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ゲゲゲの人生観・水木しげる語録から人生を眺めてみると

おかげさまで、先日久しぶりにゆっくり休むことが出来ました。

一日二日、ほぼ仕事をせずにぼんやりしていたのですが、やはり休息は大事ですね。

実はお寺というところは、就業規則と定休日のない住み込みの“自営業”みたいなところ、であったりもします。そこで自主的(強制的?)に区切りをつけないと、“仕事を生きている”状態になってしまいます。

仕事はしていなくても気持ちはいつも仕事モードでは、ちょっとワーカホリック気味ですね。心身ともに少し休まないと、と思っていたのですが、そんな時に水木しげるの言葉を見つけました。

水木しげるは漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の作者でもありますが、またたくさんの名言(⁈)も残しています。

そんな氏の語録を見ていたら、興味深い言葉がいくつか目に留まりました(「水木しげる、名言、語録」と検索してみてください、いろいろ出てきます)。


適当にやらないとね、漫画家は死ぬよ。寝なきゃ駄目。食べたいものは食べないと駄目。疲れたら休まないと駄目。


確かに、「疲れたら休まないと駄目」ですね。

当たり前ですがこんな言葉を見ると、特に頑張っている人は、ちょっと気が楽になりませんか?

きちんと仕事をすることはもちろん大事です、水木しげるの業績を見ればそれはよくわかります。しかしいつも張りつめてばかりだと、いつかパタン⤵︎となりかねません。気を張ったなら、気を緩めることも同じくらい大切なことです。

そして…ちょっとコワいですが、こんな言葉もありました。


寝る時間を犠牲にしていた連中は、早々とあの世に行ってしまった。


実際“早々と行ってしまった”人たちを何人も見てきたのでしょう。あれだけ長いこと漫画家稼業をやってきた人が言うのですから、説得力があります。

頑張ることも大事ですが、疲れたら素直に休みましょう。人間は機械じゃないんですから。

そして、疲れを感じていなくても、出来れば定期的に休みたいものですね。

さて、これだけなら水木しげるは努力や頑張りとは無縁な漫画家のように見えますが、決してそんなことはなく、それどころか次のような厳しい言葉をいくつも残しています。


苦しいことから逃げてはいけない。ラクはいつだって出来る。


苦しむことから逃げちゃイカン。人生はずっと苦しいんです。苦しさを知っておくと、苦しみ慣れする。これは強いですよ。


ベイビィ(子供)の頃からあこがれていた絵で食う暮らしにたどり着き、命の次に大切な眠りすら削って、うんと頭をしぼって、漫画にかじりついてきた。


私の職業である漫画家は、売れなければ終わりの冷酷な世界です。なんとか売れるようになった後も、ヒット作をひねり出し、マネーを獲得しないと食っていけない。普通の心臓ではもちません。よほど好きでないと務まりませんよ、ホントに。


国民的な漫画家として成功したのですから、やはり言葉では言い表せないほどの努力を長いこと続けていたのです。

ところで、そんな冷酷な世界を生き抜いてきた普通でない“心臓”を、どうやって手に入れたのでしょうか。そもそも漫画がよほど好きだというだけで、つとまるものなのでしょうか…

次の言葉にヒントがあるように思います。


戦争で片腕を失っても、絶望なんてしなかった。だって生きてるんだから。


秋の叙勲で、旭日小綬章をもらった。ぼくは名誉なことだとは思うが、生きたくてたまらんかったのに、戦争で無念に死んだ人たちにあげたい。


目先のことにうろたえたり、ヤケになったりしちょってはどうにもならんぞ。


こういった言葉を読むと、氏の漫画や言葉には戦場で生きるか死ぬかの体験してきた水木しげるという人間が裏打ちされているのだと感じます。

であるからこそ、次のような言葉も残しているのではないでしょうか。


(太宰治を読んで)
ぼくはひどく病的な文学に出くわした感じがした。人間は本質的には、犬、猫、シラミ、毛ジラミのたぐいとたいして変わらないものだから、あまりくよくよしたって始まらないのだ。
まあ一例が、原爆一つにしても、悪いことだと思っても、いまだに制作を中止することも出来ないのが人間なのだ。
人間サマだからって別にシンコクがることはない。失格したって落第したってどうっていうことはない。
すべては大地に帰るのだ。


人間はいろんなものを食べますが、死ねば大地に食べられるわけですよ。


実際に生きるか死ぬかを体験した人が語る、「すべては大地に帰る」という言葉。人生の尊さと素晴らしさ。はかなさ、空しさ、そしてあっけなさ。

たとえどんなに偉い人間サマでも永遠に生き続けることはできない…いつかは滅びるこの身。

これが腑に落ちたら、人間サマという変なプライドに煩わされることもなくなるのでしょうが…

わたしも仕事が思うように進まず気持ちが焦ることがあります(次のお話は何を書こうか…とかね)。

でも、上手く出来なくてもくよくよしたり、シンコクがる必要はないのです。いずれは大地に帰る身なのですから。


焦らず 弛まず 怠らず

という言葉があります。そして、

おごらず てらわず ふてくされず

とも。

自分の人生、他人と比べることなく、するべきことを、日々、淡々と積み重ねていきたいものです。

もっとも、これがわたしという人間サマにとっては一番難しいことなのですが…


追記:
そんな水木しげるは、また、次のようなことばも残しています。

古今東西の「あの世」のことを調べていて、気づいたことがあります。
それは、地獄の様子は場所とか民族とかによって様々異なっていて、それぞれ迫力と現実感に満ちているのに対し、天国の方は世界中ほとんど同じだということです。
実に単純なんだ…天国には美しい川が流れ、薄物をまとった美女がいて、美味しそうな食べ物が溢れている。
環境が悪くなったのに目をつぶれば、まさに長い不況で暗く沈んだいまの日本こそ天国じゃないですか。それなのに現代人たちは、悲壮な顔をしてあくせく働いています。


ねずみ男のことば
けんかはよせ、腹がへるぞ。

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