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2024.1.25 手塚治虫やDavid Bowieならやらない。名探偵コナン、XJAPANから透け見える、過去コンテンツ食い潰し型ビジネスの浅ましさ。

いつからお前は漫画だのアニメだの言うようになったのかと言われそうですが…
まぁそれはまた別の機会に話すとして。


2024年1月24日水曜日、週刊少年サンデー2024年9号において、名探偵コナン1125話が掲載されました。
連載30周年とあって映画や催し物など様々な企画と連動することが発表されてるわけですが、そんなことよりも順調に読み進めた最後のページの一文に、私は大変憤ったのです。

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「20号(4/10発売予定)からは、7年ぶりにあの連載が…?!乞うご期待!」

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わからない人に簡単に説明します。
名探偵コナンの本誌連載は、5〜6年前の作者の病気療養による休載をきっかけに、復帰後はすっかり不定期連載に代わりました。
普通なら「病気は仕方ない」と言ってあげるのが人間の心理かもしれませんが、その後私の知る限り本人や小学館から週刊連載を取りやめているはっきりとした理由の明言や告知はありません。


まぁそれだけならまだ許していました。
いや許すも許さぬも、小学館と作者が執筆を進めぬ以上はこちらは待つしかない。
それにまだ、これまでは不定期ながら掲載時には最終ページに次回掲載の告知がきちんとされていたのです。

そのような形で、1〜3ヶ月ごとに1エピソード(つまり年間20話程度しか進まなくなった)の間隔で連載は続いていました。
そして今年2024年の最初のエピソード最終話、第9号掲載の1125話において、ついに次回掲載号の告知もなくなり、代わりに映画連動企画と見られる別漫画の掲載が告知されたのです。


では一体何の漫画の掲載を示唆しているかというと、まぁ十中八九間違いなく「まじっく快斗」なんですね。
っていうのも今年のコナン映画は怪盗キッドがメインなのですよ。
そっちに目線を外させてる間に、ちゃっかり告知もなく連載をストップしようとしてるわけです。
作者本人はどういうつもりでかはわかりませんけど、小学館としては多分間違いなく、

人気維持、なわけですよ。

いやわかりますよ商売だから色々な企画にタイアップ、商品化で盛り上げて少しでもコンテンツ自体の価値を高めていかないと、っていうのは。


でもごめんなさい、あえて資本主義的な考えから一歩離れて見てみましょうよ。
(あー、ちなみに私は資本主義大好き系ミュージシャンですからね。)

そこまでの人気維持スキームを、たかだかいち少年漫画の名探偵コナンに当てはめないとやっていけないのなら、もう作品作りやめてしまえば?なんです。
これつまり、小学館の意向に作者がまんまと乗らざるを得なくなってる、って見えるわけですよ。


で、コナン本編における「組織との対峙」を「純粋に」追いかけているファンはというと、


①本編とは関係のないパラレルストーリーなのにも関わらず、原作の伏線回収のヒントが出るかもしれないし、酷い場合いきなり知らないキャラが原作に出てくるような逆輸入をかましてくる為に、映画を毎年観に行くはめになる。

②しれっと不定期連載に変わったおかげで、下手すると1ヶ月まるまる購読料がただのお布施になるサンデー本誌の定期購読をしないと、申し込めすらしないコナングッズが次から次へと商品化される。

③原作がまったく進まないおかげで、テレビアニメは設定の破綻したオリジナルストーリーや、過去回のリマスターばかり観させられる。

④つまり、普通に純粋に好きな漫画の連載を楽しめない。



こんな感じでしょうか。


①に関しては赤井秀一の件があって、それから僕はなるべく映画観に行くようにしてるんだけど…
結局それ以降は何もないんですけどね。

まぁアイリッシュやキュラソーの逆輸入は今後まだ何らかの形でありそうだけど。


で、②ってなかなか外道な商売スキームで、私がかつて敬愛していた、今は軽蔑…すらもしていないXもといXジャパンとかいうバンドがあるんですけどね、そこもやってるような集金システムと同じなんですよね。

まぁ誰でもわかる簡単なことなんですけど、つまり、


①早くコナン本編の続きが読みたい

②なかなか話が進まない

③企画やグッズの告知がある

④ゼロよりはマシと食いつく

⑤本編への期待高まる

⑥我慢できずにどんどんお金使ってしまう

⑦やっと数ヶ月に1回本編の話が進む

①早くコナン本編の続きが読みたい(ループ)


では、これをXジャパンさんのシステムに置き換えましょう。

①早くXに活動してほしい

②なかなかアルバムが出ない

③新曲もないのにコンサートが発表される

④ゼロよりはマシと食いつく

⑤アルバムへの期待が高まる

⑥我慢できずヨシキのディナーショーにまで参加してしまう

⑦やっと何年かに1回新曲が出る

①早くXに活動してほしい(ループ)


どうです?
こうやって例えると、普段では当たり前のようなビジネススキームが、文化や芸術においてはどういうものになるか、本質がわかるでしょう。
あんまりこういう青臭いことは言いたくないんですけどね。


でもこれ、
手塚治虫やDavid Bowieならやると思います?


まさか、こんな浅ましい集金やる必要ないですよね。
だって作品を作るという、至極基本的な創作活動を一生懸命全うすることで、人気を維持した人たちだから。
そんなスキームに頼る必要がそもそもないんですよ。


月1000円程度の購読料だから、世界的アーティストだから、とかいう問題じゃないんですね。
芸術視点から見ると、創作誠実性の問題なんです。

言い方悪いですが、過去コンテンツを食いつぶしつつ、近い未来に作品の新たな進化があるかのように見せかけて、コンテンポラリー性、つまりこの場合まだまだ金になるぞという余地を残す為に、ペタペタとブランディングの上塗りをしている…
というだけのハリボテみたいなビジネスになってしまうんですよ。
(コナンも商品価値視点で見ればそのコンテンポラリー性を常に保っているように見えるが、作品としてはそこに創作誠実性が欠けてしまったことで、十分に過去コンテンツと言える。)

だから文化や芸術を商売にする時は、こういったスキームを極力使わずに、プロダクトアウトとマーケットインの均衡を崩さないようにしないといけないんですよね。


要するにアコギな商売しなや、と。


では最後に、名探偵コナンが創作誠実性を取り戻すにはどうすればいいか。

映画やグッズにだけ興味があるような層の方々には申し訳ないですが、多分これまで、そしてこれ以降も、私が何を言っているか理解できないと思います。
アンチミーハー感丸出しで恐縮なのですが、純粋に原作を楽しむことが基本で、最新の連載またはコミックスを常に追っているという作品ファンには理解してもらえるでしょう。


つまり僕が名探偵コナンにどうなって欲しいか、僕の思う理想の名探偵コナンとは、ってこととほぼ同義です。



①"連載"30周年ならば、"連載"をメインに据える。

いいですか、私も映画は好きです。
そりゃ面白いです、特にベイカー街の亡霊はたまりません。
TOHOのシネマイレージカードもコナン柄にしています。

でもいいですか、映画はおまけです…
作者本人も映画ファンやグッズ好きに対してアプローチする方が楽しくなってきてしまっているのなら、文句は言えません。
でもつい最近、原作も盛り上げていく、という発言をされたと伺っています。

まぁそもそも「原作も」でなく「原作を」だろがい!
という気にはなってしまうのですが…
いいです、もうそこは。

4/10発売号は「まじっく快斗」やりましょう。
仕事ですからね。

でもちゃんとコナンのお話が次回いつなのかは、しっかり告知くらいしましょうよ。


②無理なら今更であっても不定期連載となってる理由を、作者本人がきちんと明確にする。

こちらも勝手な想像や憶測で、体調不良、引き伸ばし、ネタ切れ、そのような解釈をしたくないのです。
私は昨今のコナンの創作誠実性の欠如は、小学館の意向に合わせた苦肉の策ではないかと思ったりもしていますが、一説によると作者本人が色んなことがやりたすぎて身体が追いつかない、という話もあるようで。

私は基本、作品については作品内の世界観でしか考えませんので、メタ考察や作者インタビューなんかはまるで興味がないんですね。

だから実際作者本人の口からどんな発言が過去から今まであったりしたのかはわかりませんが、少なくともサンデー本誌にはここ数年、その理由となるような明確な発言はないと記憶しています。
私は名探偵コナンという作品のファンですので、作中、コミックス、本誌以外の発言に関しては正確には認知していません。


以上2つが提言になります。
私は今回を機にサンデーの定期購読辞めちゃいましたね。
まぁもっと色々なものをここ数年で手放してるので、別に大したことじゃないんですけど。

それらに勝る程の新しい価値観や楽しいインプットを他から得られているうちは、待たされるもの、なおかつ待つ間中、搾取してくるようなものは手放していいのですよ。

少なくとも器が小さく粗ばかり目につく私は、それらにコミットはできないのです。
好き嫌いの度合い、ということの大小ではないのですな。


ではコナンくんが、サザエさんやドラえもん路線ではなく、きちんとミステリー物語の終末に辿り着けますように。

犯人はお前だ!

ここではお好きに。