見出し画像

2023GWツアー⑤(諸橋近代美術館 展覧会「ダリとハルスマン」)

猫ちゃんホテルから朝イチのバスで向う。

5年ぶりか。

相変わらずフォトジェニックな美術館

写真家ハルスマンって知らなかったな。

と思ったら実は一度「だまし絵展」で見ていた。

ダリのアイコンである尖ったヒゲはハルスマン氏の発案だとか。いわゆるタレントを売り出す仕掛け人だったわけかな。ゲージツ家って純粋で商才とかないひとも多いだろうからね。

ハルスマンは写真家であるので、展示は当然写真。キャプションに付いてる製作年が1954年/2020年とか書いてあるのはニュープリントということだろうか。

白黒だが鮮明な写真でダリの顔を見ていると今の自分よりも若いし血の通った人間だったことがよくわかる。

自分の顔が“爆発”する写真を数年直視できなかったとかいう逸話なんかも書いてあった。ビビリなのね。その割にはアヒルのお尻に爆弾仕掛けて吹っ飛ばすアイディアとかダメ出しされてたとか。よしなさいって。

一部撮影可能になっていた。

ダリは同時代のヒーロー、ピカソをライバル視してたみたい。ダリはその時代全盛だったキュビズムや抽象画に手を出さなかったね。そっちは任せたということなのか。

ピカダリ?
ピカソが光で描いた絵って知らないな

今ならデジタル編集で誰でも簡単にできる画像処理だが、この時代はかなりアナログというか手作業で作っていったらしい。

これも人力の極み

「ダリ・アトミクス」(1948)(*写真はなし)という、ぶちまけた水やイスと空飛ぶ猫ちゃんたちで有名な一枚。これの今で言うNG集みたいな写真も楽しい。何度も放り投げられた猫ちゃんは大丈夫だったのだろうか。濡れた体をタオルで拭いてイワシあげてなだめたとかいう裏話。


『ダリの口ひげ』って本まだ買えるのかな。

売ってるな。マーケットプレイスの出品しかないから絶版?

***
もちろん常設のダリ作品もたっぷり楽しめる。

《テトゥアンの大会戦》1962年
当然一番の見ものはこれ。とにかく情報量が多い。いろいろ謎はあるのだが、中でも「5」「7」「8」とあちこちに書かれた数字はなんだろね? (実は「1」もこっそり書かれているらしい) ダリは正解を教えてくれず研究者の間でも長く論争になっているとか。実は単に制作時のダリの年齢じゃねか?ってのもかなり正解ではないかとも思う。

私なりに無責任な妄想を広げると、テクノロジーにも関心の高かったダリだから、数字の配置は幾何学的というかデジタル的というか全ては数字で表されうるみたいなバージョン情報かな? 時代? 次元? 別の世界線?

実際この作品は時空を超えた表現だからね。騎馬戦士たちはどれも顔が描かれていない。過去の幻影? 現実の姿として描かれているのはガラとダリのみ。ガラは背後にも巨大ガラ(菩薩か?)として君臨してるし。どういう関係なんだ。

実はリアルな姿としてはもうひとり黒人さんが描かれている。この黒人さんについて、我こそはこのモデルなり!という人(当時96才!)が最近現れたそうで、諸橋近代美術館学芸員さんのzoomインタビューに応えるビデオが館内で流れていた。うーん、ホントかなあ?w ダリと実際知り合いだったことは確からしい。

真偽の程はともかく、なぜもうひとりリアルな人物を描き込んだのか? スポンサーの人物をさりげなく作品の中に入れるのはサービスみたいな感じで大昔からよくされていたらしいが、この人は別に注文主ではなかったはず。単なる友情出演?

けっきょくは後世の人があれこれ楽しめるようにダリの仕掛けた単純ないたずらなのかもしれないね。今回見てきたユーモアあふれる写真撮影を見ているとそんな気もしてくる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?