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地方分散の前に必要な「東京のライバル都市創造」への集中投資

さて、ウェッジ2月号の特集は地方創生の問題になっています。なかなか一般経済誌なのにこのテーマを取り上げるのは、昨年の東洋経済以来なようにも思いますが、私も記事を書いていますのでぜひどうぞ。

さて、その中での地方創生政策の全体検証の記事がオンラインにも掲載されているのでご紹介。ま、結果的には地方創生は東京から地方に人口移動させて、出生数を改善する、みたいな話だったのが、人口はさらに東京に集中し、出生数は予定を上回る減少を遂げたというお話です。

当初から私は国内で右から左に人口を移動させることだけに国費を使うのは無駄であり、地方においても中核都市に周辺からの移住などを促進すべきであって、生活が不便で生活基盤や社会インフラも乏しくなっている地域に人を移動させるなんてのは全くもって生活者の尊重ですらないと申してきました。何より地方が簡単に消滅するなんて嘘を唱えてきているのもおかしな話で、行政の合併などによって最低限今住む人達が最後まで生きる体制は今も保護しているものでもあり、いきなり明日消えてしまうようなことでもありません。そもそも住民がいなくなったらその地域自体の保護の意味もないわけで、ノスタルジー以外でいえばちゃんと国民、市民のすみ続ける地域の生活基盤を保護することを最優先すべきなのは言うまでもありません。そもそも人口減少になるのはもう何十年も前から規定路線であり、それを変更せずにきて今頃騒ぐこと自体がアホなのです。

で、地方創生政策がスタートして突貫工事でコンサルに頼んで総合戦略を作り、1兆円近くの予算を投入したりしてやってきたのが今の状況です。

三大都市圏の人口の転入超過数の推移をみると三大都市圏において大阪、名古屋もすでに横ばいから微減、東京のみが著しく伸びるという状況になっているということを鑑みると、実は必要なのは「地方創生」ではないということです。

スポーツでもなんでもよく言われるのは「ライバルが大切」ということです。パワーバランスを考えた際に、日本は東京vs地方という構図を常にとってきましたが、これが大いなる間違いだったと私は思っています。

かつての関東大震災後には人口が大阪にシフトしたことも有り、明治維新以降割りを食っていた関西が復活を遂げて、大大阪時代が到来。東京市を上回る人口を大阪市は獲得し日本最大の商工都市が成立しました。そして東京はその後の復興事業でさらに次の時代を描いたわけです。こういう競い合いがあってこそ、都市は適切に成長していくのだと思います。

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重要になるのは、多極化の前に「2極目」を作る集中投資です。というのも、東京の問題は2つあり、一極集中してしまう問題もあるのですが、さらにその集中した人口を抱えながら経済成長率が低いという問題です。地方創生しながら都市再生法に基づいて再開発は東京でじゃんじゃんやってきたのに、それでも経済成長率が低いというのは、結局存在する産業自体の生産性が低いという話になっていくわけでそれもまた問題なわけです。

つまり経済成長著しいエリアに人口移動するのではなく、経済成長が低いエリアに人が移動していってしまっているというのは国経済全体をみても大変問題があると言えます。

しかし戦後、東京集中投資の後に、東京vs地方なんて分散した投資をしたことが、対抗する東京に伍するような都市が出てこない問題の元凶だと思っています。地方なんて全国47都道県、今なら1700ほどの基礎的自治体があるわけで、そこに分散投資をして東京に対抗できる都市なんて出てこないわけです。ちまちまと個別に配るわけだから、東京が優位な状況が変わるわけありませんよね。あー、結局どこもダメだよね、じゃ東京で、ということになるのを繰り返してきたわけです。

それではどうするか。

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