日本にもいつか2015年がやってくるのか?

SYNODOSさんに掲載された「日本の女子教育の課題ははっきりしている」のおまけ追記です。記事のキーポイントは、①日本の女性の大学・院進学率は低い、②STEM系進学率も低い(トップスクールへの進学も少ない)、③日本の女性は基礎的な人的資本は優れている→④それが労働参加に結びついていない→⑤高度な人的資本を備えた日本人女性は不足している、という辺りでした。

おまけ追記では自分の専門分野の隣接領域である労働分野について触れてみたいと思います。記事でも取り上げたように日本の女性の労働参加は進んでいないのですが、日本の女性の労働参加の歴史はどのようなものだったのか?、そして現在日本OECD諸国の中でも女性の労働参加が進んでいない国の一つですが、他の国々も昔は女性の労働参加は盛んではなかったけれども時代とともに女性の労働参加が進み日本が取り残されたのでしょうか?それとも、日本だけが伝統的に女性の労働参加が盛んではない国だったのでしょうか?

日本の女性の労働参加の歴史については平成9年の国民生活白書に詳しいのでリンクを置いときますが、①農業が主要産業だった戦前・戦後直後は女性の多くが家族従業者として農業に従事していた、②1950年代以降第一次産業から第二次産業へと基幹産業がシフトし専業主婦が増加した、③男女問わず従事できる第三次産業の勃興・家電製品の普及で女性のパートタイム労働が進む、④1986年男女雇用機会均等法、というのが主な流れです。

上の図は1990年時点のOECD諸国の労働者人口に占める女性の割合です。確かに1990年時点でも日本の女性の労働参加は平均以下ではあるのですが、労働参加における男女均衡に近い国もそれほど多くないですし、日本より下の国も何カ国もあります。

上の図は2013年時点の同じ指標です。1990年時点では日本よりも下位にいた国の半数以上は日本を追い越して行きました。そして、未だに日本よりも下位にいる国もこの20年で状況を改善させ、日本を追い抜くのは時間の問題となっており、日本がOECD諸国の最下位に転落する時が見えてきました。この20年少しの間に多くの国では女性の労働参加が進んだのですが、日本ではそれが進まなかった、というのが本当の所のようです。

もう少し具体的に自分の専門分野である教育を絡めて言うと、重労働が必要となる第二次産業が国の基幹産業である時期には、基本的に女子教育もそれほど需要がないのですが、国の産業が第二次産業から第三次産業へとシフトするにつれ、教育を受けた女性が活躍できる場も増してきて、女子教育に対する需要も増してきます。しかし、日本は第三次産業が成長した70年代に女性をパート労働に押しとどめる道を選択し、これにより女子教育にも進展が見られず、現在においても女子教育が脆弱で女性の労働参加を進める大きな足かせとなっている、といったのが実情かなと思います。

前回も書いたのですが、自分は現状を維持しているつもりでも、周りが進歩している分後退している、というのは日本のためにあるような言葉な気がします。

最後におまけのおまけで上の図を用意しました。上の図はOECD諸国における女性国会議員比率の1990年と2015年の状況です。この指標はジェンダーギャップ指数レポートでも使われているので参考までに用意してみました。1990年時点でも日本は最下位なのですが、2015年時点でも最下位です。日本の女性は基礎的な人的資本は優れているものの、指導的立場に立つところに結びついていない、というのは国会議員という指標から判断するに長らく続いている状況のようです。

今カナダに住んでいるのですが、首相のジャスティン・トレドーが大臣の半分を女性にした理由を聞かれて「Because it's 2015!(動画はこちら→リンク)」と答えたのがだいぶ話題になりましたが、日本の女性の国会議員が増えて、大臣の男女比が半々になる「2015年」が到来するのは…だいぶ先のことなんだろうな…。

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