高卒認定試験(英単語)のレベルを確認してみた。

1.はじめに

別の記事で高卒認定試験の数学について書きましたが、英語の難易度も気になり調査してみました。


2.調査方法

1)高卒認定試験の英語の問題
以下のサイトからダウンロードしています。(令和3年度第2回)

テキストファイルに英文をコピーしました。

2)英単語

CEFR-J のwordlist を利用しています。ちなみに複数形、過去形、3単元のsといった形は記載がないので、適宜追加しています。

-CEFR-Jとは
CEFR-Jは欧州共通言語参照枠(CEFR)をベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された、新しい英語能力の到達度指標です。CEFR-J の指標は、「言葉を使って何ができるか」ということを文章で明示する、can do という能力記述子(descriptor:デスクリプタ)を用いて記述されています。かつ、すべての項目をさまざまな調査結果を用いて検証したデスクリプタで構成されています。

レベルの目安は以下の通りです。

A1 - B2

3)調査のためのアプリケーション
確認のためのアプリケーションはRustで作成しましたので、興味があれば見てみてください。
(勉強中なので参考程度にしてください。)
https://github.com/ShugoYoko/eng_compare

exe ファイルをビルドして、Problemフォルダ内に問題、Databaseフォルダにwordlist や除外する単語を記載したcsvファイルを入れて実行すると以下のようになります。

実行結果

若干構成は違うのですが C# のコードは以下のものになります。
https://github.com/ShugoYoko/EnglishCompare.Con

3.調査結果

1)A1からB2まで全ての単語で問題文(高卒認定試験の英語)をどこまでカバーできているか。

94% をカバーしていました。カバーしていない単語は以下の通りです。

<人名や会社名>
tomoki, suzuki, hana, tanaka, mike, miki, abc
<数字関連>
third-year, first-year, ten-minute
<国名、地域名>
portland, japan, sydney, oregon, tokyo, uk, akita, tazawa, italian
<言語>
english, japanese
<感嘆詞>
oh

上記の単語はカバーするとキリがないので一旦スルーすると、以下のような単語が挙げられます。
expired, apps, coupon, coupons, leftovers, signboard, prefecture

問題 2-2) couponとexpiredが使われている文です。分からない場合は状況から想像するしかないのですが、難易度は上がると思います。
Can I use this coupon? <このクーポンを使用できますか。>
I’m sorry. It’s expired.<ごめんなさい。期限切れです>

問題3-2) prefecture は知らなくても、何とかなると思います。
Lake Tazawa in Akita Prefecture is surrounded by beautiful nature.
<秋田県の田沢湖は美しい自然に囲まれている。>

問題3-3) apps は知らなくても、解くべき内容の補足なので影響ないと思います。
This is because food delivery apps have made ordering delivery much easier and quicker.
<というのも アプリのおかげで、出前の注文がより簡単かつ迅速になったからだ。>

問題7) signboard,leftover は長文で使用されています。その単語以外の部分から内容を予測することは可能かと思います。
She suggested that the restaurant make a signboard to show
customers how much food was being wasted.
<彼女はレストランに、どれだけ食べ物が無駄になっているかを客に示す看板を作ることを提案した。>
One day, she saw a TV program that explained it is quite normal for people in foreign countries to bring back leftovers when they eat out.
<ある日、彼女はあるテレビ番組を見た。外食の残り物を持ち帰るのは、外国ではごく普通のことだと説明していた。>

検討の結果、問題 2-2) は難しいかもしれませんが、それ以外は特に問題なく合否には影響しないものと思われます。

2)A1からB1までの単語で問題文(高卒認定試験の英語)をどこまでカバーできているか。

93 % をカバーしていました。
1)の内容に加えてカバーできない単語は以下の通りです。
<これはB2に記載されている内容ということになります。>
friendly, environmentally, suburbs, regardless, environment, clothing, cooperation

問題2-2)clothing は分からなくても、store から店だけ分かっても問題ないと思います。
At a clothing store<衣料品店>

問題4-1)cooperation は Thank you までで大体意味が分かるので大丈夫だと思います。
Thank you for your cooperation.<ご協力ありがとう>

問題5-1)friendly, environmentally は以下の文で使用されています。他の文章は読めると思うので、問題は解けると思います。
Portland, Oregon is said to be an environmentally friendly city.
<オレゴン州ポートランドは環境に優しい都市と言われている。>

問題5-3)regardless は選択肢に入っているので、他の選択肢を検討することで回答にはたどりつくと思いますが、嫌な感覚が残ると思います。
Regardless of

問題7)suburbs, environment は以下の文で使用されています。この単語が分からくても何とかなります。
Miki ran an Italian restaurant with her husband in the suburbs of Tokyo.
<ミキは東京郊外で夫とイタリアンレストランを経営していた。>
He understood her consideration towards the customers, the
restaurant, and the environment.
<彼は、彼女の客やレストラン、そして環境に対する配慮を理解していた。>

検討の結果、問題5-1は難易度が上がる可能性があるものと思います。

3)A1からA2まで単語で問題文(高卒認定試験の英語)をどこまでカバーできているか。

82 %をカバーしていました。
以下のような単語がカバーできなくなっています。
<単語>
vehicle, according, blocking, satisfied, available, pie, responsibility
graph, noticed, season, mild, absent, consideration, hire, reduce
opening, increasing, immediately, paid, spicy, doc, reserved, individuals
foot, ocean, shoppers, wasted, delivery, part-time, lately, recommend
per, attracts, serious, taste, discount, workplace, totally, required, owns
score, reservation, maximum, waste, surrounded, pork, amount, wagon
marine, hearing, straws

キーワードがいくつかあるのでこの辺りから運が良いか悪いかくらいの合格率になり、ぎりぎり合格できるかできないかの水準になると思います。

4.結論

高卒認定試験の英語は安定して合格するのであれば、CEFR-JのB1レベルの単語まではあった方がよいかと思います。
そのためCEFR-Jの活用に取り組まれている投野由紀夫さんの著作で言うと以下のような目安になると思います。

<ぎりぎり合格の可能性ありのレベル>

<安定して合格のレベル>

また実際に問題を解いた感覚としては、時間制限も含めると本当に英語から離れていた人や中学時代から勉強していない人だと1年では間に合わない可能性があると思います。
(共通テスト向けに勉強している人だと特に問題はないと思います。)
そのため実際に問題を解くなどして、距離感を確かめ計画的に学習されることをお勧めします。









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