裏メニュー

「あそこの焼き肉屋、裏メニューに人肉があるらしいぜ」
「まじかよ、おもしろそうだし、今度行ってみようぜ」
男たちは冗談半分で例の焼き肉屋に来た
普通の肉も頼んで食べてはみたが、ただの普通においしい肉だった
「ここの焼き肉屋、普通にうまくないか」
「ばか、俺たちは裏メニューを確かめに来たんだろ」
「すまない、あまりにもうまくて失念していた
少し怖いが頼んでみよう」
店員に裏メニューのことを伝えると、店員はニタァと不気味な笑みを浮かべ、
少しお待ちくださいといった
値段はタダとのことだった
「さっきて人が笑ったとき、背筋がゾッとしたぞ」
「俺もだ、なんだか嫌な感じがする
それに肉がタダってどういうことだ」
男たちが震えながら待っていると、個室の外が騒がしくなった
そしてトビラがガバッと開き、全裸で半狂乱の女が店員に引きずられ入ってきた
女の腕が男たちの目の前で切り落とされる
女の絶叫が部屋にこだまする
その叫びがまるで聞こえないかの如く、店員は淡々と腕の解体ショーを始め、次々と網にのせていく
嗅いだことのないにおいが部屋に充満していく
「さ、どうぞ召し上がってください」
店員に進められたものの、食べられるものではない
すると何を勘違いしたのか、店員は謝りだした
「すいませんお客様
お気に召しませんでしたか
では少しお待ちください
今から最も美味といわれる部位である、心臓、肝臓、卵巣をさばきますので」
またもや目の前で地獄の解体ショーが繰り広げられる
しかし今度は腕とは違い、胴体だ
女の絶叫は次第に弱くなり、そして絶命した
こんなものを目の前で見せられては、普通の肉も食えぬ
男たちは遠慮して、会計をしようと席を立った時、店員の目の色が変わった
「お客様、どちらにいかれるのですか」
「いや、パフォーマンスでおなかがいっぱいになったので、会計をしようと思いまして」
すると店員が笑う
「お客様、その必要はありません
当店では人肉を頼まれたお客様は、次に人肉を注文されたお客様のための人肉となるのです
すなわち、お客様が向かうのは会計ではなく、この店の地下となります
安心してください
人肉として注文されるその日まで、当店の焼き肉が食べ放題ですから」

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