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24_歩み続けられる根拠を探す

2023年度が終わらないんじゃないかと思っても、ちゃんと3月31日はやってくるしあと数時間で4月1日になってしまう。
今日は神山まるごと高専の入学式。わたしは同級生と再会。お子さんが高専に入学されたとか! おめでとうおめでとう。

そして、なんだかうれしい気持ちが続いているのは昨日完成したこちらのショートムービー(下リンク🔗)の余韻。 制作は「雨を聴く株式会社」の川口泰吾さん。10月以降、様々な活動の様子を撮りためてくださって、素敵なムービーにまとめてくださいました!とてもうれしい。4分半ほどなので、ぜひ見てください。音楽は福岡晃子さん(元チャットモンチー)。ピアノ教室が同じだった私ですがチャットモンチーとして活躍してからは一度もお会いできておらず。こんなつながりでご一緒できるなんて。いろんな縁に、感謝!



あと数時間の3/31。今年度の振り返りを。

神山町内の学校での取り組み

今年度は、2校の小学校(広野:1〜6年生/神領:1〜3年生・5年生)、神山中学校(1年生 農林業体験)、城西高校神山校(2年生食農プロデュースコースまめのくぼプロジェクト)、神山まるごと高専(給食/地域連携/ファームクラブ)と関わりながら、試行錯誤を重ねた1年だった。
タイムリーな発信はほぼできなかったのだけど、先ほどInstagramにダイジェスト版をドドドッとUP。よければ見てください。フォローもしてくれるとうれしいな。(下の写真をクリックしてもらうとInstagramのページにとびます)

Instagram( @shokuno_edu )


学び上手になるためのロードマップ

今年度は、ついにルーブリックの作成に…!
食農教育のプログラムに関わる主なメンバーは、生産者や地域の方。共通の認識を持って子どもたちに関われると良いなという思いもあった。
NPOの理事でもあり食を軸にしたESDの研究もされている須賀智子さんを中心に、実際の子どもたちの言動の書き起こしやヒアリングを重ねながら完成したルーブリック。すでにつくっていた「学びのステップ図」(下図)をより具体的な言葉に落とし込んだものになっている。

学びのステップ図

ルーブリックとは…
学習到達度を示す評価基準を、観点と尺度からなる表として示したもの。
できる/できないの二分では高次の能力を適切にとらえることができない。「どの程度できるか」という段階的な評価によって高次の能力を捉えられるよう、複数の水準(レベル)を設けた評価基準として、ルーブリックが重要な役割を果たすことになる。

参考 : wikipedia

小学生版の尺度には「Feel」「Think」「Try」「Connect」という4つの言葉を置いている。子どもたちの今(状況)を起点にすると、食農教育ではどのようなアプローチが考えられるのか。ルーブリックを一つのモノサシとしておくことで、わたしたち大人が子どもたちを見る目を養っていくことが可能になる。

今回、小学生版と中高生版のほか、「まち版」をつくったことは個人的に超ホットトピック。神山町で仕事を始めた2016年からの7年間で、関わる子どもはどんどん増えた。今は小学生、中学生、高校生、高専生を対象にしているし、小学生と高専生、中学生と高校生、小学生と高校生など、校種を超えた活動も展開している。それらの活動を見ていると、神山町の自然や人との交流を通して身につく感性やまちを見る目は、場所や時間で限定されない、境界のない学びとして捉えることができるのではと思えてくる。

2024年度は、このルーブリックの表を用いながら先生方と打ち合わせ(児童・生徒にあわせた活動設計)をし、指導案にも反映させていきたい。

「食育」と「学校給食」の調査

今年度のもう一つの大きな柱は、調査。
NPOの前身であるフードハブ・プロジェクトでは「農業を次世代につなぐ」を目的に、神山町内の学校で食育を実施していた。食や農にまつわる関心層を広げていくことは意識していたものの「食育」という言葉を今ひとつ噛み砕くことができずにいて、2000年ごろを境に「食育」部門を「食農教育」部門に変えた経緯もある。

「食農教育」は、活動を重ねてそだてていきたい言葉。


農体験と食育と給食を一体化していくには何が必要なのか。


調査に先駆けて、10月に全国の栄養教諭が集まる「第74回全国学校給食研究協議大会」に参加した。栄養教諭の学校内における立ち位置がつかめた感覚もあった。

より具体で身近な実践例が知りたく、12月〜1月にかけて栄養教諭、大学教授・准教授(いずれも栄養教諭の養成過程をもつ大学)、そして岡山県倉敷市で学校給食を担当していた三宅香織さん(元行政職員)にお話を伺った。
国の方針や施策については農水省、文部科学省の担当者に時間をいただき、同じくインタビュー形式で話を伺った。
3月には静岡県袋井市のおいしい給食課の石塚浩司さんを訪ね、その翌日は「地産地消コーディネーター」の活動報告会にも参加した。石塚さんも地産地消コーディネーターをされており、全国の給食の地産地消化を推進する役割を担っておられる。袋井市の「給食は教育の一環である」という徹底された姿勢は、給食センターの施設設計、実施体制、児童への教材づくり、献立と学習指導要領の連動、献立作成の根拠となる児童の生活習慣データ集積にも及び、なんというか…その仕事量に圧倒された。農と食をつなぐこと、地産地消の推進と学校における学びを接続することの具体が見えて、学び多き時間だった。


農体験(NPO)と食育授業(栄養教諭)の連携を太くしていくことで、給食とのつながりも生まれそうな予感。まだまだやれることはたくさんある。
もう一つ。「20年後のまちの給食」を考えていけるとおもしろいなと思う。町内の給食センターのほか、2022年度から関わっている神山まるごと高専の給食も含み、防災、農業従事者の減少、児童数の減少…を意識・想定しながら、公共食のあり方を考えていけるといいのではないか。

行政と手を取りながら進めていくために、もう少し広めで遠めのテーマ/目的を立てる必要性を感じている。うーーむ、と悩ましく思っていると、ヒントが舞い降りた。

Future Langage 未来の言葉をつくる

先日、1年半前にマイニング・インタビューを受けた大学院生から修士論文が送られてきた。論文のテーマは「ジェネレーター実践のパターン・ランゲージー「ジェネレーター」は何をしているのかー」。10数名のジェネレーターへのインタビュー内容とその分析結果をとてもおもしろく読ませてもらった。ジェネレーターの行動様式が目(頭)に入ったことで、自分自身も、他のやり方で試せることがあるんじゃないかとか、まだまだ全然やれるじゃん!とか、とにかくとても励まされた気がした。パターン・ランゲージの研究をされている井庭崇さんのオンラインレクチャーや動画も立て続けに拝聴し、パターン・ランゲージをつくっていくプロセスそのものにも関心が高まっている。

わたしたちが目指す「学校食」は、今あるものを丁寧につないでいく先に見えてくる形。推進するためにはもう一つ大きな「目的」をつくった方が良くて、それが何なのかはまだ決めきれていない。
とっ散らかっている頭のまま、パターン・ランゲージに詳しい友人と話す機会が持てた。話をしながら、フューチャー・ランゲージの存在を知る。

未来には「今ないもの」が含まれているにも関わらず、僕らは未来のことを考えるときに、「今ある言葉」で語るしかないんですね。でもそのときに、未来に生まれてくる何かを指し示す言葉があったほうが、議論がより活発化したりイメージが膨らむと思うわけです。未来のビジョンを言語化し、それを共通言語にすることで、みんなで未来を語ったり考えたりすることができる。それがこのフューチャー・ランゲージの目指していることです。

https://bizzine.jp/article/detail/495

自分たちの未来ヴィジョンについてのフューチャー・ランゲージをつくるということは、自分たちの未来を語る言葉を自分たちでつくり、それを使って未来を形づくっていくということである。自分たちの言葉をつくることで、未来への志向が高まると期待される。

https://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid406.html

おもしろそう。
5月にフューチャー・ランゲージのワークショップを開いてもらうことにした(即決)。

というわけで、昨年度の取り組みから今年度の取り組みへ。
日本財団の助成をいただき、研究・開発的な目線で新しいものごとへの一歩を踏み出せた2023年度。今年度も引き続き助成をいただけることに感謝し、神山町内の「学校食」を形づくっていく所存。

タイムリーな発信も、がんばりたい。