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【特急湘南26号 Vol.15】本年度ナンバー1動画『2023年ヒット商品番付を速攻解説、今年のキーワードは?』に出会った朝

いつものように、午前8時11分藤沢駅発の特急湘南26号に乗って、渋谷へと向かう。僕の居場所は相変わらず3号車8番のA席。車内のいつメンたちとともに過ごしているのだが、知らないヒトたちなので今のところ交流は一切ない。

左後ろにいる金髪ボブで真ん中分けの髪型をしたお姉さんが化粧をしていた。その前に座っているおじさんはスポーツ報知を広げながらふんぞり返っている。季節感などまったくない、いつものメンツといつもの光景。だけどこれが僕らの、特急湘南の年末の風景。

そういえば今年のヒット商品ってなんだっけ? ふと気になったので「ヒット番付2023」と検索してみた。よくテレビやX(旧Twitter)などで見かけるアレだ。日経から出てるやつ。調べてみると、とんでもなくおもしろい動画がヒットした。日経MJヒット商品番付を編集委員2名が解説する動画だ。冒頭30秒だけでも構わないからまずは見て欲しい。

こんなにもシュールで、でもまっすぐで、照れがなく、自分たちの仕事を全うしている人が他にいるのだろうか。勝手な妄想だが彼らは幼少時代たぶん近所でも『神童』と呼ばれるくらい勉強ができただろう。そしてストレートでいい大学に入学し、天下の日経新聞に就職。プロフィールを見ればわかるがいわゆるスーパーエリートである。

本来はこんな動画作るべきではない。若手にやらせればよい。こんな演出など断ることができるレベルのふたりだ。ていうかこの背景はなんだ? センスのかけらもないではないか。それでも準備されたこの舞台でふたりは自分の責務を全うしていた。あまりに責務を全うしているものだから、途中でふたりが煉獄さんに見えた。

前衛的なアートかと思った。
照れずに全力でやる姿に涙が溢れた。

もはやヒット商品番付の序列などどうでもよかった。そりゃあ、誰が作っても大谷翔平や生成AI(ChatGTP)などがランクインすることなど承知である。「あの(ano)」という表記もなんだかシュールでよい。編集部もターゲットも高齢化しているなか、まっすぐに老いを受け入れているこの動画にえらく感動した。全体の尺が30分ほどあるが、この動画を最後まで見た人は僕くらいだろう。

終盤では福井出身であることを打ち明ける中村直文編集委員。福井には『やきとりの名門 秋吉』もあるというプチ情報を教えてくれた。それに対して「もうちょっとほかにないですか?」という中村奈都子編集委員の混じりっ気のないストレートなツッコミが最高だった。

思わず『やきとりの名門 秋吉』を検索してしまった。なるほど。福井に行ったことないから全然知らなかったよ。ありがとう中村さん! あ、ふたりとも中村さんだった。

気づけば渋谷駅に到着していた。今日はいい時間を過ごせた気がする。気のせいか、金髪ボブの女性の髪もいつもより艷やかに見える。キマってるな。さあ、みんなで渋谷に降りようか。
こうして僕は明日も知らないヒトたちと一緒に渋谷を目指し、夜になると藤沢に帰るのだ。

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