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農業者は減るのが合理的だから減る。

新規参入がなかなか進まず、結果として農業従事者が減少しているというのが問題だ、というお話をむかーしむかしからしているものの、結局のところ打開しないどころか高齢化が続いているというお話がまたでていました。

で、うまくいかなかったということでまた会議をやるそうな...。

そもそも論として会議をこれまでも幾度となく繰り返してやってきても解決しないのは当然、既存農業の仕組み、農業従事者の方々にとっては現状のモデルが何らかしらのカタチで「合理的」になるような支援策を講じていることは理解されるべきところです。そういう支援政策を国としてもやってきていること、そういう支援政策を政治的にも調整してきていることは認識する必要が我々にもあるのです。

つまりどこもかしこも新規参入者を最優先するような政策というのはやっていなくて、あくまで既存農協、既存農家、既存農業委員会といった仕組みありきの中で「可能な新規就農支援策」を講じる限りは、今までとは変わらぬ状況となるでしょう。

○ そもそも既存農業が国策の上で、就業者ファーストではないから当たり前

そもそも農業者が高齢化し、足りなくなっている背景には、「割にあわない仕事」として国策が設計されているからでもあります。膨大な都市部人口の「飯」を作り出すという役割を地方の農業に与えた結果、生活必需品は高くては困るわけですから、安くたくさんを担わせる。つまりは投資に対してリターンが乏しく、ましては労働分配としても「全産業と比較して儲からない」のは当たり前であり、それを補助金によって補填する(=儲かるわけではなく、儲からないものをまあまあ妥協できるレベルにする)という状態になってきたわけです。

その結果高齢化だけでなく、専業農家はほとんどなくなり、兼業農家ばかりになったわけです。つまり農家は農家を継がせたくなく、次ぐとしたら地元の公務員や農協職員などになって、兼業で実家の農家をやるという程度が最も「現金収入や社会保障」も受けられて、かつ農家の体裁も守られるという状態に至ったわけです。

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