日本人が大好きな「ハーバード式・シリコンバレー式教育」を参考にする方法

米国の教育システムについて解説した記事を現代ビジネスさんに寄稿しました→日本人が大好きな「ハーバード式・シリコンバレー式教育」の歪みと闇

なかなかセンセーショナルなタイトルになりましたが(基本的に記事のタイトルを筆者はつけないのです)、タイトルと逆にハーバード大学で見た・シリコンバレーで経験した、というのを日本の参考にするためにはどうすればよいのでしょうか?

答えはシンプルで、検証可能な実証分析を参考にして、それが社会経済的にviableなものなのか文脈を考慮すればよいのです。詳しくはうちのNGOのブログで執筆したのでぜひ参照して欲しいです(国際比較教育学は終わった学問か?—日本は外国の教育から学ぶ必要などないのか?)。これのより分かりやすい具体例としては、現代ビジネスさんに寄稿した前回の記事の4P目で、これも日本人が大好きなマサチューセッツ工科大学の教育実践が実証分析されたペーパーに言及しましたが、こういったのを文脈を考慮したうえで参考にすればよいということです。

あと、現地視察先の選定方法についても、一年前ぐらいに記事を書いたので、ぜひ参照してみてください。「現地視察」って実際のところどうなの?(前編)「現地視察」って実際のところどうなの?(後編)

国際比較教育学や実証分析の素養が無い人が、海外でイイ感じの教育を見たから日本も参考にしようと提言するのは傾聴に値しないという点は強調したいと思います。自分が今コースワークで死ぬ思いをしているのでポジショントークではありますが、海外の教育から何かを学び取って政策提言に繋げるというのは、理論も分析手法も習得していない素人が簡単にできるようなものではないんですよね、マジで。

ちなみに、記事を読んで米国の教育システムに興味がでた人は以下の2冊がおススメです(アフィリエイトは貼ってないですが、もしメッチャ参考になった!、という方がいたらご寄付頂けたら幸いです、ネパールの子供達に本を買うためのNGOの活動費として活用させて頂きます)。分権化など米国のシステムは結構途上国に影響を与えることが多いので、国際教育協力に興味がある人も目を通しておくと良いかもしれません。米国は南部と北部、西海岸と東海岸ですら教育システムがかなり異なるので、いかに自分の見たものが代表的とならないかを実感する良い機会になるかもしれないですね、よく自分の見たものが全てかのように語る困った人が多いので。

Education Change and the Political Process

Education Governance for the Twenty-First Century: Overcoming the Structural Barriers to School Reform

サルタック・シクシャは、ネパールの不利な環境にある子供達にエビデンスに基づいた良質な教育を届けるために活動していて、現在は学校閉鎖中の子供達の学びを止めないよう支援を行っています。100円のサポートで1冊の本を子供達に届ける事ができます。どうぞよろしくお願いします。