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コラム・住職の方丈記43 ~ 良寛、春の歌 2024.4.20

良寛は江戸時代後期の禅僧です。「良寛さん」と親しまれることが多いですね。

生涯にわたって寺を持つことはありませんでしたが、多くの歌や詩、書を残しました。

素朴で慈愛に満ちた歌の中から、今回は春の歌を紹介したいと思います。



霞立つ 永き春日を 子供らと
手毬つきつつ この日暮らしつ

松本のとある葬儀ホール
寺院控室の床の間で

子供好きだった良寛。春の日に、子供たちと手毬をついて遊んでいる様子が和みますね。



いざ子ども 山べにゆかむ 桜見に
明日ともいはば 散りもこそせめ

安曇野三郷黒沢川の桜も
そろそろ散り始め

桜はすぐに散ってしまうので、はやく見に行かないと…



何ごとも 移りのみゆく 世の中に
花は昔の 春にかはらず

松本市営霊園の桜


同霊園にて さくらと雲


桜を見ると、世の中の移り変わり、諸行無常を感じる方も多いのでは?



鉢の子に すみれたむぽぽ こき混ぜて
三世(みよ)の仏に たてまつりてな




托鉢の道中、スミレやタンポポが咲いています。
手持ちの鉢を花瓶代わりにして、仏さまにお花をお供えしてしまうのが良寛さんらしいです。



かぐはしき 桜の花の 空に散る
春のゆふべは 暮れずもあらなむ



桜散る夕方、そのひと時に、みなさんは何を想いますか?


追補:

良寛(1758-1831)、号は大愚。

江戸時代後期の曹洞宗の僧侶。

新潟県出雲崎の生まれで、長じて岡山県の円通寺で修行しまた。

35歳のころ新潟県に帰郷。空庵を転々とした後、国上の五合庵に住みました。

晩年は和島の木村家草庵に移り、74歳で示寂しています。

生涯にわたって寺を持つことのなかった良寛のお墓は、木村家の菩提寺である隆泉寺(浄土真宗)にあります。


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