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「iPhone」は、メーカーである米国アップル社の登録商標ではない、という事実

上の写真は、私が使用している「iPhone12」の商品パッケージの底面を写したものですが、こういう記述があります。

商標「iPhone」は、アイホン株式会社の許諾を受けて使用しています。

これとそっくり同じ記述でなくても、「iPhone」のパッケージには同様のことが記載されています。
米国アップル社は、なぜ「iPhone」の商標を登録できなかったのか? このアイホンという企業(日本企業)は、いかなる会社なのか? 本日はそのあたりをご紹介したいと思います。

なぜ米国アップル社は、「iPhone」の商標を登録できなかったのか?

その経緯を理解するためには、まず前提として知っておくべきことがあります。

「iPhone」に類似する「アイホン」という名称は、下の画像でご覧いただける通り、第二次世界大戦終戦から9年後、日本で商標登録され、その商標権は、現在、日本のアイホン株式会社が所有しています。

「アイホン」の登録商標↓

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そして、もともとアイホン社は、この「アイホン」という登録商標しか所有しておらず、「iPhone」という登録商標は所有していませんでした。

では、なぜに「iPhone」という登録商標をアイホン社が所有しているのか、ですが、一連の経緯は、以下の通りとなります。

① 米国のアップル社が、2006年9月に、自社名義で「iPhone」について商標登録を申請。

② 特許庁は、アイホン株式会社の登録商標「アイホン」に類似しているとして、その申請を拒絶。

③ 苦肉の策として、「iPhone」の商標登録申請の名義人を、双方合議のうえ、米国アップル社からアイホン株式会社へ変更。

④ 同一名義人であれば、商標の類似は問われないため、アイホン株式会社の名義にて、無事に「iPhone」の商標登録が完了。

⑤ 登録後すぐにアイホン株式会社から米国アップル社に対して、専用使用権(独占的に使用する権利)を設定。

こうした経緯を経て、米国アップル社は、日本においてアイホン株式会社の許諾のもと、「iPhone」の登録商標を独占的に使用しています。
当然のことながら、アイホン株式会社には、米国アップル社から相応のライセンス料が支払われています。

米国アップル社が、アイホン株式会社に支払っている、相応のライセンス料は…

報道では、年間1億円と言われていましたが、アイホン株式会社の「第63期 有価証券報告書」(21年6月30日付)によると、受取ロイヤリティは、1億5,000万円に達するようです。報道の額が基本的に間違ってないとしたら、年額1億円+売上に基づく歩合5,000万円等といった契約になっているのかもしれません(契約の詳細までは明かされていません)。

つまりですね、現契約のもとで米国アップル社が「iPhone」を売り続ける限り、年間1億円(ないしは1億数千万円)は、何もしなくても、黙っていてもアイホン株式会社へ入ってくるということになります。
見方を変えれば、米国アップル社は、そうまでして「iPhone」という商標を使用したかったということかもしれません。

アイホン株式会社、好調な会社のようです。

ご存じの方も多いと思いますが、アイホン株式会社は、愛知県名古屋市に本社をおく電気機器メーカーです。業界トップシェアを争うインターホンの専門メーカーで、アメリカ・フランス・タイ・ベトナムなどに現地法人があり、2017年(平成29年)時点、70か国以上で製品を販売しています。

同社の有価証券報告書によると、経営状況は好調のようですね。
売上高は438億円(59期)、451億円(60期)、463億円(61期)、484億円(62期)、昨年はコロナ禍もあって461億円(63期)でした。
経費削減等により営業利益は36億2200万円(同27.8%増)、経常利益は36億9300万円(同27.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は30億700万円(同26.8%増)。期末配当は通期の連結業績等をふまえて、普通配当金25円から15円増配し、1株当たり40円。年間1株当たり65円(中間配当金25円)の配当とのことでした。


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