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日進月歩 ~Road to MBA~#137

2021/6/26:ビジネス・オーガニゼーション4④
 土曜日は、経営組織論を専門とされている山中先生の講義をとっており、11回目の講義(春学期2の4回目の講義)となります。前講義(#132)では「分権化によっておきる調整メカニズム」と「組織コンフィギュレーションの基本構成」について学ばせていただきましたが、本講義では「組織のコンティンジェンシー要因」について講義いただきました。

■組織のコンティンジェンシー要因(構成要素)

 組織とは時代によって変化するものであり、環境に適応して構成されているものである。予測できない不確実な世の中における条件依存的、状況的要因などの組織内外の諸要因(コンティンジェンシー要因)を基に、組織デザインは変化されていく。組織デザイン変数と設計のパラメーターの要素は4つに分けることができ、以下の要素があげられる。

➀組織の年齢と規模(the age and size of the organization)
➁技術システム(the technical system)
➂環境の諸特性(the environment)※次講義にも記載
④権力関係(power relationships)※次講義で記載


■組織のコンティンジェンシー要因(➀組織の年齢と規模)

 組織の年齢と規模に関するコンティンジェンシー要因としては、以下のような5つの区分けによって考えていこうと思う。

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(1)組織が古くなるにつれて、その行動は形式化される
⇒同種の行動の反復頻度が高まり、行動の予測可能性が高まっていくことによって、行動が形式化されていく(標準化やプログラム化)。

(2)組織の構造は、操業する産業が勃興した時代を反映する
⇒組織構造は組織自体の「年齢」に関わりはなく、その組織が操業を始めた「時代」によって影響されている。新興の産業ほど職務専門化やプロフェッショナル化が進行していることも分かっている。

(3)組織が大規模化するにつれて、職務が専門化・分化されて管理・行政部門が発達する
⇒大規模化すると業務処理量も増大することが伴っているため、明細な職務専門化を可能にし、分化される傾向が強まる。その結果、間の調整も必要となってくるため、官僚制によって監督する運びとなる。このようにハイアラーキーをも拡大することで直接監督を徹底する、もしくはテクノ構造を増強して業務プロセスの標準化をする、もしくはアウトプットを標準化して統制する、難しいようであれば相互に調整できる連携構造を考えていくことが、組織が大規模化すると重要になってくる。

(4)組織が大規模化するにつれて、単位組織の規模も大規模化する
⇒組織の専門化と分化の進展は、専門化された職務の標準化を促し、管理者の業務負担を低減させることによる管理範囲の拡大も可能としている。より大きな単位組織の編成ができ、組織の階層化も緩和できる。

(5)組織が大規模化するにつれて、行動はより形式化される
⇒処理する業務量が増大することで、同種の行動の反復頻度が高まり、行動の予測可能性が高まっていくことで行動が形式化(標準化やプログラム化)される傾向は強まる。しかしながら、大規模化は従業員数の増加も伴っており、組織内の混乱やコンフリクトの可能性も高めてしまうこととなる。回避するためには、従業員の行動を形式化する手段(規則、職務記述書など)を考える必要となる。


 このように区分けがされた中で、グループディスカッションにて自社においてコンティンジェンシー仮説(①組織の年齢と規模)があてはまるかどうかについて考察してみた。その中では、年齢と規模という区分けにおいてどちらが影響を及ぼす可能性があるか、といった示唆も見受けられた。

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 また、「形式合理性 vs 実質合理性」という論点もあり、形式的な合理性を高めることで組織としては効率化できるが、顧客に対して実現する価値を合理性によって高めていけるのか、両利きで実施できるかは別の論点で学びたいなと思っている。

■組織のコンティンジェンシー要因(②技術システム)

 作業担当者によってインプットをアウトプットに変換するために使用される手段(Mintzberg,1979)であり、3つの区分けにて考えていこうと思う。

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(1)技術システムがより制御的になるにつれて、作業核の作業はより形式され、構造は官僚制化する
⇒制御によって作業担当者の仕事の統制が強まることが要因とされており、作業の形式化と組織の官僚制化が進む。また、作業担当者の職務を規制する技術システムは、作業を高度に常軌かして予測可能にしている。

(2)技術システムがより精巧になると、より専門的なスペシャリスト人財を擁する
⇒技術システムの複雑性が増すと、より必要な専門知識を有する「スタッフ・エキスパート」の雇用必要性が生じてくる。また、スタッフ・エキスパート間の相互調整を促すような「リエゾン方策(戦略)」が必要となってくる。

(3)作業核の自動化は、官僚制的から有機的な管理構造へと転換する
⇒作業が自動化(オートメーション化)することで、作業工程・生産過程の保守のみになるため、変化と異常への対応が主たる役割となる。自動化をすることによって、中間管理者などのライン権限を削減され、調整におけるコストを減少させることができる。


 また、その他にも技術類型と組織デザインの関係を「管理レベル」「統制範囲」「直接/間接労働の比率」などの観点で考えた場合に、Ⓐユニット生産、Ⓑテクノロジー大量生産、Ⓒ連続処理生産に分けることが可能となる。

<技術システムの2つの次元における考察>
・規制と制御:業務活動が作業手段によって統制あるいは制御される程度
・精巧さ:技術システムを理解することの難しさの程度
<Woodward(1965)の技術的複雑性の類型(Mintzberg,1979:ハッチ,2017)からの考察>
Ⓐ:小バッチ(ユニット)生産=顧客の要求に応じたユニット生産、試作品の生産など
Ⓑ:大バッチ(大量)生産=組み立てラインにおける大量生産(効率化)
Ⓒ:連続処理(プロセス)生産=多重処理工場における化学製品の断続生産(バッチ生産)
※上から「技術的複雑性」の程度が「低度⇒高度」に分類されている
<デジタル化による組織デザイン(ハッチ,2017)からの考察>
IT化やテクノロジー化によって組織デザインも変化しており、これまでの価値でない新しい価値や組織の考え方が必要になってくる
【旧】生産活動の手段や道具(手の延長)である
【新】汎用的、目的依存的、意味創出的、価値依存的などの代替物
=DXによって何をデジタル化して「価値提案」をしていくか(目的)
=仕事の進め方の変化:方法の変化(効率化)や情報伝達(コミュニケーション)の内容も変わってきている

 このように区分けがされた中で、グループディスカッションにて自社においてコンティンジェンシー仮説(②技術システム)があてはまるかどうかについて考察してみた。

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■組織のコンティンジェンシー要因(③環境の諸特性)

 競争戦略と環境分析におけるフレームワークや、タスク環境と一般環境におけるフレームワークにて影響を分析できる環境諸要因であり、統制(コントロール)が出来ない要因となっている。

※市場、政治風土、経済条件などに関係した組織外部の文脈の様々な特徴(Mintzberg,1991)
※組織の直接的な統制の及ぶ範囲外に存在し、意思決定や行動に影響を及ぼし、時にこれを制約するような要素の集合(ダフト,2002)


◉戦略的ポジショニングのための分析モデル:SCPモデル

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※業界構造:競合企業の数、製品の均質性、参入と退出のコスト
※企業行動:製品差別化、市場占有率に基づく行動
※パフォーマンス:標準を基準としたパフォーマンス
⇒業界を「完全競争」・「独占的競争」・「寡占」・「独占」に分類する


◉戦略的ポジショニングのための分析モデル:5Forces

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 次回の講義では「➂環境」と「④権力」について考え、環境が及ぼすコンティンジェンシー仮説を紐解いていこうと思う。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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