肝試し

「先生、大変です
守くんが呪われてしまいました」
先生はうなる
「呪われてしまったのなら仕方がない
いや、もしかして今ならあれができるかもしれない」
先生は守くんに問いかける
「もしもし、霊界の人聞こえますか?」
すると何故か反応があった
「ココから出てイケ」
「すみません、すぐに出ていきます
しかしその前にその男の子の体を返してもらってもいいでしょうか」
「ダメだ、オマエたちが帰ったら、ちゃんと家まで送り届ける」
先生は少し悩んだが渋々了承し、朝までには帰られせもらえるようお願いした
霊は曖昧な返事をした

先生や生徒が大急ぎで帰ったあと
守くんが隠れていた女の子を呼ぶ
「夏未ちゃんもう出てきていいよ」
すると墓石の影から女の子が出てきた
「二人きりになれたね
先生は朝までに帰れってきてって言ってたけど、どうする?」
しかし夏未ちゃんの返事はない
「夏未ちゃん?」
「ココから出てイケ」
守くんは駆け出した
なんてことだ、夏未ちゃんは僕を待っていた間に呪われてしまったのだ

守くんが帰ってこないことを確認して隠れていた男の子を呼ぶ
「勝くん、ストーカーも追払えたし、もう出てきてもいいわよ」
すると勝くんは池から出てきた
夏未ちゃんは笑う
「もう、勝くんったら
何も先生やクラスメートから隠れるのに隠れ蓑の術を使うことはないでしょう
ほんと、おもしろいんだから」
「ハハハ、すまない
つい忍者の血がうずいちゃってね
ところで、さっきから僕の方が重いんだけど、何かついてないかい?」
「さあ、何も見えないわよ」
「そうか、ならいいや
このまま二人で朝まで過ごそうね」
ロマンティックな夜の幕開けだ

宿舎に戻り、担任教師はパソコンの前に座る
「なるほど夏海と勝がいないと思ったらそういうことだったのか
連れ戻すついでに脅かしてやるか」
翌朝、夏未ちゃんが泣きながら宿舎に戻ってくる
みんなはどうしたのかと声をかける
「昨日、勝くんとデートしてたらね
急に先生が出てきたの
抜け出してごめんなさいって謝ろうとしたら、先生は呪われていたのよ」

「ふう、これでよし」
勝くんは周囲を見渡し、誰もいないことを確認する
「昨日は散々だった
急に先生が出てきたもんだから、敵襲かと思って殺してしまった
いい感じに埋葬することはできたが、おかげで大事なデートが丸つぶれだ
とりあえずやることはやったし、僕も宿舎に帰ろう」
しかし、勝くんは墓地を出ることはできなかった
忍者の末裔の勝くんだけは、敵方の忍者の地縛霊に本当に呪われてしまったのだ

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