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結ぶ仕事

今、武学という人生に活きる武術の稽古をしています。武学の中で、「結び」という言葉があります。これは対人稽古において、相手の体と自身の体につながりが起こり、相手の反応に自分もつられていくというような現象です。

 例えば、相手の掌の上に自分の掌を重ねる。そして下の人が手を動かすと、その動きに自分の掌もついていくというワークです。簡単そうに思えますが、視覚で捉え、ついていこうとする、つまり脳でついていこうとすると、途端に追いつけなくなるのです。まさに後手後手になる。このついていけるような状態が、いわゆる結びが起こっている状態です。ほかにも色々な結びが方あるのですが、一例としてはこんな感じです。

 そしてこれを体験していて感じたのが、カウンセリングも結びだなと。相談者が夫婦関係に問題を抱えているなら、夫婦を結ぶ。子どもについて悩みがあるなら、両親と子を結ぶ。人生のやりたいことで迷っているなら、想いと現実を結ぶ。そうして結びを起こすことで、循環の滞った部分を円滑にする。そうして結んでいくことで、人が、モノが、結ばれていく。それが自分が一番やりたいことだなと。

 最近まで自分がやりたいことが明確にわからなくて、あれもやりたいし、これもやりたいし、どれかなんて選べなくないか?と思っていました。なので色んなものに手を付けていましたが、この体験を経て、自分があらゆるものを学んで、体験しようとしていたのは、こうして事柄と事柄を結びたかったからなんだろうなと思うようになりました。

 そうして、循環を機能させるという循環の一部として自分が発揮出来たら、これ以上面白いことはないなと思います。そして、知らずのうちに、あるいは無意識としてそれを理解していたから心理学を学んだのかもしれないなと。

 なので自分がやりたいことは、あらゆるものを結ぶ仕事。あなたをあなたに結び、あなたをあなたがやりたいことに結ぶ。そのためにいろいろと学び、体験していく。そうして、あらゆるものの物語が発展していくことに貢献できればいいなと思います。

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