近藤健介の例のインタビューを見て思ったこと。
昨年、12月13日。FA市場、最大の目玉だった近藤健介がソフトバンクホークスへの移籍を発表した。
ファンとしてなによりも驚いたのは金額。ここ数年、NPBの年俸の天井は6億-6.5億円という風潮があった。しかし、今回の移籍に伴うソフトバンク・近藤健介の契約は7年50億円以上。聞いたことのない年俸に、優勝から遠ざかるホークスの2023シーズンにかける思いを見た気がした。
そして、先日、Twitterで昨季の開幕時に行われた近藤健介のインタビューの記事を目にした。近藤の言葉は、チームへの愛があるからこそ出てくる辛辣でリアリティのあるものだった。正直言って、新監督を迎えたチームの方針と近藤自身の考えに乖離があるという印象を抱かざるを得なかった。
インタビューの話を総合すると、若手中心のチームというのを鑑みて育成に舵を切った新庄監督の下で近藤自身は監督の方針に賛同しつつも勝ちに飢え、多少なりともその方針に納得のいかない部分があったということだろう。
この真っ正直な近藤のインタビューは拡散された。SNS上では、”近藤派”、”新庄派”の色々な意見が散見された。
”プロ野球選手である限り勝ちに飢えて当然だろう”という近藤擁護派の意見、”チーム編成的に育成に舵を切るのも理解出来る”という新庄擁護派の意見。また、価値観が合わないなら移籍やむなしという両擁護の意見も。
どの意見もが正しいように思えた。しかし、僕自身は近藤の話の方が腑に落ちた。当然、強いチームを作るためには、勝利を目指しながら(表向きにそういうふりをしながら)育成に舵を切ることは間違いなく必須だ。
しかし、新庄監督は就任会見で表立って「優勝は目指さない」と発言してしまった。プロ野球の世界は、”主力として”優勝を経験することは簡単な事ではない。29歳のシーズンを迎えていた近藤からすると、1アスリートとして脂ののった期間の1年間を棒に振ることと同じだ。
そして、本人もそう解釈したのだろう、というのが僕の意見だ。更に、”勝ちを目指す”ことが当たり前のプロ野球の世界で「勝ちたいと思ってしまうとやっぱりチームでやろうとしてることからかけ離れてしまう」と思わなければいけない状況に置かれた近藤に同情せざるを得なかった。”同じ監督の下で来季やる自信がない”というのが近藤の本音なのではないか、と察してしまった。
[追伸]
補強をしない上に、育成に舵を切る期間を経て黄金時代を迎えたカープのファンからするとファイターズは応援したくなる球団のひとつだ。近藤健介に加えて、有原航平がソフトバンクに移籍した今季。恐らく、カープファンの多くがファイターズを贔屓することになるだろう。
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