湯煎温子という才能/――「凸凹シュガーデイズ・もう1回!」に寄せて
生きていると疲れる。
マスク越しの不自由な呼吸に慣れないことや、「閉店しました」というそっけない紙が貼られた飲食店のシャッターを見るたび、とみにそう思う。
水の中で息を止めていると、一分、二分と時間が経過するごとに少しずつ苦しくなることに、今の状況はとても似ている。
ずっしり重い単三電池がだんだん軽くなっていくのと同じで、疲労というのは肉体そのものを削り取る。だからこういうふうな、ささやかな摩耗が岩に穴を開けていくような疲労を感じている人は多いのではないかと思う。
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