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「バッドエンド」はそんなに悪いものなのか?

※記事の内容的に、色んな作品のネタバレがかまされるのでご注意を

漫画にしろアニメにしろ映画にしろ小説にしろ舞台にしろ、あらゆる物語においてバッドエンドはどうしても後味が悪く感じるものだと思う。

人によっては苦手に感じる方も多いだろう。
しかし全ての作品がハッピーエンドを迎えるというのも如何なもんだろうか。人生に苦楽があるように、この世に善人と悪人がいるように、都合のいい世界なんてない。
だから後味が悪い結末を迎える話があっても良い筈、というか無ければおかしいとすら個人的には思っている。

そもそも物語というものはある地点からある地点までを切り取った文脈の連なりだ。
例えば「主要人物全員が命を落としてしまう」という所がゴールであればそれはバッドエンドだが、その後「別のキャラクターが過去に遡りその悲劇を防ぐ」みたいな所をゴールにしてしまえばそれはハッピーエンドたりえる結末になる。

映画「ミスト」はなんとも惨い結末を迎えてしまうが、仮にそこで物語が終わらず、その後独りになった主人公が懸命に生きて最後家族の墓参りをして終えるという結末であればまだ印象は変わっていたのではなかろうか。
ハッピーエンドではないにしろ、後味の悪さはだいぶ軽減される気がする。

人気作品のスピンオフで、偶に本編に入るまでの前日譚を描いた作品みたいなのがあるが、ものによっては絶望的な結末が確定してるものがある。
FF7のクライシスコアとか。

主人公が死ぬのが確定してるじゃん、という意見もあったりするが、個人的にはそれに対して「でも本編である程度救われる事もあるやん?」と異を唱えたい気持ちがある。

多分、「一つの作品の物語を楽しみたい」のか「一つの世界の歴史を楽しみたい」のかで感じ方が変わってくるんだろうな。

前者の場合「なんで予め良くない結末と分かってるものを見なあかんねん」という気持ちが強いんだろうし、後者であれば「不明瞭だった空白に色が付く」という楽しみ方があるんだろう。
勿論完全に二極化出来るものではないんだが。

中学生の時、バッドエンドという結末に対する考え方が変わった作品に出会った。スクウェア・エニックスより発売されたPS2用ソフト「ラジアータストーリズ」だ。

人間と妖精という2つの種族が生きる世界で、主人公は人間側に付くか妖精側につくかで物語が大きく分岐するんだが、どっちのルートを選んでも非常に後味の悪い結末になってしまうという物語に大変衝撃を受けた。
2つの話をクリアしたら真のルートが出てくるとかでもないので「こんなシナリオがあってもいいんだ!」と仰天した。

それまではバッドエンドや後味の悪い結末を辿る作品を見終わった後はだいぶ凹んでしまう性格ではあったが、このゲームは私の価値観を大きく変えてくれた。それが良いことなのか悪いことなのか未だによく分かってはいないが。

まぁ何が言いたいかというと「バッドエンド」といえどそんな悪いもんじゃないよ、という事ですわ。
人によってはかなりの拒否反応を起こしてしまうんだろうけど、物語の結末においてもそういう多様性が大事にされるような世界であってほしいね。

おわり。

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