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2023.12.14 休ませろ、俺に酒を出すな、俺を誘い出すな。毎日同じルーティンで暮らしたい、弱い自分だから。

夜の街を、
ビール瓶片手に、
自販機ぶっ壊しながら、
闊歩する人格者。

それが江戸の華。ひっかけ橋のグリコ。


今日のお話の主人公は、生まれつき身体も弱ければ精神も貧弱、本来根性論で生きるようなタイプではない、引っ込み思案なS君。
見合わないもんに憧れちゃあいけねえよ、ってお話です。


その昔、ガッコ卒業したてバンド始めたて、ドラム叩きたてホヤホヤのS君は、まだまだ洋服屋さんで服を畳むアルバイトなんてして暮らしてる頃、怖いオンガクの先輩から悪い言葉の魔法をかけられたのでした。


「バンドマンは酒飲むのが仕事だぞ」


あぁ神よ。
きっと今なら深読みで、これは明日食うにも困るようなミュージシャンが、パトロンやスポンサーを見つけてはあわよくば彼女にしちゃってヒモになって夢見て幸せに暮らせよ、だなんていずれにせよケチで貧クズなアドバイスだったとしても…

どちらにしてもS君はまだ浅はかだったのです。
なまじっか過激な飲酒に耐えうる抗体を持つS君は、毎日二日酔いで過ごすプロの二流バンドマンを目指せよ…
という意味に捉えてしまうのです。

数々の居酒屋がサラリーマンの出社を横目に閉店すらできない被害に遭い、数々のお友ダチが液体毒素による人体実験の被験者となる日常を過ごしました。


するとなんと、ドラムがメキメキ上達するではありませんか…


調子に乗ったS君は、もはや怖いオンガクの先輩すら巻き込む勢いで、練習中もライブハウスもいつでもビール瓶を片手に過ごします。

そんなある日、今度は悪いオンガクの大人が、僕らの遊び場に入ってきました。
僕は舐められたくないので、生意気にもビール瓶片手にむつかしい言葉を並べた紙を机に広げ、炭酸の抜けたホッピーのようなビヂネストークを展開します。

すると、間違ってバンド活動の予算を奪い取ることに成功し、間違って悪いオンガクの大人とズブロッカな関係に。

でも間違った自覚のあるS君には、どうしても違和感が残るのです。

悪いオンガクの大人の正体は、なんと朝が近づくと居酒屋で手下のミュージシャンに泣いてキレ回る暴れ酒馬(♀)だったのです。

プロの二流バンドマンを目指していたS君は、一流の暴れ酒馬(♀)に敗北を認め、垂れ下がったロバの耳に声が届かぬよう、留守電に残っていた鳴き声すら消去し、そのまま荒廃した街を去ります。


敗北を喫したS君の片手にはもはやビール瓶など残りません。


するとある日、気づくのです。
なんと全くドラムなんて上達してなかったではないか!
そう!全てはまやかしだったのです。

S君は真面目に音楽に向き合うようになりました…が、

ここから現代に至るまでの、壮絶な酒との戦いが始まります。


ふと、こちらが隙を見せれば、お返しにと夢を見せてくる酒。
抗えば抗うほど、酒の手下もとい悪いお友ダチが俺に鳴き声を聴かせて、Sくんの習性を利用し荒廃した街に引き戻そうとする…

そして今でも週に8回、液体毒素の実験台となってしまうヘッポコS君は、今日も炭酸の抜けたホッピーのようなビヂネストークを、酒とは無縁な善良な市民に向け説法しているのでした…


※まじでこの年末忙しいから、ホッピーみてえな呼び出しキメんじゃねーぞ!

ここではお好きに。