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コラム・住職の方丈記42 ~ 非合理的な買い物 2024.4.13

今回はコラムの冒頭に、クイズを。
 
Q:
リンゴとミカンは合わせて110円で、リンゴはミカンより100円高いです。では、ミカンの値段はいくらでしょうか?
 
A:
5円
 
え? 10円じゃないの?
 
たしかに…10円と思ってしまいがちですが…?
 
そこで、ミカンが10円だとすると、リンゴはミカンより100円高いので、リンゴは110円ですね。
 
すると…ミカンとリンゴの合計は
 
10 +( 10 + 100 )=120
 
となって10円高くなってしまいます。
 
そこで、ミカンを仮に5円とすると、ミカンとリンゴの合計は、
 
5 +( 5 + 100 )=110
 
となって、合計110円。またリンゴはミカンより100円高い、という条件にも適います。
 
ということで、今回のクイズの答え:
 
ミカンの値段は5円(リンゴは105円)、でした。

さて…

くどいようですが、クイズ再び。
 
Q:
バットとボールは合わせて1ドル10セントで、バットはボールより1ドル高いです。では、ボールの値段はいくらでしょうか?
 
A:
5セント(10セントではないです)。
 
なんかこれって、さっきの問題と同じだよね⁈ と思った方、はい、その通りです。
 
実は、こちらがオリジナル。先のは日本人向けにアレンジしたものでした。
 
バットとボールよりリンゴとミカン。ドル建てより円建ての方が馴染みやすいので。
 
ということで、ようやく本題。
 
実はこのクイズ、ハーバード大学などアメリカの有名大学3校の学生たちですら半数以上が間違えた(10セント)という、実は、ひそかな難問であります。
 
なので、先のリンゴとミカンのクイズで、10円と答えた方、どうぞご心配なく。
 
わたしもクイズを見た瞬間、10円(セント)??、と勘違いしました。
 
ましてや、5円と正確できた方は、すごいですね、アメリカの有名大学の学生ですら間違えるひそかな難問です、これは。
 
ちなみに、学生たちにこんなクイズをした(もの好きな)方とは、先月3月27日に逝去した、米プリンストン大学名誉教授のダニエル・カーネマン氏。
 
カーネマン氏はもともと心理学者でしたが、人の心理的な観点から経済学の実験と研究を進め、行動経済学という分野を確立しました。
 
経済分析に人間心理や感情を用いて得た成果が高く評価され、2002年にはノーベル経済学賞を受賞。
 
心理学者が経済学賞を受賞したのですからすごいことです。
 
でも、よくよく考えてみたらわたしたちの経済活動(いわゆる買い物)って、合理的というよりけっこう感情的だと思いませんか。
 
安いからといって、わざわざ遠くの店まで買いものに出かけたり、一目惚れだとかいって不要なものを衝動買いしてみたり…
 
合理的に見えて不合理なのがわたしたち人間。
 
その不合理な言動の根底にあるのが、感情と思いつき(不確かな直観)なのですが。
 
ということで、みなさんは最近どんな無駄遣いしましたか?


追補:
リンゴとミカンの問題を、方程式を使って解いてみましょう。

ミカンの値段を x とすると、

ミカン + リンゴ = 110円  は次のように表すことができます

 x + ( x +100 ) = 110

     x + x + 100 = 110

         2x + 100 = 110

                    2x = 110 – 100

                     2x = 10

                    ∴  x =5


 

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