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400字小説 | 秘密2

「お母ちゃん、僕のお父ちゃんはどこにいるの?」

僕は涙を浮かべてるお母ちゃんに聞いた。

「お父ちゃんはね雲の上にいるよ。」

「雲の上?なんで?」

「お父ちゃんは大切な人を守ったからだよ。」

「そっかあ。じゃあお父ちゃんはヒーローだね。」

「そうだね。」

「僕もお父ちゃんみたいになりたいなぁ。僕もヒーローになりたい。」

「ヒーローか。良いと思う。お父ちゃんも雲の上で笑ってるよ。」

「へへへ。お母ちゃんの夢は?」

「お母ちゃんの夢?そうだなあ、ヒーローが生まれなくていい世界を作りたい。」

「ええ、お母ちゃんヒーロー嫌いなの?」

「ごめんごめんそんなことないよ。お母ちゃんもヒーロー大好き。」

「お母ちゃん何言ってんの?ヒーロー好きなのにヒーローがいない世界がいいの?」

「健ちゃんにはちょっと難しいかな。」

するとお母ちゃんはボロボロと涙を流した。

「お母ちゃんもヒーローが助ける前にしっかりと手を握りしめておけば、」

「このロープを掴め。」

誰かが僕にそう言った。

「やだね。」

「ここから出たくないのか?」

「どうせ僕を捕まえる気でしょ?」

「何言ってんだ。じゃあ知らねえからな。」

ロープが徐々に上に上がった。

僕は勇気を出してロープにしがみついた。

するとどうだろう。

井戸の中にいた僕は初めて広大な海を見た。






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