福祉や公共への情熱は凄まじいものがあり、父親も大学生のときにベトナム戦争反対デモに勤しんでいたような人なので、鈴木家の食卓では「"公共"とはこうあるべきだ」「社会的弱者とは誰か」といった話題が定期的に上がっていました。今考えるとこういった会話を通して、ソーシャル方面へのアンテナを自然と鍛えられたのかもしれません。笑

②いつかは教育に携わりたい...でも今じゃない
そうしたソーシャル方面の中で私が最も強く興味を持っていたのが教育でした。(理由はまたいつか。)キャリアの最後は絶対に教育だ、と決心している一方で、
「教育分野に携わるなら、もっと個としての力をつけてから挑みたい。」
「20代は資本主義の中で戦っていたい。インターネットというテクノロジーで世の中がどう変わるのかを自分の手で実験したい」
という思いもあり、少なくともキャリア形成期のうちはTech業界に身を置こうと決め、線引きをしていました。

③マッチングイベントでvery50に出会う
そんな折にNPOとプロボノのマッチングイベントがあるらしい、と聞き、なんとなく行った場所で出会ったのが、very50というNPOでした。

なぜvery50を選んだのかというと、
10年ちかく自己資金だけで運営:現在は認定NPO取得のために寄付を集めていますが、補助金に頼らないNPOというのは珍しかったので)
代表の菅谷さんが興味深すぎた:なんでマッキンゼー香港?ミュージシャン?などw
■ずっと教育、とくに中高生向け教育に興味があるが、現場のことを何も知らないので、プロボノとして関わることである程度現場感がわかるのではないかと思った
■事業も成果も素晴らしい成果を出していたにも関わらず、PRをほとんど実施していない=自分が役に立てるイメージが湧いた
といった点に惹かれたからです。

very50には4年前にプロボノとして関わるようになり、2019年10月からは理事としても従事しています。代表・副代表のお二人をはじめ本当に優秀な人が集まっている団体なのですが、なにぶんいつもリソースが激しく不足しており笑、その都度必要なところに入るイメージで働いています。

very50について詳しくはこちらをどうぞ↓
http://very50.com/

プロボノとして実施したこと

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前述した通り様々な業務に携わってきたのですが、昨年3月には社会人フェロー(短期のプロボノみたいなもの)として、高校生12名を引率しながらカンボジアで1週間プロジェクトをする、という機会をいただきました。

それまでは正職員が実施していた引率を「外の社会人に任せてもワークするのではないか」「むしろその方がよりよいプロジェクトになるのではないか」という仮説の元に実施したのですが、私にとってこの経験はまさに"Life Changing Experience"となりました。

■セーフティネットが0に近いカンボジアで、自分と同い年の女性が社会起業家として女性たちの生活を少しでもよくしようと試行錯誤している事実
高校生たちの圧倒的な純度と感受性、昨日と別人になる成長スピードの速さ
■そんな彼らに自分がなにを彼らに残せるのか、伝えられるのかの試行錯誤
■先生たちから聞くリアルな教育現場の悩み
などなど、普段の仕事では感じない角度からの刺激が24時間振ってくる感じで、脳みそが揺れ続けていた5日間でした。

またその後フェローを努めたことをきっかけに、プロジェクト実施高校であった立命館宇治高校の講演に呼んでいただいたりと、私自身の経験や世界も広げていただいたように思います。


結局ふつうのボランティアと何が違うのか?

この質問をよく聞かれるのですが、私の解釈では、
①自身のプロフェッショナルとして保有スキルをつかって、成果にコミットする
②マネージメントを受けることがないぶん、自律自走・プロフェショナルであることが求められる

の2点が大きな違いかと思います。

誰でもできるが誰もやらない作業に時間を寄付するのがボランティアだとすれば、自分しかできない仕事を通して成果を寄付するのがプロボノかなと。

ゴミ拾いや募金も社会をよくするためのアクションであることは間違いありませんが、せっかくなら自身のスキルをつかう方が楽しくないですか?

ただお金がもらえない副業なのでは?

これもよく聞かれます。笑 副業は人によって様々な目的がありますが、基本的には「1社に依存しない自分になろう、そのために収入経路を多く持とう」といった側面が強いのではないかと思います。

一方でプロボノは前提として団体への強い共感があり、社会をよりよい場所にするために、自身のスキルをちょっとでもいいから使いたい、という"思い"ベースではじまるものなのだと思います。

たとえば業務委託で仕事を受けるだけなら発注元のVISIONや価値観などは全く気にする必要がなく、支払い能力さえ担保されていれば問題ないですが、プロボノの場合は「自身の時間や能力を費やす価値があるのか」をシビアに見極め、その団体が目指す未来や解決する社会課題に対して真に腹落ちしないと絶対に続かないと思います。

So why プロボノ?

まとめると、プロボノの本質とは自分のスキルアップ(現在のスキルが他分野でも通用するのかという腕試し)をしながら、社会をよりよくしているという実感を持てる点にあるのではないでしょうか。

もちろん本業として100%の時間を割いてソーシャルな活動にコミットできるならそれに越したことはないでしょう。とはいえ人によっては、私のようにある程度資本主義で勝ってから、という人もいれば、家族など経済的・感情的な事情で完全に踏み切るのは難しいという人もいるはずです。

そんな人たちこそ「今の自分でもできること」としてプロボノを解釈し、実践してくれるといいなと思います。もちろんNPOといって何ら特別なことではなく、社会をよりよくするためにできることはたくさんあるので(ビジネスもその一環ですね)、あくまでオプションの一つではありますが。

さいごに:短期プロボノ(社会人フェロー)募集中

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友人と話していても、私の世代(ミレニアルの方々)って教育に興味ある人が多い印象があるのですが、いかがでしょうか?
この話に何かピンときた方がいれば、リアルな教育現場とつながる手段としてvery50の短期プロボノ(社会人フェロー)を考慮いただけるといいかもしれません。

通常のプロボノはある程度長期間関わっていくことが前提ですが、very50の社会人フェローは2~3ヶ月のプロジェクト単位かつ、現地ワーク以外はオンラインコミュニケーションが中心なので、仕事が多忙な方も参加しやすいかと。

募集要件としては
【チームマネジメント経験 or/and マーケティングを仕事で使う経験】
がある方を優先的に採用
しています。
現地起業家とのコミュニケーションは英語になるため、+αで英語ができればベストです。

上記要件はマストではありませんが、フェローはただのボランティアではなくプロボノであり、参加者(高校生)への影響も大きいので、やる気だけありますがスキルゼロです!みたいな人は厳しいかもしれません...すみません(TT)

逆に普段親や先生くらいしか大人とのコミュニケーションの機会がない高校生にとって、ビジネスの現場でかっこよく仕事している大人との交流は非常に有意義で、それこそ彼らのその後の人生を変えるくらいインパクトがあります。

個人的には、有給を1週間とるだけで、航空券・宿泊費・食費が一切かからずアジア新興国に行けて、現地の社会起業家と触れ合えて、高校教育の実践者になれるなんて死ぬほどお得かなと!w

今月フェローの説明会があるようなので、興味を持たれた方はVery50のHPからどうぞ。
ちなみに1回目の説明会には下記インタビューのビアンカが、2回目の説明会には私が参加予定です(・∀・)

過去のフェロー参加者のインタビューやNoteはこちら↓





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