吾妻(あがつま)線と
『阪急電車』。有川浩先生の名作短編集である。
各々の駅で紡ぎだされる物語は妙味と言える。また、一定の紋切り型の表現を使うことによって文体を安定させ、より魅力的な作品に仕上げている。
ところで、真夜中の吾妻線に乗車する機会があった。
地方の路線は駅名に独特な名前が多い。吾妻線もその一つである。その中に郷原(ごうばら)という駅がある。
そこで、猪に出会い目が合ったことがある。猪は私を鋭く睨みつけ藪の中に消えていった。その鋭い目線はもののけ姫などとは全く違い、畏怖の念に満ちていた。
昨今、猪が街中で暴れる事件が増えている。そもそも、豚は猪を家畜として改良した動物。人間と自然。どうしてここまで歩みを掛け違えてしまったのかな、と寂しくなる。
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