キング牧師を描いた映画「セルマ(Selma)」を見てきた

http://www.imdb.com/title/tt1020072/

アメリカでは1/19がキング牧師の誕生日を祝う祝日だったので、この映画を見てきました(と言っても、国連の祝日スケジュールはアメリカのそれと違うので、私は普通に出勤日でしたが…)。

この映画、公民権運動を学ぶ良い教材になるということで、有志による寄付で中学生は無料で見ることができます。アメリカは好きかと言われるとちょっと微妙な所がありますが、こういった所は素直に凄いなと思います。

映画の中に公民権運動当時の実際の映像が挟まれていて、私は初めて実際の映像を見たのですが、これが結構酷い。先月だったか黒人の青年が白人の警官に射殺されて、無罪判決が出てそれが暴動へと発展するという事件があり、ここNYでもデモ行進が行われていましたが、たかだか50年前まで黒人に対してあそこまで酷い差別をしていた国だということを考えれば、さもありなんという感じがします。

映画の中にはキング牧師の女性問題に焦点が当てられたようなシーンもありました。ただ、キング牧師の奥様はキング牧師が暗殺された後も再婚することはなかったと件のエンディングの所で言及されていました。人種差別と言えば、大西洋を隔てた向こう側の南アフリカのマンデラ元大統領も有名ですが、彼の自伝と映画を見たのですが、何回か離婚されているんですよね。この辺りの違いは個人的にとても興味深いです。

エンディングのシーンでは、キング牧師に纏わる人物の一生を軽く紹介しているのですが、差別をしていた白人側のその後についても言及されていて、選挙で再選されることはなかったとか、死者に鞭打つようなことまで書いていて、この勧善懲悪的な所が如何にもアメリカ映画っぽいなという印象受けました、日本だと大体死んだらチャラですからね。

人種差別と言えば、去年まで住んでいたジンバブエで、かなり歳の離れた同僚と教育省に行った時に、「1980年の半ばまで、こちら側のエレベーターは白人用、あちら側が黒人専用だったんだ。君が産まれた頃には、僕たちはまだこのエレベーターに乗れなかったんだよ」、と言われたときの衝撃は今でも忘れられません。

この映画の題材となった事件から50年経ちましたが、キング牧師が演説を行い私も2012年まで住んでいたワシントンDCは、基本的に治安が良いのですが、南西部だけは黒人が集住していて治安が悪すぎ、黄色人種の私ではとてもじゃないけど立ち入ることができない地域で、その一角のせいで統計上のDCの治安はコロンビアの首都ボゴタよりも悪くなってしまっているほどです。

ジンバブエから南アフリカを訪れるたびに、その治安の悪さにマンデラ元大統領が作りたかった国はこんな国だったのかなと思っていましたが、この映画を見た後にも同じような思いになりました。私に出来ることと言えば、より不利な環境にある子供達に良質な教育を届けて、差別が無くなり格差も縮小するよう祈ることぐらいですが、彼らが描いた世界に少しでも現実が近づくよう仕事を頑張りたいものです。

この映画、普通に映画としても面白いのでおススメです。日本でも春頃に公開されるそうですよ。

サルタック・シクシャは、ネパールの不利な環境にある子供達にエビデンスに基づいた良質な教育を届けるために活動していて、現在は学校閉鎖中の子供達の学びを止めないよう支援を行っています。100円のサポートで1冊の本を子供達に届ける事ができます。どうぞよろしくお願いします。