僕たちのフィルダースチョイス 11/17
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ただの火曜日なのに、夕方六時をまわったころ、宇賀神が段ボール箱を抱えて、モリタ学習塾に現れた。
「塾長は、いてはりまっか?」
授業を終えて、プリントの束を見直していた盛田が顔を上げ、小さく会釈すると奥の塾長室を指さした。もうマガジンたちは顔見知りになっていた。
箱を抱えて両手がふさがっていた宇賀神はノックの代わりに「入るで」とだけ声をかけて、自力でドアノブを回した。
「どないしたんや、マガジン。こんな時間に」
田辺は部屋にひとりでいた。
「大漁や、大