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高校生がNASAのオープンデータを活用して開発した「宇宙の地図」がおもしろい!

僕が代表を務めるスタディメーター株式会社では、2年前から高校生や大学生と一緒に新サービスを開発する取り組みを行っています。今年からは、この活動を「First off Projects(FoPs)」と命名して、一つのチームとして活動しています。

そして、FoPs立ち上げ後初の成果「宇宙の地図」が完成したので、紹介させてください。

取り組みの詳細については、プレスリリースをご覧ください。
この記事では「宇宙の地図」のおもしろポイントや、開発の裏話を紹介したいと思います。


宇宙はおもしろい!

これを開発した高校生は、将来「宇宙産業に携わりたい!」具体的には「ロケットをつくりたい!」と話していたので、何か宇宙に関わるサービスをつくろう!というのが最初のきっかけでした。

そんな中、僕自身が宇宙のことをあまり分かっていなかったので、勉強のために、まずこの本を読んだのです。

良書でした。宇宙産業は伸びると確信した。
要するに、これからの宇宙はロマンとかではなくて、地球資源が枯渇する前に宇宙へ新資源を調達しに行かねばならない、というすごく現実的な話なのです。だからIT業界のビッグたちは積極的に宇宙へ行くのですね。これは地球資源を大切にしようというSDGsに見切りをつけているともいえるし、ある意味SDGsの解のひとつなのかもしれない。


個人で宇宙に関われるか?

ということで宇宙にアツくなった僕ですが、じゃあ弊社のような小規模事業者が、高校生と一緒に何をやるか?については結構悩みました。ロケットなんて作ろうとしてもあらゆるリソースが足りないし、かといってオモチャみたいなものを作っても面白くない。

やはり小さいリソースで実用的なサービスをつくるならデータ活用施策だろう…と考えて調べていたら、NASAが宇宙に関するオープンデータをたくさん公開していることを知りました。

宇宙の写真集とか…

火星の天気とか…

そんな中で注目したのが、太陽系外惑星のデータセットです。

全部で5500くらいの惑星が発見されている

これを使えば、「宇宙の地図」を作れるのではないか?というのがこのプロジェクトのアイデアです。しかも、平面の図解は既存でいくつかありましたが、3Dマップは意外となかったので、サービスとしても新しそうだと思いました。


開発はChatGPTに頼めばいい!

実装にあたっては、Plotlyというグラフライブラリを見つけて使いました。

一つ工夫したのは、もとのデータセットは球座標で定義されているのに対して、このライブラリでは直交座標で指示する必要があったので、まずはその変換を行ったことです。
この計算は理系の高校生にちょうど良い演習問題で、でも実は僕も計算方法を忘れてたので、ChatGPTに教えてもらいながらやりました。

データセットの作成はGoogleスプレッドシートを利用。ほとんど使ったことが無いということだったので、関数の利用とかセル参照とか、基本的な技術を学ぶきっかけになったと思います。

また、開発も当然ChatGPTフル活用です。本人はWeb開発もはじめてだったので、開発難易度を下げるためにデータセットをCSVにしました。でも、CSVファイル操作のやり方がわからなくて、作りなれたDB操作よりむしろ大変だったかもしれない。


可視化するともっとおもしろい!

このようにして生まれた3Dマップなのですが、可視化したことによって面白いことに気づきます。

惑星を3D空間にプロットすると、こう、変な形になるんですね。

バグってるわけじゃない!

最初見た時は、座標変換の計算を間違えたかな…と話していたのですが、実はこの形にはちゃんと意味があると分かりました。

NASAは、宇宙を監視する2台の宇宙望遠鏡を公開していて、皆はそのカメラからのデータをもとに惑星を探しているそうです。特に片方のカメラは銀河の中心を向いているらしい。だから、この2つ以外の方向にもきっと惑星はあるけど、まだ発見されていないのです。

また、惑星の名前は、惑星発見プロジェクトの名称なのだそうです。たとえば、NASAカメラ②の方角の惑星は、「Kepler-○○」という名前のものが多いです。これはNASAカメラ②の名称が「ケプラー」であることに由来するプロジェクト名なのですね。

説明は生成AIの記述なので、正しいかどうかわからない…

僕は宇宙初心者なので、とりあえず生成AIに説明を書かせていますが、一つ一つの惑星にもちゃんと発見ストーリーがあり、生物がいるかも!とか、数学的な「点」とは違う奥深さがあってずっと眺めていたくなります。

5歳児も大喜び!

あと、うちの5歳の娘は開発中段階から「宇宙の地図」ユーザーの一人で、しょっちゅう「うちゅう!うちゅうみる!」と言っています。特に「太陽から一番遠い星」が気になるようです。

「宇宙の地図」からの目視ですが、一番遠そうなのは「OGLE-2015-BLG-0051L b」でしょうかね。太陽からは、何万光年か先です。子どもにはこの意味不明な惑星の名前がツボらしくて、読むだけで大喜びします。あまりにもハマって、いまは宇宙の図鑑も読んでます。
このサービス自体が宇宙産業の発展に直接役立つわけではありませんが、宇宙に興味を持つ子どもを一人増やしました。

説明が正しいかどうかはわからない…


これからも、いろいろ挑戦したい!

このサイト、超おもしろいからNASAの中の人たちにも見てほしい!と僕は思いました。本人はふーんそうですか、という感じでしたが、僕が盛り上がって、このようにSNSでつついてみましたが、残念ながら反応ありませんでした。さみしい。

まあNASAの反応はともかく、企画から3か月で、宇宙も開発も勉強しながら、なかなか面白いものがつくれたなと満足しています。
これからも学生たちといろいろなものを作っていくので、注目してください!


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