ゲンロン友の会を更新した話

ゲンロン友の会を更新した。今期で3期目となる。
かつて僕は東浩紀の読者であり、初めて拝読した著作は『存在論的、郵便的』だった。この本のおかげで、経済学部生にも関わらず、ジャック・デリダの思想に夢中になり、哲学のゼミに通い「正義論」をテーマに研究した。
通っていたインカレサークルでは、『動物化するポストモダン』を読んだオタクたちが理論を援用し、涼宮ハルヒについて語り、部室でハレ晴レユカイを踊っていた。まぁそんな時代だった。

しかしながら、悲しいことに大学卒業後、就職すると哲学や現代思想とは疎遠となり、本棚には実務系の本が並ぶことになった。いつしか哲学書は埃を被り、ダンボールの中で眠ることとなった。

僕が東浩紀の本と再会したのはコロナ渦のことだった。『ゲンロン戦記』が上梓された頃で、そこでは哲学者として経営者としての東浩紀が描かれていた。
家から近い五反田でゲンロンという出版社とイベントスペースをもう何年も営んでいるということが分かり、応援したい気持ちに駆られた。
コロナ禍で生憎ゲンロンカフェはクローズしていたが、幸運にも動画プラットフォームのシラスもローンチされたばかりですぐに会員登録した。

それからゲンロン友の会会員となりすでに3年経った。
ゲンロンは小さな出版社かもしれないけれど、クオリティの高いユニークな刊行物が多い。
これはゲンロンカフェのイベントが、哲学思想、文学といった人文的内容は元より、政治経済、アニメや漫画といったサブカルチャー、そして野球やサッカーといったスポーツまでも扱う懐の深さにもあり、そうした文化を語る土壌を醸成してきたからだと思う。(最近はAIなどのテック系の話題も多い)

そういえば、今期は会員コースが改定された。その中で友の会費の使用用途が説明されていた。その中から一部抜粋する。

新しい教養人の交流の場をつくるために、採算度外視でさまざまな事業を展開しています。友の会の会費は、それらの赤字補填のために使われています。友の会の会員になるとは、そのような公共的な活動を支援することでもあるのです。

友の会の会費はこのように使われています|友の会第14期
https://www.genron-alpha.com/tomonokai_20231006_01/

ゲンロンカフェに行くと若いスタッフや観客がいる。僕が大学生の頃にもこういう場があったら良かったのになと思う。
シラスのような動画プラットホームだけでなく、リアルな場を創出するゲンロンを継続的に応援したい。これは僕ができる僅かながらの公共的活動かもしれない。














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