メモ同期アプリの比較


 この記事は[ https://techblog.show-ya.blue/2024/03/03/memo-sync-service-cross-review/ ]のクロスポストです。
 noteだと色々タグが付けられるのでこちらにも投稿します。


 どうもこんにちは、如月翔也(@showya_kiss)です。
 今日はここ最近メモ同期アプリをもっと便利に使えないかと思い色々調べてきたんですが、自分の中で「Notion/UpNote/Joplin」を使い分けて運用しようと思ったので、それについて経緯と、調べて使った範囲でのメモ同期アプリのレビューをお送りしたいと思います。

メモ同期アプリとは

 まず、メモ同期アプリとは何かというと、人によって定義が違うんですが、簡単にまとめて言うとパソコンでもスマホでも簡単にメモを取る事が出来て、そのメモがウェブ経由で同期できて、かつメモの内容を検索したりタグつけしたりして便利に使えるサービスを指します。
 もうちょっと踏み込んだ内容で言うと「画像を貼り付けられる」「添付ファイルが貼り付けられる」なんかの機能を搭載したメモ同期アプリも多いので「メモの同期・検索しかできない」という訳ではないんですが、ミニマムの定義でいうと「複数デバイスでメモが同期できる」が最低限の定義です。

今回レビューするメモ同期アプリは

 今回レビューするメモ同期アプリは以下7つです。

  • Evernote

  • Notion

  • UpNote

  • Joplin

  • Bear

  • Craft

  • Simplenote

 厳密に言うとEvernoteやNotionは「メモ同期アプリ」と定義するには高機能過ぎますが、メモ同期としても使えるので今回検討材料として挙げさせて頂きます。
 今回紹介するアプリについてはBear以外は最低限WidowsとMacとiOSとAndroidのクロスOSアプリですが(BearはMacとiOSオンリー)、Linuxについては対応しているものと対応していないもの、ウェブアプリだけ対応しているものがあります。
 僕はクロスOS使いなので本当はWindows/Mac/Linux/iOS/Androidの全てに対応するアプリを使いたいのが正直なところなのですが、NotionはLinuxのネイティブアプリ提供がなされていないんですが(ウェブアプリ対応はしている)便利過ぎて使っているのでリストに入れています。

Evernote

 Evernoteは高機能で「メモ同期アプリ」として扱うには若干の躊躇いがありますが、思いついた事をどんどんメモして蓄積し、それを検索やタグつけしながら使うという意味では、業界で最も知名度のあるメモ同期ソフトとして挙げられると思います。
 EvernoteはWindows/Mac/iOS/Android対応で、Linux版についてはベータ版がテストされていますがテスター募集をしていないので今からLinux版を入手する事はできません。
 本来一番有名なサービスで、僕も以前使っていたのですが(課金もした)、最近のアップデートで今まで連携できていたサービスとの連携ができなくなったり、同期できるデバイスが無料範囲では2台までに制限されたり、有料の値段が跳ね上がったりと、これは責めていると思われたら申し訳ないんですがサービスとアプリが改悪を繰り返している状態があり、ユーザー離れがかなり進んでいる状態であるという認識です。
 課金しないとまともに使えないんですが、パーソナルの課金が年間9300円とわりと高く、僕としてはアプリのバージョンが変わって以降非常に使いづらくなったのであまりおすすめできないです。

  • 良い点(課金前提)

    • 知名度が高い

    • Webクリッパーが優秀

  • 悪い点(課金前提)

    • 月間転送データ量が10GBと少なめ

    • 1ノートの容量が200MBという制限がある

    • メモの反映が遅い事が多々ある

    • アプリの使い勝手が悪化した

 個人的にはこの記事を読みに来ている人はEvernoteが選択肢の外に出てしまった人だと思うので、そういう人にはEvernoteはあんまりお勧めしません。
 無課金で行きたいのであればNotion、微課金で行きたいならUpNoteという選択肢があるのでちょっと読み進めて欲しいと思います。

Notion

 Notionは本来オール・インワークスペースアプリとして設計されているものでメモ同期ソフトとして紹介するのは気が引けるんですが、基本的にはテキストを中心に書き込んで使うものなのでメモ同期ソフトとしても使えます。
 対応OSはWindows/Mac/iOS/Androidですが、ウェブアプリがあるのでブラウザさえ使えればブラウザ経由でウェブアプリとして使う事ができます。
 Notionは無料範囲と有料範囲で大きな差がなく、使い方によっては無料範囲でかなり使う事ができるのでかなりおすすめなアプリで、メモの同期も早いですし、あとカレンダーやデータベース、Wiki作成など使えば使うほど便利な機能が盛り沢山なのですが、動線がかなりあっさりしているというかほぼユーザーを放置する感じの導線なので、自分で調べながら使っていくタイプじゃないと使うのが難しいんですが、調べながら色々できるとかなり使える相棒になり得ます。
 僕は割と早い段階で課金しているので、今パーソナルユーザーは年契約で月8ドルなんですが、僕は年契約で月4ドルで契約できており、満足しているので契約は継続しています。ただ、UpNoteという凄い対抗馬が出てきて、それを併用する方向で考えています。

  • 良い点

    • メモの同期速度がかなり早い

    • タグ付け、データベースなどAPIとAI以外の機能はほぼ無料で使える

    • 無料版で1添付ファイル5MB・有料版で1添付ファイル5GB以下の制限で、ページに添付するファイル数に制限がない(1添付ファイルの制限を守っている限り無限にファイルが格納できる)

    • ボックス要素やページをドラッグアンドドロップでページ内移動・ページ間移動できる

    • 無課金でも無制限のデバイスから同期が可能

  • 悪い点

    • 検索精度が今ひとつ(「画像」で検索すると「画」と「像」が含まれるページが検索される)

    • Webクリッパーの精度が今ひとつ(Evernoteの方がレイアウト込みでうまく取り込める)

    • できる事が多すぎる上にガイダンスがショボいので入口から置いていかれる

 Notionは無料の範囲でかなりのサービスを受けられますし、「できる事」を全て使わなければいけない訳ではないので、まずメモ同期アプリとして導入し、それから「今使っているアプリをNotionに置き換えられないかな」「これから始める事をNotionでできないかな」と調べて行くと、かなり深くできる事が多いので本当にお勧めです。
 個人的に無料範囲で使いたいのであればNotionが一番お勧めです。

UpNote

 UpNoteはスタンダードなメモ同期アプリです。
 UpNoteはWindows/Mac/Linux/iOS/Androidで利用でき、課金はiOSかAndroidでしか行えません。課金金額は月100円、または「生涯買い切り」で3600円~4000円です。
 無料範囲では50ノートまでしか作成できない、添付ファイルが利用できないという制限がありますが、課金すると作成ノート数無制限・1添付ファイル20MBまでと利用範囲が拡張され、添付ファイルの数には制限がないので、20MB以内のファイルであれば無制限にアップロードする事ができます。ただ、アップした画像は圧縮されてしまうので「データ保管」に使うには向いていません。
 課金については「月100円」は継続していますが、買い切りについてはアプリのアップデートごとに値段が上がっていくので、買い切るなら早い段階で買い切った方がお得だと思います。
 僕はAndroidから買い切り3600円で購入してしまいました。画像を圧縮されたくない人は画像を添付しつつzipに固めた圧縮ファイルを一緒に保存しておくとデータ保存ができるので、そういう運用もありだと思います。
 ページにタグ付けができるので、Notionで簡単なデータベースを使っている人はマークダウンにエクスポートしてキーワードを検索してタグつけすれば簡単なデータベースもどきとして運用できるので、Notionに課金するほどでもないけどNotionよりもうちょっと便利に使いたい、というニーズに合致すると思います。

  • 良い点

    • メモの同期がかなり早い。動作が全体的にかなり軽快

    • ページにタグ付けができ、そして1つのページを複数のノートブックに保存できる(札幌の写真ページを「札幌」ノートブックと「写真」ノートブックにダブルで所属させられる)

    • 有料課金した場合実質無制限ストレージとして使える

    • WebクリップがEvernoteほどではないがかなり使える範囲である

    • Linuxでもネイティブアプリがある

    • 買い切りの選択肢がありコスパが良い

  • 悪い点

    • ブロック構成ではないのでドラッグアンドドロップで文章を入れ替えられない

    • ページの移動がドラッグアンドドロップではなく右クリックからの移動しかできない

    • 半角スペース込みの検索ができず、半角スペースは全て「or」として扱われるのでエクスポートしたマークダウンをインポートする時に「プロパティ: 値」の間の半角スペースを消してからインポートするなどの工夫が必要

 UpNoteは無料範囲だと50ノートしか使えないので無料で使う選択肢はほぼないのですが、「月100円」または「生涯課金約4000円」で買い切りができるので、まず「月100円」で契約してみて、使ってみて良ければぜひ生涯課金して下さい。
 Notionの無料プランではファイル容量が5MBなので少ない、しかし毎年お金を払うのは嫌だ、という人はUpNoteを買い切ると20MBまでのファイルが保存し放題です。
 難しい使い方をしないのであればUpNoteはかなりコスパが良く、個人的にはかなりお勧めのアプリです。

Joplin

 Joplinはスタンダードなメモ同期アプリです。
 構想としてEvernote代替を目指したフリーソフトで、クラウド同期に「自分が使っているクラウド」を使う事で無料で使う事ができます。
 JoplinはWindows/Mac/Linux/iOS/Androidで使う事ができ、そして特徴として「基本的にローカルにデータを保存し、同期・バックアップ用に自分が使っているクラウドサービスを指定する」形式になっています。なので、ローカル容量を喰いますし、バックアップも自分のクラウドの容量制限を受けます。
 また画面形式が独特で、他のメモ同期アプリは基本的に書いたマークダウンが書式としてその場で適用されて画面に反映されるのですが、Joplinはソース画面とマークダウン表示画面で分かれており、左側にマークダウンのソース、右側にマークダウンを適用したリッチテキストが表示される形式です。
 Joplinの素晴らしい点は、作成したテキストを「暗号化してクラウドに保存」ができるので、クラウドの監視を受けない事ができます。
 僕は誰にも見られたくない、かつ時々色々なデバイスで確認する必要が発生する「個人の日記」について、検索避けをしたWordPressで運用していたのをやめてJoplinを使う事にしました。

  • 良い点

    • 原則として無料である(Jolinクラウドを使う場合有料)

    • 動作が軽快である

    • 自前でクラウドを用意して暗号化して保存できる

  • 悪い点

    • 原則としてローカルにデータを置くのでデバイスの容量を喰う

    • 同期も自分のクラウドを使うので自分のクラウドの容量を喰う

 個人的にはローカルの容量を喰う都合上、色々データを格納する場合「持っているデバイスで一番小さなストレージのデバイスのストレージに足を引っ張られる」構成なので、大量のデータを格納するには向いていませんが、メモを同期する・テキストを同期するレベルに終止するのであれば、テキストで1GB使うのってかなり無理めなので(15年毎日書いた日記で10MB)、テキスト同期だけしたいのであれば有力な選択肢になりえます。

Bear

 BearはMac/iOS用のテキストエディタで、正確にはメモ同期アプリではないんですが、無料で使う分には良い高性能エディタなのですが、課金するとiCloudを経由してテキストの同期ができるアプリです。
 昔Macをメインで使っていた時に、Simplenoteが壊れた事があって、その時期に有料課金していた事があります。当時は年額1500円だったのですが、今調べたら月額400円、年額4000円になっています。
 正直この金額を出すならUpNoteの方が圧倒的に良いと思いますが、エディタとしてはかなりの高性能なので、メインがエディタ使用、同期もできれば最高、かつApple製品をメインに使っている人には刺さる構成だと思います。

  • 良い点

    • エディタとして高機能

    • 外観が非常に美しい

    • 動作が軽快

  • 悪い点

    • Mac/iOSでしか使えない

    • 性能に対してコスパが良くない

 個人的には好きなアプリで外見・操作性も良かったのですが、今僕はWindowsを使っているのと、あとテキストしか同期できないのに年間4000円は払えないというのが正直なところです。
 エディタとしてはUpNoteは全然実用に耐えうるもので、かつ買い切り4000円なので、ちょっと比較にならないと思います。

Craft

 Mac/iOS使いの人の場合、Notion対抗アプリとしてCraftを知っている人も多いかも知れません。
 僕も以前SetAppというアプリ使い放題のサブスクを契約していた時、Craftがサブスクに入っていたので試しに使ってみた事があります。
 Notionに比べて見た目が綺麗で、動線もちゃんと引かれていて好印象だったんですが、ただ一つ、サブスクでお金を取りながら「容量上限が50GBに設定されている」という点でコスパが他に及ばないと判断して使うのをやめました。
 僕は1つ20MB以下の画像データが200件あるページを600件くらい持っていて、これを入れ込むと300GBくらいになるので、なにをどうやっても画像データだけでもうCraftには収まらないのです。
 ただ、テキストメインで使うのであれば見た目が綺麗で使いやすいので選択肢としてはアリだと思います。
 なお、単品で使うと年間14000円なので、ちょっとお値段が張る感じです。

  • 良い点

    • 外観が綺麗

    • 動作が軽快

    • 機能への動線がちゃんとできている

    • メモ同期だけでなくデータベース機能などが充実している

  • 悪い点

    • 課金してもデータの容量上限が50GBで設定されている

    • 他アプリに対して課金額が高い

    • Mac/iOSに対してしか提供されていない

 Craftに関してはそんなに深くつかっていないんですが、とにかく「Mac/iOSでしか使えない」のと「容量に上限がある」の2点がどうしても課金をするモチベーションを失わせる要素なので、恐らく今後も検討リストには入ってこないな、と思います。
 ただ、MacでApp of Yearを取ったアプリなので、デザインや機能性は折り紙付きなので、Appleユーザーさんには大きな選択肢だと思います。 

Simplenote

 Simplenoteは、完全にフリーのテキスト同期サービスです。
 完全無料かつWindows/MacOS/Linux/iOS/Androidにアプリがあり、全て無料で使用できます。
 提供元のAutomattic社はWordPressやWordPress.com、Tumblrなどを提供する大会社であり、アプリとしての信頼性はかなり高く、僕もしばらくこのアプリを使っていました。
 以前Simplenoteの日本語入力が壊れた事があり、1週間経過しても直らなかったので業を煮やしてBearに移り、暫くBearを使った後Simplenoteが復旧したんですが、Bearの方が便利で戻れなかった経緯があるんですよね。まあその後BearからEvernoteを経由して最終的にNotionに着地したんですが。
 無料アプリなので添付ファイルなどの機能はないんですが、テキスト自体は制限なく同期できるので、極論テキストだけ同期できれば問題ない、という人にとっては大きな選択肢だと思います。
 ただ、後述しますが僕はとあるニュースでAutomattic社さんには不信感を覚えたので、Simplenoteは使わないかな、と思います。機能面で見てもNotionを代替はできないので、これはもうNotionを覚えてしまった以上仕方がないと思います。


  • 良い点

    • 完全無料

    • Linuxにもアプリがある

    • 動作が軽快

  • 悪い点

    • 添付ファイルが添付できない

    • テキスト(マークダウンを含む)以外が扱えない

 正直「メモ同期アプリ」という意味ではSimplenoteは100点満点で、無料で使うのであれば全く問題ないのですが、無料という点でいうとNotionはテキストは無制限に無料ですし、添付ファイルも1ファイル5MBまで無料なのでNotionの方が完全上位互換ですし、Notionで色々やってしまうとSimplenoteには戻れないんですよね。
 シンプルにメモだけ同期できればいい、という人にはお勧めですが、もっと便利なアプリがありますよ、とは言っておきます。

WordPress/TumblrのAutomattic社がユーザー情報提供を始めるというので

 色々なメモ同期アプリを紹介した上で別の話をするんですが、Simplenoteを提供しているAutomattic社はWordPressとWordPress.comとTumblrも運営しているのですが、このAutomattic社がAI企業にユーザーデータを売却する事を検討する、という情報が流れているんですよね。
 まだ確定情報ではないので騒ぐ段階ではないのかも知れませんが、僕はWordPressで複数のブログを運営しており(このサイトもWordPressですよ)、基本的に公開しているブログについては別にインデックスして貰ってもAI学習して貰っても構わないんですが、検索避けした上で「自分向け」に個人の日記を書いているブログがあり、これは僕以外のヒットがないので安心していたんですが、WordPress経由で情報が抜かれてAIに学習されると、それだけは勘弁して欲しくて、今とりあえずプライベートな日記だけはWordPressから対比する事にしたのです。
 そのため、日記を保存する方法を「メモ同期ソフト」に見いだして、今色々検討している(というかもう検討してどうするかは決めた)状態なのです。

僕はこういう感じで使い分けます

 僕としては、基本的な考え方として「オリジナルのデータについては複数のバックアップを作成しておく」のが何より大事だと思っているので(結構偏執狂的な情熱がある)、メモやテキストについては徹底的にバックアップしたく、こういう感じで使い分けようと思っています。
 まず、メインで使うのは「Notion」と「UpNote」と「Joplin」です。これらは買い切りのクラウドストレージである「pCloud」と組み合わせてこう使います。

  • pCloud
     ローカルにあるデータ全てをpCloudにバックアップする

  • Notion
     ローカルにあるデータは5GBを超えるものを除き(現在はないです)全てNotionにも格納する

  • UpNote
     テキスト、画像データベースについてはNotionだけでなくUpNoteにも保存する

  • Joplin
     WordPressでつけていた日記をエクスポートして全部保存し、暗号化の上クラウドにおいて複数デバイスで同期する。日記自体はUpNoteに鍵付きで別途保存する(日記をNotionに保存するとNotionにアクセスできると検索されてしまうのでNotionには保存しない)。

 これで作成したデータは全て複数で保存しているので蒸発する恐れはほぼないと言えるでしょう。

前提が違うので個々人で判断して欲しいんですが

 僕は現状Notionについては初期参加者で未だに月4ドルで契約できているのでNotionの価値が高いですし(これから課金する人は月8ドルなので価値が変わってくるでしょう)、UpNoteについてもAndroid版で買い切り契約をしたので3600円で済んでおり、iOSの人は買い切りで4000円なのでちょっと価値が違うと思うので、前提が違うので僕の判断をそのまま飲み込まないで個々で判断して欲しいんですが、是非個々人のニーズに合った方法で使えるようにアプリを選んで頂ければ、と思います。

まとめ

 空気を読まずにまとめますが、個人的にはメモ同期アプリとしては、情報を貯めておく意味も含めて、何でも無制限に保存できるNotionと、買い切りでかなり使えるUpNoteを併用するのが最高だと思っているので、皆さんにお勧めします。

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