世界一わかりにくい算数(小学校2年_数と計算編)


1.日本のカリキュラム

 日本のカリキュラムは、整理すると次のようになります。
(以下のサイトを参考にしています。)

内容を私なりにまとめると以下のようになります。

(A.数と計算)
1000までの数を理解し、大小関係や数を固まりで把握する。
1つの数を数の積とみる。
簡単な分数を知る。
百の位の加法、減法ができるようになる。
九九や簡単な2桁の計算(4×10,4×11等)もできるようになる。

割り算をやる前に簡単な分数をやるほうが、分かりやすい気はそこまでしないなと感じました。
分数は難しい考え方なので、3年生位まで遅らせて割り算やってからの方がいいのではと思っています。
そこで分数の話は、小学校3年生編に移します。

2.米国のカリキュラム

 世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国を参考にします。
ソースはカーンアカデミーを参考にしています。

2nd gradeと若干 3rd grade を参考にしています。

2nd grade
1)20 までの足し算と引き算
2)桁
3)100 までの足し算と引き算
4)1000 までの足し算と引き算
3rd grade
1)かけ算入門
2)1桁と簡単な2桁の掛け算

気づいた点はかけ算について逆にしても成立することや、そのかけ算で何を求めたかということを教えることに注力している点です。
日本だと九九が正しく言えるかにこだわり、私が子供のころは逆で言うとやり直させられたりしました。(逆というのは8×6が言いにくいときに6×8の方で言うことです。)
今ではもう少し肩の力は抜けているといいと思いますが、算数の本質的でないところにこだわりすぎないようにしてほしいところです。

九九は優れた技法だと思いますし、意味のないものを記憶する力が強い幼少期にそういったことを記憶することは、意味があると思います。
ただ変なところにこだわって九九そのものに拒否反応を起こさせるようになってほしくはないなと感じています。

3.理解と社会的実践

(1)20までの足し算と引き算になれる

足し算と引き算については、すでに説明しました。

「20までの足し算と引き算」に慣れると、位が大きい数を扱うとしても、0の位置が変わるだけでやってることはほとんど変わらないと感じると思います。

[算数の問題]
(1)
算数の問題集をやっています。昨日3問解いて、今日は11問解きました。
昨日と今日で何問解いたでしょうか。
(2)
A君は16m泳ぐことができます。B君は9m泳ぐことができます。16 と 9 を比べてどっちが大きいか不等号で表してください。
またA君はB君に比べて何m長く泳ぐことができるか計算してください。

(答え)
(1)
(昨日解いた問題数)+(今日解いた問題数)=(昨日と今日で解いた問題数)なので
3+11=3+(10+1)=(3+1)+10=4+10=14
(2)
不等号の復習です。 16>9 となります。(9<16 とも書けます)
(A君の泳げる距離)=(B君の泳げる距離)+(A君がB君より長く泳げる距離)
16=9+□ となるので 16 を 9 と□という数に分けるということになります。
そのため □=16-9=(10+6)-9=(10-9)+6=1+6=7 となります。

(2)位

位の基本的な考え方と100の位まではすでに説明しました。
例えば 593 という数は、500+90+3 と同じ数であり、
[100 の固まりが5 個]と[10 の固まりが9個]と[1の固まりが3個]とみることができます。
また「100の位が5」、「10の位が9」、「1の位が3」とも言えます。

2年生で「100の位」から更に増えて、「1000の位」と「10000の位」が追加されます。
6000は「1000の固まりが6個」(「1000の位が6」)の数字です。
さらに 70000は「10000の固まりが7個」(「10000の位が7」)の数字です。

[算数の問題]
「5」と「0」と「7」という3つの数字を使って表せる最大の数をいくつでしょうか。
(答え)
色々試してみるのもいいと思います。
3個の数字があるので、最大の数は100の位に一番大きい数が来たものになります。そのため7が先頭に来て、「750」または「705」のどちらかになります。
10の位の数が大きい数の方が大きいので「750」が答えとなります。

(3)不規則な増え方

1以外の増え方でよく使われるものを見てみたいと思います。

○ 2ずつ増やす
0から2ずつ増やすと、0、2、4、6、8、10、12、14、16…となります。
1から2ずつ増やすと、1、3、5、7、9、11、13、14、15…となります。
0から2ずつ増やした数を偶数、1から2ずつ増やした数を奇数といいます。
この数の面白いところとして、以下のようなところがあります。
・1の位の数を見ると奇数か偶数か見分けることができます
(0,2,4,6,8 であれば偶数、1,3,5,7,9であれば奇数です。)
・数を大きくしていったとしても数は奇数か偶数かの2つにわけることができます。

[算数の問題]
①、➁、➂の赤枠に囲まれた○の個数について奇数か偶数か答えてください。

奇数・偶数

(答え)
①は6個なので偶数、➁は5個なので奇数、➂は9個なので奇数です。

[社会実践問題]
パリの住所の番地は、通りの一方を偶数番地、もう一方を奇数番地にしていると聞いたことがあります。
今131番地にいて、135番地に行きたい場合、通りを渡るべきでしょうか、そのまま進むべきでしょうか。

[答え]
奇数同士なのでこのまま進むべきでしょう。
これも数を2つに分けるということを利用した生活の知恵だと思います。

○ 硬貨の増え方
現在、日本では1円、5円、10円、50円、100円、500円といった硬貨があります。
それぞれの硬貨の枚数によってお金は、以下のようにとびとびで増えます。

1円が1枚ずつ増えると:1、2、3、4、5、6、7…
5円が1枚ずつ増えると:5、10、15、20、25、30、35…
10円が1枚ずつ増えると:10、20、30、40、50、60、70…
50円が1枚ずつ増えると:50、100、150、200、250、300、350…
100円が1枚ずつ増えると:100、200、300、400、500、600、700…
500円が1枚ずつ増えると:500、1000、1500、2000、2500、3000、3500…

(4)100~1000の計算=位が増えてもやることは変わらない

足し算や引き算の計算方法は、色々なやり方があります。
例えば、3+8の場合、「3を7増やして更に1増やしたり」、「3を5増やして更に3増やしたり」することができます。
引き算でも同じように、11-8の場合、「11から1引いて更に7引いたり」、「11から5引いて更に3引いたり」することができます。
基本的には10を意識してやるのがよいのですが、色々なアプローチの仕方があるということは事実です。
そのため20までの数が出てくる足し算や引き算については、ある程度自分なりに慣れて計算できるようになるということは大切です。

20までの数が出てくる足し算や引き算について慣れると、位が増えた計算も0の数がちがうだけで同じことをしていることになります。
その点について説明します。

○ 足し算について
数を分解して同じ位の数を足し算します。
683+239=(600+80+3)+(200+30+9)   <-数の分解
              =(600+200)+(80+30)+(3+9)  <-同じ位の足し算
              =800+110+12    <-6+2、8+3、3+9の計算とやってることは同じ
              =(800+100)+(10+10)+2=922
この計算の中で80+30、3+9は一つ上の位に上がりました。これを繰り上がりといいます。

○ 引き算について
数を分解して同じ位の数を引き算します。足りない場合は一つ上の位の数からもらってきます。これを繰り下がりといいます。
847-562=(800+40+7)-(500+60+2)   <-数の分解
              =(800-500)+(40-60)+(7-2)  <-同じ位の引き算
ここで 40-60 は(小さい数)-(大きい数)になってしまいます。そこで800から100もらいます。その結果、800=>700、40=>140になります。
              =(700-500)+(140-60)+(7-2) <-0の位置は違うが7-5、14-6、7-2
    =200+80+5=285

ここで紹介したやり方を立て書きにして、位を見やすくした方法が学校で教えられますので、頑張って習得していってもらえればと思います。

[算数の問題]
(1)  48より13少ない数はいくつですか
(答え)
最初から48-13だなと思える人はそのまま計算してください。
ちなみに (求めたい数)+13=48  □+13=48  
□=48-13=(40+8)-(10+3)=(40-10)+(8-3)=30+5=35 

(2) 26より35大きい数はいくつですか
(答え)
26+35=(20+6)+(30+5)=(20+30)+(6+5)=50+11=61

(3) 500円を3枚、100円を2枚、50円を3枚、10円を6枚、5円を6枚、1円を8枚持っています。いくら持っていますか。
[答え]
計算の仕方は色々です。「全部を足すということ」と「数がとびとびに増える」(硬貨の増え方を参照)という点を意識してください。
(500円3枚)+(100円2枚)+(50円3枚)+(10円6枚)+(5円6枚)+(1円8枚)
=1500+200+150+60+30+8
=(1000+500)+200+(100+50)+60+30+8
=1000+(500+200+100)+(50+60+30)+8
=1000+800+(50+50+10+30)+8
=1000+(800+100)+40+8
=1948

(4)  184匹の魚を水槽で飼っています。A君に35匹、B君に14匹あげました。魚は残り何匹でしょう。
(答え)
(魚全部)=(A君にあげた魚の数)+(B君にあげた魚の数)+(残りの魚の数)
184=35+14+□ と考えてもよいですし、最初から 184-35-14 と考えてもよいので考えやすいほうで考えてください。
184-35-14=(100+80+4)-(30+5)-(10+4)
                 =100+(80-30-10)+(4-5-4) 
4-5-4 ができないので80から10もらいます。80=>70、4=>14 になります。
    =100+(70-30-10)+(14-5-4)
               =100+30+5=135

[社会実践問題]
契約しているアンペア数が30Aだとします。
冷蔵庫(3A)とプラズマテレビ型(5A)とアイロン(14A)を使用したうえで、電子レンジ(15A)を使おうと考えました。
やめたほうがいいでしょうか。
一度につかうために必要な電力量は足し算によって求めることができます。
<Aの値は大体の目安です。>
(答え)
必要な電力量は 3+5+14+15=3+5+(10+4)+(10+5)=(10+10)+(3+5+4+5)
                           =20+17=37 
37A なので契約アンペアを超えており、ブレーカーが落ちる可能性がありそうです。

(5)かけ算とは

同じ数の足し算を繰り返す計算のことをかけ算といい、
(同じ数)×(繰り返す回数)で表します。
または(数の固まり)×(その数の固まりの数)とも考えられます。
まずは具体例を見てみます。○の数を数えようと思っています。

かけ算

①では2個の固まりが3個あるとみることができます。
そのため 2+2+2 となり、2 という数を3回足すことになります。
それを 2×3 と表します。
➁では3個の固まりが2個あるとみることができます。
そのため 3+3 となり、3 という数を2回足すことになります。
つまり 3×2 と表すことができます。

①と➁は同じ6個の○について見方を変えただけです。
かけ算においては足し算と同じで、順番を変えても答えが変わらないという性質があります。(2+3=3+2 、 2×3=3×2)

実際計算するときは九九というものを覚えていると便利ですが、まずもう少しかけ算についてみていきたいと思います。
私が子供時代に始めてかけ算を習ったときに、足し算があるんだからかけ算は要らないのではと思いました。
ただ色々な場面でかけ算を使うようになり、その便利さに気づきました。
その例をいくつか示したいと思います。

1)硬貨の計算
500円を8枚、100円を5枚持っているときに
500+500+500+500+…..+100+100+100+… としなくても
500×8+100×5 と計算することができます。
電卓を使って計算するとしても、かけ算の方が入力する文字が少なくてミスしなさそうだなと感じると思います。

2)何個がセットで扱われているものを計算するとき
例えばペットボトル「1ダース」というとペットボトルの12本セットのことをいいます。
ペットボトルを10ダースと言われたときに何本ペットボトルが入っているか考えるときは、12+12+12+….. で計算せず、12×10で計算することができます。

3)一旦セットで考えてから少し修正するケース
あるクラスの人数を数えたいとします。1列に8人いて、5列あったとします。そして5列目だけ7人だったとします。
その場合、全ての列に8人いたとして、8×5 とした後に答えから1を引けば、足し算していくよりも早く計算することができます。

このようにある数の固まりと考えて、それを繰り返す足すというケースは実は実生活に溢れています。

[算数の問題]
答えを計算しなくて良いので、式を考えてください。
(1)
トランプはスペード(♠)・ハート(♥)・ダイヤ(♦)・クローバー(♣)の4種類のマークのカードがそれぞれ13枚ずつあります。(ジョーカーというカードを除いています。)
トランプの枚数は全部で何枚か、どのように計算すればよいでしょう。
(答え)
13枚のカードが4種類あるので、13の固まりが4つあるということが分かります。
したがって 13×4 で求めることができます。

(2)
猫を5匹飼っています。チュールというおやつがありますが、1匹につき3本買おうと思いました。何本買えばよいかどのように計算すればよいでしょうか。
(答え)
猫5匹に3本づつあげると考えると 、5+5+5=5×3 となります。

(3)
定員3名のカヌーが9個あります。3×9で何を求めているでしょうか。
(答え)
カヌーに乗れる全体の人の数を求めています。

(6)九九

九九というのは1桁どうしの掛け算を呪文のように覚えるものです。
これは実際に聞いてみてほしいのですが、かけ算は逆でも数が一緒という性質があります。
そのため 8×9 が言いにくい場合、9×8 を考えても特に問題ないということになります。
さらに1×(ある数)=(ある数)となり、1をかけても数は変化しません。
そこで九九の表を見た時に黄色の部分がある程度パッと出てくるようになれば、この後の学習についても特に問題ないです。
一旦は全て練習してみて、最低限以下の黄色の部分が分かれば大丈夫位に考えてもらえればと思います。

九九の表

0×(数)は数の固まりが1つもないので、0になります。
また10のかけ算は10×1=10、10×5=50、10×9=90 といった感じで位が一つ上がるといった結果となります。

[算数の問題]
(1) 九九で計算してみてください
8×6=□
□=9×7
(答え)
8×6 でも 6×8 でも言いやすい方でいいです。48
9×7 でも 7×9 でも言いやすい方でいいです。63

(2) 次の計算は正しいでしょうか
8×6=(8×2)+(8×4)
(答え)
まず普通に計算してみます。8×6=48
8×2=16、8×4=32 となるので 16+32=48
したがって計算は正しいです。
これは 8が6セットあるのを計算するときに、8の2セットと8の4セットに分けて計算しているだけなので答えは同じになります。
このかけ算のイメージは、持っていてほしいと思います。

分配法則

(3)
□=4×11 を求めてください。
<ヒント.4の固まりが11個ありますが、10のかけ算については紹介しました。(2)のイメージと合わせて考えてみてください。>
(答え)
11を10と1に分けてかんがえてみましょう。すると以下のように計算できます。
4×11=(4×10)+(4×1)=40+4=44

(7)「かける数」と「かけられる数」

(小学生向け)
かけ算は「1つ分の数×いくつ分」で求められます。
1つ分の数を「かけられる数」といい、いくつ分が「かける数」のことで、
「かけられる数」×「かける数」で書くと分かりやすくなります。
言ってることが分からないと思いますので、まず足し算で考えてください。
3+3+3+3 
この時、「1つ分の数」=「かけられる数」=3です。
「いくつ分」=「かける数」=4(繰り返す回数) です。
そのため 3+3+3+3 =3×4 になります。
この順番をまずは身に着けると、良く分からない減点はされなくなると思います。

(大人向け)
かけ算に順番があり逆にすると減点されるという例は海外でもあるようです。
ですが海外の場合、「かける数」×「かけられる数」の順番で書かないと減点されます。
この時点でかけ算に順番があることを主張することは、単なる人間が決めた決まりであって、数学的な便利さも世界で統一された基準でもないことがわかります。

幼少期の子供には色々な考え方を紹介すると混乱するために、一つの考え方を型として徹底したいという考えがあること自体は分かります。
指導要領に「被乗数と乗数の順序に関する約束が必要である」と記載されていますが、これは子供が正しい理解をするために必要だと考えているものだと考えています。
ですが子供がかけ算の考え方を理解しているか見たいのであれば、足し算で表現できるのか見ればよいと思いますし、逆に書いたとしても減点せずに、赤字で「まずは「かける数」×「かけられる数」の順番で書くようにしよう」位でいいと思います。

例えば以下の例を考えてみます。
「クッキーを3人の子供に4個ずつ配るとき、クッキーは全部で何個必要でしょうか。」
教育サイドの懸念されていることは3と4とかけ算の問題だから、3と4を掛ければいいんだろうと何も考えずに3×4や4×3をすることだと思います。
ですが、考えた子供であっても、以下の2つの考え方ができます。
①3人の子どもが1個、2個、3個、4個と食べるから、3+3+3+3=3×4
➁4個のクッキーが3セットあるから 4+4+4=4×3
つまりよくよく考えた子でも逆に計算し、それを×にするリスクがあります。
これは最も危険なリスクで優秀な子供が算数を嫌いになるリスクがあります。
それに比べれば良く考えずに、4×3が正解だった子供を○にしてしまうリスクは無視できると思います。<人生はそういうことが良くあるので>
どうせ日本は世界とは逆を正しいと教えているんだから、授業では順番を教える、テストでは○を付けたうえで赤字で「まずは「かける数」×「かけられる数」の順番で書くようにしよう」と書くくらいの対応でよいのではないかと思います。

また子供には色々教えると混乱するという考え方も分かるのですが、その決めた一つの教え方がそもそも理解できない考え方であれば何も身につかないと思います。
そのためAという考え方を示し理解してもらったら、その考え方だけでいいと思いますし、分からない子にはBやCといった別の考え方を示し、どれかヒットするまでやるのが一番いいと思います。

例えばかけ算の例で言えば、足し算の繰り返しの方が分かりやすいか、「数のかたまり」の方が分かりやすいか、「1つ分の数」のほうが分かりやすいかは人それぞれです。
ですから全ての考え方を2年生の子に一気に与えるのではなく、手札を多くもっておいてどれかの説明が子供にヒットすればよいと考えればいいと思います。
色々な説明をするのは先生が大変だと思いますので、そこは動画等を含めたやり方でフォローする方法もあると思います。






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