PCは既に時代遅れなのかもしれない
現在、世にあるPC(personal computer)は既に時代遅れの形状をしている。最近そう考える。
前に、これからの時代はナチュラルインターフェースを使いPCを操作するという記事を読んだことがある。その時は、まだ10年後の話だろう、と思っていたが実はもうすぐそこまで迫ってきていると実感する。
僕よりも5歳下の人たちのPCの使い方を見ていれば、そう思わざるを得ない。
僕のこのツイートの通りだが、スマートフォンネイティブ達と僕らにはPCの使い方に決定的な違いがある。彼らはキーボードを触らない。感覚的にPCを操作するのだ。
最近では多くのPCにタッチ操作機能が付いている。(Macは付いてないけど)。この微妙な機能が僕らにとってはいらない存在でも、彼らにとってとても重要な機能になっているのだ。
PCのインターフェースは時代とともに大きく変化してきた
僕の研究室の先生は、マウスもあまり触らない。全ての操作をキーボードから行えるように設定を変更している。先生曰く、キーボード入力よりも早い操作は今の所ない、だそうだ。
そもそも、先生はWindowsも講義でしか使わないため、ほとんどをLinux系(だいたいubuntu)のPCを使っている。
僕はいわゆるデジタルネイティブ世代だ。先生よりあとの世代であり、「マウス」と「キーボード」2つのインターフェースを使い、PCを操作する。
僕らにとっての当然は、アイコンをクリックすることでアプリケーションが起動し、文字入力にはキーボードで行う。このインターフェースのお陰で、僕らは感覚的にPCの中を移動することができ、また指先を機械的に動かし高速でタイピングを行うことができる。
今までは、これが最も高速で効率的な操作方法であった。
現在の多くのプログラマーやエンジニアもこの方法を取っている。こうしたほうが速いからだ。
しかし、このやり方はだんだんと古くなってきているように感じる。
上でも述べたが、僕の5個下(20歳くらい)の人たちはキーボードなんか触らないのだ。
デジタルネイティブと言われる僕らだが、特にここ数年の若者はPCを使えないという人が多い。プログラミング云々の話ではなく、WordやExcelがわかりません、どこを押せばいいかわかりません、僕も講義のTAをしていてよく質問される。
まぁ、コマンドプロンプトが何ですか?という質問は百歩譲っていいだろう。僕も大学1年生くらいで知った。
けれど、中にはメニューの開き方がわからない、右クリックとは?と聞かれることがある。
そんな時代なのだ。
おっさん世代から見れば、タイピングは愚か操作すらできないとなると、最近の若者は‥‥となるのもわからないでもない。
悪口のような感じがして気がひけるが、TAをしていて本当にお手上げな時がある。え、そこから‥‥?と毎週なってるのも事実だ。
しかし、こうは言うものの別に彼らを批判したいわけじゃない。
今回僕が思うところがあるのは逆だ。
彼らに対して、現在のPCというのは最適な形ではないということである。
スマホネイティブのPCという存在
彼らは2000年前後に生まれた世代だ。デジタルネイティブの中でも、スマホネイティブであり、スマホにおける操作は僕らよりも優れている。
感覚的にアプリを使いこなし、設定をどこで行えばいいのかを理解していて、指先で感覚的に文字を打ち込み、写真や動画も感覚的に加工していく。
これは僕らの父親世代にはない感覚だ。
僕の父親や母親もよく僕や弟に設定の仕方やアプリの使い方を聞いてくる。父親世代までは説明書を読んで使い方を理解していた。
これが、現在ではスマホにもゲームにもカメラにもほとんど説明書がついていない。必要ならネットからダウンロードすることもできるが、ダウンロードすることを想定してそもそも設計されていなかったりする。
というのもUI/UXの考えが広まり、機械やWebサービス、アプリに採用されているからだ。このお陰で、僕らは説明書を読まずとも多くのものを何となく使っても、だいたい使えるようになった。(曖昧ではあるが感覚的に操れる)。逆に、僕ら人間もUI/UXに慣れてきたため、たぶんここら辺にメニューがある、こうすればできるという感覚を経験から獲得している。
また、僕らや僕らよりも上の世代は、基本的にWebサービスはPCで使っていた世代だ。FlashもニコニコもYouTubeも、検索エンジンでも必ずキーボードを触る必要があり、Webサービスを使うにはそれ以外の方法がほぼなかった。そういった経験があるからこそ、僕らはキーボードをある程度使うことができる。
しかし、彼らはスマホで全て事足りる世代なのだ。彼らにとって、PCとはスマホではできないようなより高度な処理をする装置でしかなかったりする。
絵を描いたりデザインをするのもAdobeを入れなくても、iPadで事足りる。ガチのゲーミングPCとして使用したい、もしくはガチでAdobeなどを使ってデザインをしたい、ガチのYouTubeの動画編集をしたい、そんなガチな処理をするための機械なのだ。
YouTubeを見たり、Googleで検索するためにわざわざPCを開いたりしない。キーボードを触る必要がないのだ。マウスも使う必要がない。
逆に言えば、スマホが普及し高性能になったために、低スペックのPCとスマートフォンは差別化するのが難しくなり、むしろPCの使用用途は限定されてきている。
万能マシンに近かったPCは、スマホの台頭によりその万能性が薄れ始めた。
形は変化する
そんなわけで、スマホネイティブというのはPCをもスマホのごとく感覚的に操ることが当然で、高度処理のみをPCで行いたい世代なのだ。
では、PCも彼らに適応しなければならない気がする。
iPhoneに慣れた世代だから、PCでもアイコンを強く押し感圧タッチをしようとするし、ページを戻るために左端をスライドする、画面スクロールもタッチで行う。
そう考えると、最適なPCの形はこうなる。
一般人の持つPCとしては、iPadのようなものが最適な形をしているかもしれない。スマートフォンと同じような操作方法で、処理能力は低〜中スペックPC並み。
ツイートにも書いたが、スマホのようにPCを使う世代が多くなることを考慮すると、appleがiPad独自のOSを開発するのは当然とも言える。
そして、おそらくこのような僕らがタブレットと呼んでいたスマホでもPCでもなかった存在が、PCと呼ばれる存在に変更される未来が来る。これはもう来年、再来年に来てもおかしくない。5年以内ではないだろうか。
僕はMicrosoftのsurfaceを持っているが、これは逆だ。形はタブレットだが、操作性はPCだ。僕的には持ち運びがかなりしやすいため気に入っているが、タッチ機能はほとんど使わない。iPadに比べるとPCとしては優秀だが、タッチ操作性は微妙だ。iPadとは全くの似て非なるものなのだ。
では、文章はどう書くのだろう。
PCのタッチ操作では文字を早くは書けない。レポートや、プレゼン資料作成、その他様々な書類の作成にはどうやって対処していくのだろうか。
先生も言っていたが、僕も最も早い文字の入力装置はキーボードだと思う。早い人であれば、話すよりも早くタイピングしていく。
これに対する一つの解は、例えば、現在のタブレットPCのようなタブレットにもPCにもなるように簡易キーボードが取り付けられているという方法だ。これなら、僕より上の世代でも使うことが出来る。
そして、二つ目の解はキーボードに代わるフリック入力インターフェースだ。フリック入力なら早く入力できるのなら、PCの入力もフリック入力で出来るデバイスを作ってしまえばいい。僕の友人に、スマホでメモ帳に書いた文章をメールでPCに送ってWord貼り替えていた人もいる。似たようなことである。
また、音声入力もある。音声入力により、話すのと同時に書類を作成することが可能になればタイピングスキルは必要なくなる。タイピングの方が早いこともあるが、「こともあるだけ」であって実際タイピングの方が遅い場合が多い。
そして、文字予測も一つの解である。現在よりも文字予測が高度に繋がるようになれば文字入力のスピードは遥かに早くなる。人間の考えることを先回りで考えて、選択肢を出すことでよりスムーズに文字入力が進む。また、使用者の文章の特徴を学習することで、自然に繋がる単語や文章の選択肢を提示してくれるようになるかもしれない。
そう考えると、最近の若者がキーボードで文字が打てない、PCを使うことができない、ではなく、現在のPCの機能が若者に適応していない可能性も見えてくる。
現在のPCに適応しているのは、これを作った世代でしかないのかもしれないし、彼らにとって現在のPCとは時代遅れなのかもしれない。
最後に
現在、たった5年の差でこれだけの操作感の違いがある。もっと下に行けばもっと変わってくるだろう。
話に聞くところでは、文字を書けない&読めない子供でも、YouTubeの音声検索マークを押し音声で検索し動画を見る子供もいるという。音声インターフェースネイティブだ。
この前、僕もテレビ画面を一生懸命ピンチアウトして、拡大しようとする子供を見た。
おそらくPCのインターフェースは、より感覚的なものに変更されていく。
次の時代には、僕らはスマートフォンのような板状のものではなく、MicrosoftのHololensやGoogleのスマートグラスのようなものを掛けているかもしれない。そうなれば、僕らの操作はもはやジェスチャーやブレインインターフェースだったりする可能性もある。PCは形を変化させ、よりナチュラルなインターフェースになっていく。
週1コマの講義だが、僕は彼らを見ながらそんな未来を考えている。
おわり。
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