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今から始めるwith&afterコロナに向けた「地域経済活性化」に必要なニューノーマルとは?

5/14を持って緊急事態宣言も一応一部解除されました。
コロナショックで各地経済大打撃を受けていますね。

この後世の中がどうなるのか、不安な人もたくさんいると思います。
沖縄は観光立県、私の仕事も観光業ではないにしろ、大きく関係があるので、GW中はいろんな記事を読んでいました。

読んでいて気がついたことは、
いくつかの記事には共通点があったことです。

その共通点とは
今後の回復について、観光業界では
「これからは近場の地域の人たちの利用を皮切りに回復に向かっていくのではないか」
との予想です。
観光系のウェビナーなんかからも聞かれました。

これって、観光業界に限らず、色んなものが”近場完結”になると
地域にとっては追い風になるんじゃないかと思っています。

民泊受入民家あるある

沖縄では2003年頃から
子供の進学や就職で、生じた空き部屋を利用し
修学旅行生などを対象に行う
「民泊(短期ホームステイみたいな感じ)」が広がりをみせています。
伊江島がパイオニアです。

最近よく目にするようになったAirbnb的な「民泊」とは異なります。
※違いについては割愛しますね。

さてさてこの民泊ですが、
地域に大きな経済効果をもたらしました。
下の引用文を見てもらえれば
何が起きたかイメージできると思います。

肉屋の店主が『いま修学旅行生が来てるのか?』と話しかけてきたという。
その肉屋自体は受入民家ではなかったが、聞くと「民泊で修学旅行生が来る晩は、うちの肉が全部売り切れるんだよ」という。
こうした話は肉屋だけではなく、魚屋やその他の商店等あちこちで聞かれた。受入民家が子どもたちをもてなすため、普段の数倍の材料を調達するためだ。~中略~
「子どもたちを受け入れるときに、前金で民家に渡したお金がたった一晩で島中にばら撒かれたんです。こんなにわかりやすい経済波及効果はない。そのときに『民泊はすごい産業に化けるぞ』って実感しましたね」
総務省 沖縄県伊江村「民家体験泊の産業化による地域振興」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000063261.pdf

この民泊、
①民家さんと生徒たちの交流から生まれる情操教育効果による学校側からのニーズの増加。
地域振興効果を期待した地域側の新規参入や民家数の拡大。
の2つが合わさり、今では県内で約35~40の受入団体・合計2200軒近い民家が受入を行うまでに大きくなりました。(全国的にもダントツで多い数字)
その多くは郊外の、いわゆる田舎と呼ばれる地域です。

想像してみて下さい。

みなさんが受入民家だったとします。
最初は、近所の商店や肉屋で買い物をしていました。
ちょっと慣れてくると、利益を最大化したい欲が出てきませんか?(私なら出ます)

近所の商店より市街地のスーパーのほうが商品は安いですよね。
田舎は、商品輸送コストが余分に掛かる事や
小ロットであるため、商品はどうしても割高になってしまいます。

そう、市街地のスーパーで安い商品を買いだめしたくなりますね。
あるあるだと思います。

ここに落とし穴がありました。

「囚人のジレンマ」状態

囚人のジレンマの詳細については
下記の動画がわかりやすいので、初めて聞く方は御覧ください。

簡単にまとめると、それぞれが個人のベストアンサーを追求すると
全体としてのベストアンサーには辿り着かないって事です。

漏れバケツ理論

このイラスト見たことありますか?
「なんで地域に公的資金をいっぱい入れてるのに、元気にならないの?」
って疑問ありますよね?
それをイラスト化したものです。

図1

バケツに穴が空いていて、入れたものが外に漏れ出してますね。

イギリスのNew Economics Foundationというところが出した
Plugging the Leaksというレポートに掲載されていたもののようです。

こちらの記事で紹介されていました。

漏れバケツ理論と訳されています。

地域(バケツ)にお金を入れても、
地域(バケツ)の穴からどんどん地域の外に出ていっちゃう状態がありますよってやつです。

さっきの民泊の話に戻ると、
地域の中で循環していた(できる)はずのお金が、
外の地域に流れ出してしまっているんです。

一人ひとりの「得したい」という行動の積み重ねは、
結果全体の得には繋がっていないんですね。

「囚人のジレンマ」が「漏れバケツ問題」の一部を生み出しています。

例えば、皆さんが島に旅行に行くとします。
その段取りは島のコーディネーターさんにお願いするとします。
そのコーディネーターさんは島の宿や体験などを手配しますね。

地域消費を意識するのとしないのでは
地域単位で考えるとこんなに差が出るんです。

図3

極端な机上計算ではありますが、
各関係者が30%増しで島内消費するだけで、10万円以上も差が出ました。

意識ひとつでこんなに変わるんですね。

ただ、1人だけが取り組んでも効果は小さいので、
囚人のジレンマに陥らないように、地域全体として「みんなでやろう」「みんなやってるよ」っていう機運を高める必要があります。(これが一番大変なんですけどね)

with&afterコロナに向けて

このコロナショックによって、みんな意識が高まっているように思います。
わかりやすいのが外食業界。

コロナショックを耐えるための応援として、いろんなテイクアウトまとめサイトが出来ました。

近所のお気に入りの店や応援したいお店からテイクアウトしている人も多いと思います。

外食はどちらかと言うと「贅沢(買回品・専門品)」に分類されると思いますが、この意識が「必需品(最寄品)」の消費にも広がれば、地域の経済効果も高まるのではないでしょうか。

コロナ禍の今、地域に求められることは
一人ひとりが、"地域内"で"地域のもの"を買うことで、内需による強固な基盤を作ることと、with&afterコロナに向けた外需取り組み作戦の構築ではないかなと思います。

このコロナショックをキッカケに、
「地域で買おう」「地域のものを買おう」みたいな機運が高まり、
ニューノーマル(新常識)になっていくと良いなと思っています。

6/7は沖縄県議選。消費も選挙と一緒で、鍵は消費者(有権者)の意識ですね。

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その他参考

潰れそうなあの店が潰れない秘密 日経ビジネス

エンデの遺言



最後まで読んでくれてありがとうございます! これからも沖縄・地域活性化・読んだ本からの気づいたことをぽつぽつと載せていきまーす