技術書(商業出版)の「著者も食える」価格を計算してみる

一般的な技術書は著者の印税が8%〜10%。しかしずっと疑問に思ってきたことがあって、

そう、著者だけが食えてない。なにをもって食えてないかというと、

その本を書かずに仕事していれば稼げた金額 >> 本を書いて稼げた金額

だから。以下、具体的な数字を交えつつ、「もし著者が本の価格に自分の時間単価を載せたらいくらになるか?」を考えてみる。

著者の時間単価をコストに載せると・・・

僕が2015年に出した書籍「iOS×BLE Core Bluetoothプログラミング」は定価が4000円、印税8%で共著で折半だったので、1冊あたりの僕の印税は160円。初版2000部に対する僕の印税は約32万円

で、当時の僕の単価が◯円/日で(単価は有料noteで公開したのでここでは伏せる)、既存案件は収束させてお休みをいただき、新規も執筆期間中は断って、フルタイムで約△日間(数ヶ月)執筆に没頭。その金額が約□万円。

□万-32万円の差額を書籍2000部のコストに載せるとすると、1冊あたりざっっくり1500円のコストアップ。共著の方も同じようなコストだとすると、1冊あたり3000円プラス。著者がしっかり本来の自分の時間単価を載せるとしたら、定価4000円のiOS×BLE本の定価は7000円、ってことになる。

個人的所感

この件はずっと不服に思っていて、商業出版の技術書というのは「今、食える技術」について「今、食えてる著者」が書くものなのだから、執筆に(多大な)時間を割くことによる機会損失分を乗せれば技術書の価格は大幅に跳ね上がるはず。たぶん数万円ぐらいにはなるんじゃ、、と感覚値で考えていたのだが、今回初めて計算してみたらそこまでじゃなかった。専門書として7000円は非現実的な高さというほどでもない。

出版社は定価の計算方法と著者印税率を見直してみては・・・とまとめようかと一瞬考えたが、いや、技術書を書いて著書が書店やAmazonに並ぶことによってつく「箔」のアドバンテージはエンジニアにとって存外大きく(なぜならエンジニアというのは他業種からみて実力の程が見積もりづらいから)、執筆することで多大な機会損失を被っても、個人で出したほうがもっと稼げても、それでも商業出版したいというエンジニアは(しばらくは)後を絶たないだろうから、まぁ現状維持でいいのかな、と思った。

追記:部数減も考慮してみる

こういう意見をいただいた。

確かに。

いくらになるとどれぐらい部数が減るのかは予測しようがないが、たとえば高くなって「部数が半減」すると仮定すると、さきほどのコストは1部あたりに「倍」乗ることになるので 4000 + 3000 × 2 ってことで1万円超え。実際は半減どころではなく1/3、1/4になるだろうし、そうなると一部あたりの印刷コストや輸送コストも高くなり・・・等々で企画成立がどんどん非現実的になってくる。

そもそも執筆稼働時間の加味の仕方が妥当ではないかもしれない

部数が下がったときに印刷コストが高くなりそう、とか考えたときにふと思ったが、今の印刷コストは長年の業界全体での努力によりコスト削減して最適化してきた結果が反映されたコストであって、自分の執筆コストを乗せる際に加味した「自分が実際に執筆にかかった時間」は、本業はエンジニアな著者による「非プロフェッショナル」な数字なので、それを単純に価格に乗せるのも全然理にかなってないよなぁ、と思った。

具体的には、僕はnヶ月かかったけど、早い人が書けば1ヶ月でいけるだろうから、執筆にかかった時間nヶ月分のコストを乗せることに妥当性はないな、と。

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shu223

フリーランスエンジニアの働き方シリーズ

フリーランスエンジニアとしてどんな感じで働いているか、実経験に基づき色々と書いていきます。
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