薬を買う前に、まず野菜を買ってもらおう作戦【その2】

【その1】では、日本の事例について紹介しました。

今回は、海外の事例を紹介します。

病院やクリニックで診察を受けたら、そこではふつう、
「薬の処方箋」
をもらいますね。
患者はその処方箋を持って薬局に行き、薬を買います。

ところが、ニューヨーク州(アメリカ)にあるいくつかの病院では、「薬の処方箋」ではなく、
「食材の処方箋」
を出すところが、かつて、ありました。

(「かつて」と書いたのは、今でもそのシステムが稼働しているのか、筆者が確認できていないからです)

「医食同源」「薬食同源」という言葉もあります。
薬ではなく食材の処方箋があっても、たしかに不思議ではないように思います。

それは、こんなシステムでした。

患者は指定されたクリニックで診察を受け、処方箋をもらいます。
その処方箋には
「野菜の名前」
が書かれています。
たとえば

* セロリ1束(遺伝子組み換えでない)
* ニンジン2本(地産地消もの)
* ビーツ2個(オーガニック)

などと書いてあるのでしょう。

患者がその「野菜の処方箋」を持って「指定のマルシェ」に行くと、処方箋に書かれている野菜がもらえるようになっています。

このシステムは、貧困層を対象に2010年にスタートしました。
処方箋を出すドクターの費用と、野菜の代金は、税金で賄われていました。

「指定のマルシェ」は、病院の敷地で開かれています。
「院内薬局」ならぬ、「院内マルシェ」です。

患者は「野菜の処方箋」をその「院内マルシェ」に持っていき、野菜に交換するというわけです。

1つ、残念な指摘をするとすれば、その処方箋にはレシピが書かれていなかったようです。

同様の試みは、オレゴン州(同じくアメリカ)でも行われていたようです。
こちらは、とあるCSA(メンバー制のコミュニティ農場)が、地元の医療機関と連携して始めたもの。

このシステムは、CSAのメンバーを対象としていました。
メンバーが体調を崩すなどして医療機関を受診すると、診察後に医師が処方箋を発行。
患者はそれを持って自分が出資しているCSAに行き、処方箋に書かれた食材(野菜がメイン)をもらいます。

こちらの処方箋にレシピが書かれていたかどうかは、未確認です。

いずれも食育的に魅力ある試みですが、今日でも続いているかは、まだ情報を得られていません。
その後の情報が手に入ったら、あらためて食育イノベーターの方々にお知らせしたいと思います。



食育イノベーター検定

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