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趣味の要素分解

人はしばしば自分の好きなことを「趣味」と表現する。趣味とは「専門としてではなく楽しみとして愛好する事柄」であると一般的には表現される。しかし実際には、趣味の延長としてそれを仕事にする人もいれば、完全に仕事とは切り離して行う人もいる。

趣味は、人間の作ったカテゴリーの一つとして説明される。例えば、競技化された「スポーツ」や「料理」といった抽象的な概念として表現される。それらは便宜上、人間が作り出した「枠組み」であり、システムである。したがって、具体的な定義や規則によって定められたものに関しては、一部の要素には好感を持てるが、他の要素にはそう思えないといったことがしばしば起こる。

例えば、特定のスポーツにおいて、それを行うこと自体やそれを通して他者と関わることに対しては満足感や幸せを感じるが、一方でその競技で必要とされる技術を追求することや、自分の具体的な成長を求められることに対してはマイナスな感情を抱く場合がある。このようなケースは、明確な制度やルールのもと競技化されたスポーツによく当てはまる。

その場合には、自分とその競技との間に適切な「距離感」を保つことが重要になる(詳細はこちら)。その距離感を測る手段として、費やす時間とそこから得られる満足度を測ることが役立つ(詳細はこちら)。両者の内容については過去の記事で説明したが、今回の記事では別の考え方を紹介したい。それは、その競技、はたまた抽象的な概念やシステム、枠組みに含まれる要素の内、自分の好きな要素や気に入る要素を特定することだ。

全ての「枠組み」は無数の要素のまとまりで成立している。したがって、その中には自分の好むものもあればそうでないものもある。2つの趣味を持ち、その両者に共通の要素が含まれる場合は、あなたはその要素に惹かれるということだ。そこには本質的な理由はない(生物としての機能が一部含まれることはある)。共通する要素を特定できたときには、その要素が含まれる別の「枠組み」において、あなたが強い興味を抱く可能性は高い。

僕にとっての趣味とは、合気道やブラジリアン柔術、トレーニング、読書、文章を書くことなどだ。これら全てに共通する要素は、自分の思考のインプットとアウトプットを行う点にある。それを繰り返していくことで、思考がより深く洗練されたものになり、原理や本質に近づいていく。それを知ることは僕にとっては大切な要素のようだ。これは抽象的な概念としては「知的好奇心」とも表現される。

また、合気道やブラジリアン柔術、筋力トレーニング等の身体を動かすことに関しては、第一に身体を動かすことにより充実感を得られる点が共通する要素として挙げられる。それに加えて、武術の原理に立ち返るきっかけになるところや、身体や力の使い方を身に着けられる点も共通する要素だ。

したがって、僕の場合には上に挙げた要素が含まれるものであれば何でも興味を示す可能性がある。僕にとっては、それが大まかな枠組みや抽象概念として「合気道」と称されているのか、「ブラジリアン柔術」と称されているのかの違いでしかない。それが別の枠組みとして成立し、表現されていてもおかしくはない。

自分が惹かれる一つ一つの要素を大切にし、行動することを、本当は「趣味」と表現するのかもしれない。人々はそれぞれの要素そのものを行うことや、あるいはそれらを含む「枠組み」に時間費やすことを楽しむ。

惹かれる要素を発見することこそが人生の醍醐味とも言える。そしてそれは必ずや、自己を知り、より自分を表現するきっかけになるだろう。

2023年5月4日

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