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資本主義の終焉と民主主義の再考

今年は1月5日から仕事始めの事業所が多かったようです。
初出のmtgの後は経営実践研究会のオンラインでの会長からの新春挨拶とメンバーとの新年の所信を表明しあうディスカッションに続いて毎月定例のメンバーの事業プレゼンを聴いてフィードバックを行うリアルmtgへの参加と一気にお正月気分が抜ける日常が戻ってきました。
激動の予感しかしない、令和五年がいよいよ幕開けした感じです。

社会課題解決の根本は人を育てること

一年半ほど前から、私が熱心に参画している経営実践研究会は地域企業が本業そのもので社会の課題を解決する研究と実践を行う会です。そこに集うメンバーは近視眼的な短期会計で株主(中小企業ではオーナー社長)利益の最大化を目指す強欲資本主義に侵された今だけ、金だけ、自分だけの思考から脱却した、高い志を持って事業に取り組んでいる経営者ばかりです。
そんなメンバーが百数十名がオンライン上に集まり、会長から新年の挨拶と、整理されなおされた研究会の目的とヴィジョンを聴きました。

その中で、激動の今の時代には過去の成功体験にも失敗にも囚われることなく、未来を想像し創造する重要性を会長が説かれていました。同時に、最も重要な社会課題解決とは人を育てることであり、次世代の地域社会を、ひいては日本を背負って立つような人材育成こそが社会課題の本質である。との持論を展開されました。

志と在り方の教育

昨年から、今までの学校教育に見られなかった「志」を明確に定めて実社会で活躍できる若者を輩出する、職人育成の高等学校を立ち上げて、建築業界の人材育成事業から本格的に教育業界に乗り込んだ私としては我が意を得たり、のお話でこのような価値観を共有する経営者が日本に1000人近く存在する、この研究会の凄みを改めて感じさせられました。
あらゆる社会課題の根本的解決は教育、人材開発、人材育成にあるとの確信をより強めた年始のスタートになりました。

そして、一概に教育と言うぼんやりとした言葉ではなく、その方向性が何より重要です。まず初めに志を固めること、目的を明確にすること、そして福沢諭吉先生が「学問のススメ」に書かれているように、家族を養い、家を守るといった鳥や獣でも普通に行っている種の保存や生存欲求を満たすだけではなく、人として生まれてきた意味や意義を深く考える、先人から受け継いだ文化・文明・環境をさらに良きものにして次世代に継ぐ意思を持つような人としての在り方を教え育むことこそが未来を創るのだと思います。

福沢諭吉先生

全てがひっくり返るリスクに溢れた世界

残念ながら、今の世界は暴力に満ち溢れ、日本のすぐそばの隣国からの脅威は佳境に入りつつあると思っています。ウクライナに侵攻したロシアは局地戦で敗退を続けていると報道されており、このままジリジリとアメリカを筆頭とするNATO勢力のサポートを受けるウクライナに、独立を承認した州を奪還されるなど本土に押し返されるようなことになれば、戦略核を使いかねません。ロシアの劣勢が報じられるほど、第三次世界大戦への危惧が高まります。

中国は香港に続いて台湾を完全な統治下に収めることを国策の柱に据えており、アメリカの動向次第ではすぐにでも軍事作戦に出る可能性があります。北朝鮮は困窮する国内事情の打開策を武力の増強に求めており、ミサイル開発を無視されて事態が膠着してしまう前にコトを起こす可能性は決して低くはありません。今年一年、この3つのリスクが顕在化しないことを祈るばかりです。

後藤新平

一に人 二に人 三に人

今年、一体何が起こるのか、皆目検討がつかない今の時代に、私達は「隣の国のことなんか関係ないねーよ」と安穏にただ目の前の事業にだけ集中していればそれで良い訳がありません。一生懸命に働いて稼ぎ、溜め込んだお金がいつ紙切れになってしまうかわからないのが今の日本を取り巻く情勢だと思うのです。
では、この先行き不安な不透明、複雑で曖昧な時代に一体我々は何を行えばいいのか?その問いに対する答えは国際間の信頼関係と安全性のと言う幻想の上に成り立っているお金を熱心に集めることではなく、どのような事態に陥っても揺るがない価値=高い志を持ち、その実現の果たす能力を持った人を育てるしかないと思っています。

明治から昭和初期に活躍し、日本の統治下にあった台湾の近代化に尽力されたとされる後藤新平は「一に人 二に人 三に人」と言われたそうです。国も未来も創るのは人であり、人を残す事こそ最も重要な仕事だと事業に取り組まれました。
「財を遺すは下 事業を遺すは中 人を遺すは上なり されど財無くんば事業保ち難く、事業無くんば人育ち難し」との彼の言葉は野村克也氏が座右の銘にしていたことで有名ですが、この言葉は人材育成の重要さとその困難さを如実に表しています。卵が先か、鶏が先かの理論ですが、その答えこそ、「一に人 二に人 三に人」なのだと思います。私も以前に整理をしています。

資本主義から民主主義へ

ロシアが軍事侵攻に踏み切ったのは西側と言われる資本主義経済圏の国が次々と勢力を強めてロシアへの包囲網を強めてきたから、中国が世界の覇権を伺うようになったのは、資本主義市場の原理を経済に組み込んだから、北朝鮮がミサイルで威嚇を繰り返すのは、資本主義社会に経済的に負けて困窮を極めているから。このように考えると、欧米型の強欲資本主義、際限なく、拡大を続けるフロンティアスピリッツが世界の紛争の種になっているといっても過言ではありません。その結果、暴力による現状変更をいとわない民主主義とは真逆の方向に続き進んでいます。この様に見れば、第二次世界大戦以降に拡大を続けた西側と言われる欧米型の資本主義は決して人を幸せにするシステムでは無かったのかも知れません、

私たちは今こそ、資本家の富を増やすことを目的とした資本主義を見直し、人を大切にする、人の幸せを主体として考える本質的な民主主義へと舵を切るべきではないかと考えます。政党の名前にも頻繁に使われ、手垢がつきまくった上にあまり良いイメージを持たれたくなってしまった「民主」という概念を改めて見直すべきではないのかと思うのです。
資本主義から民主主義へ、財を蓄えることから人財を育てることへ、人を中心に据える価値観へ。これこそが未来を創ることに繋がると思うのです。

Wikipediaより抜粋

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