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人類の歴史を算数で考える…1ミリ? 1秒? 

 地球が悲鳴を上げている。地球温暖化、森林の激減と砂漠化、何万種という生物の加速度的な絶滅、放射性物質やプラスチックゴミによる河川や海底層の汚染、戦争や紛争による自然破壊に加え、戦争に使用された兵器等の残骸の放置…。すべて私たち人類が生み出したものだ。

 地球の誕生から46億年という長さを46メートルの長さのロープに例えてみよう。自分の立ち位置からロープをまっすぐに伸ばして置き、いま私たちが生きている現在が一番手前、46メートル先が地球の誕生した時期と考えてみる。

 地球誕生から2メートルの地点、44メートル先で海が形成され、38メートル先で海中に微生物が誕生…私たちが知るアンモナイトや三葉虫や魚類が誕生したのはたった5メートル程のところだ。陸地に植物が生え、両生類が陸地に上がるようになったのは4メートル、陸地に森林が広がり、昆虫が繫栄し、両生類から爬虫類が分化したのがなんと3メートル先。

 2.5メートル先のあたりに恐竜と鳥類と哺乳類が出現し、1メートルの地点で恐竜の全盛期がやって来る。しかしながら、地球への隕石の衝突が66センチのところで生じ、恐竜は絶滅する。

 その後、哺乳類の中から原始霊長類が出現し、私たち人間の祖先として有名なネアンデルタール人の誕生は5センチ、そして現生人類(ホモ・サピエンス)の誕生はわずか2センチのところだ。さらに、人間が農耕や牧畜を始めたのはわずか1ミリのところだ。

 ちなみに産業革命の始まりは2マイクロメートル…なんとこの50年間で地球環境が地球誕生以来最悪なペースで悪化していることだ。

 参考までに、地球の46億年の歴史を365日に換算するとどうなるか。地球が誕生したのが1月1日の午前0時だとすると、ネアンデルタール人の出現は、12月31日の午後11時3分、産業革命は12月31日午後11時59分58秒…ということはたった1秒もかけずに地球環境を破壊していることになる。

 オゾンホールの研究でノーベル賞を受賞した科学者が新たな地質時代として「人新世」を提唱している。現代は1万1700年前に始まった「新生代第四紀完新世」に位置づけられる。地質時代は、地球の46億年の歴史を地層に残る生物の化石や痕跡で区分するのだが、1950年代から、地層やサンゴなどに核実験による放射性物質、石炭の焼却灰、マイクロプラスチックをはじめとする人類活動の痕跡が多数現れているという。

 人類が地球環境をマイナスの方向に激変させた時代が「人新世」という新たな地質時代として認められる可能性はかなり高い。なんと不名誉なことだろう。

 人類は「ゆでガエルの原理」のようにすでに手遅れなのかもしれない。今年の夏は長く、しかも記録更新レベルで暑かった。

 しかしながら、地球の歴史上で一番新参者の人類は、自身の未来を保障するためにも、一刻も早く地球環境との完全なる共生の方向に反転しなければ未来に希望が見えない。 

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