【感想】ガールズバンドクライ(第一話)
●記事概要
2024年4月5日より放送開始のアニメ「ガールズバンドクライ」。
本作はアニメ放送開始前からライブなどの施策を行っているようだが、筆者はそれ以外の知識はほぼなし。先輩オタクがえらくハマっているということでチェックしてみた次第だが、せっかくなので各話の感想を書いていきたいと思っている。
以下、第一話全編の内容に触れていますのでご注意ください。
<アニメ公式サイト>
●冒頭
主人公の少女、井芹仁菜が新幹線で上京してくるという冒頭。
寝ながら音楽を聴いている。夢の光景か、学校の廊下?を走っている少女。階段を駆け上がり、扉を開けると宇宙・・・そこへ飛び出す少女。この曲から少女が受け取っているイメージなのかもしれない。あるいは、この旅に抱いているイメージなのか。
一瞬しか映らないが、額に絆創膏がある。OP映像にも絆創膏を貼っている仁菜のカットが数か所あり・・・彼女の過去に関係ありそうだ。
降りるべき駅を寝過ごしてしまったり、改札で引っかかったり・・・多少そそっかしい性格なのかもしれない。
仁菜の声はいい意味で声優っぽくない。素朴な印象を受ける。見た目相応という感じ。
改札を出て東京駅のドームを見上げる仁菜。光あふれる光景に感嘆の声をあげる。「わいさーい」?何て?方言かもしれない。後でわかったが、熊本弁のようだ。
電車に乗っている仁菜のモノローグ。
「17歳、3月、私は東京に来た。負けたくないから。間違ってないから」
何か事情があるようだ。外を見ていると雪が降ってくる。東京で3月に降る雪はなかなか珍しい。わけありの少女の前途を祝福しているのかもしれない。しかし、写真でも撮ろうとしたのか、仁菜が外に向かってスマホを構えるとその瞬間、電池が切れてしまった。前途多難を予感させつつ、仁菜の悲鳴からOPへ。
●OP
本編はCGアニメだが、OPは一部2Dアニメで、そこがまずちょっと驚いた。
早口のボーカル。曲のテンポは速く、曲調は激しいギターロック。ピアノの音色が入っているのが印象的だ。
ヘンなところに注目するようで恐縮だが、サビ前の、急かすようなドラムスティックを打ち合わせる音が「生」っぽくてカッコいい。
映像でも随所で表現されているが、「手」はこの曲、ひいてはこの作品のひとつのキーワードなのかもしれない。
仁菜を含めて5人組のバンドになるようだ。曲名と「トゲナシトゲアリ」のクレジット。これが仁菜たちのバンド名であるということは前情報として知っていた。トゲが多いから「トゲトゲ」という名前がついたが、後々トゲの無い種類が見つかってそれには「トゲナシトゲトゲ」という名前がつき、さらにその中にもトゲのある種類が見つかって「トゲアリトゲナシトゲトゲ」という名前がついた・・・という冗談みたいな逸話を持っているこの虫のことは、知っている人は知っているかもしれない。おそらくこれが由来になっているのだろうと思うが、作中、どんな経緯でこのバンド名に決まっていくのかも気になるところ。
<OP「雑踏、僕らの街」>
●Aパート
各話サブタイトル
夜の街、画面に第一話サブタイトル。「東京ワッショイ」
おっさん過ぎるだろ・・・というのも、これは1979年に発表された遠藤賢司のアルバム、および収録曲のタイトルだ。
脚本の花田十輝氏によると、「各話のサブタイに思いは込めた」とのこと。今後のサブタイトルもなんらかの曲名になる様子だ。
実際、「東京ワッショイ」も興味があれば聴いてみて頂きたいが、歌詞を見るとひとり上京してきた仁菜へのエールのようにも思える。
<花田氏のツイート>
家族との関係、桃香との出会い
新居に入れず、隣人の親切な申し出も断ってしまう仁菜。このような場面でも人を頼らない、頼れない性格なのか。
カフェでの通話のシーン。着信画面に一瞬表示された「鈴音」は通話の内容からすると、姉だろうか。母親と、父親、おじさんの存在もうかがえる。
姉の方は声に心配をにじませる部分もあり、仁菜との関係性はまだよくわからないが、電話越しに聞こえた父親らしき人物の「うるさか、ほっとけ」という言葉は冷たい。
周囲が暗くなり、仁菜の身体からトゲのようなものが放射する演出は、仁菜のささくれだった心象を表しているのだろうか。おそらく前述の「トゲトゲ」に関わる演出なのではないかと思うが、現時点ではハリネズミとか、ヤマアラシなんかも想像してしまう。
路上ライブする桃香との出会いのシーン。
仁菜はダイヤモンドダスト・・・桃香のファンだという。冒頭の新幹線で聴いていたのも桃香(たち)の曲だろう。
そっけないかと思いきや、気さくに応じてくれる桃香。
他のストリートミュージシャンとの縄張り争い(?)に巻き込まれて、桃香と一緒に逃げる仁菜。
二人組に中指を立てる桃香。アナーキー・・・は言い過ぎかもしれないが、負けん気の強い性格がうかがえる。
途中、陸橋の上でお互いに名乗る二人。ここで信号が青・・・「進め」のサインであるところに注目したい。
牛丼屋で新居に入れない事情を語る仁菜。仁菜は新居の川崎を東京だと思っていたが、実は神奈川だったということがわかる。
ダイヤモンドダストが「地元でやる予定だったライブ」のチケットを持っていて、サインをねだる仁菜だが、そこに牛丼が届く。
牛丼を食べたことが無かったという仁菜に「お嬢様?」と言う桃香。
「家訓」の話が出るが、なかなか普通ではない印象を受ける。(実際にこんな額縁が飾ってあるのだとしたら、なおさらだ)
そういえばOP映像にも「家訓」が映っているカットがある。そこでの仁菜の姿は「マリオネット(操り人形)」のイメージだった。仁菜の実家での立場が表現されているのだろうか。
「お嬢様?」と問われて仁菜は「そういうわけじゃないですけど・・・」と返すが、服装や、やや世間知らずなところ、礼儀正しい態度などからは育ちの良さがうかがえる。中指を立てることの意味も知らない。
桃香のはぐらかしを真に受けて「中指を立てる」=「ありがとう」だと思ってしまった仁菜。満面の笑顔でこちらも笑ってしまった。
桃香の家に招かれる仁菜。そこで桃香のギターを持たせてもらう。弾いたことはないが、憧れがあるらしい。
会話の中で仁菜がどうやら高校に行っていないらしいということや、桃香の年齢が20歳であることがわかったりしつつ、改めて先ほどのチケットにサインをねだろうとする仁菜だが、ここで桃香から「明日旭川に帰る」という衝撃の一言。北海道出身なんですね・・・
●Bパート
お互いの話
音楽も辞めてしまうと言う桃香。話からすると、主に金銭的な理由らしい。しかも自分の作った曲の権利を他人に渡してしまったとか。
納得行かず食い下がる仁菜に、「さすが肥後もっこす・・・」とつぶやく桃香。「あたんみゃーたい(当たり前だ)」と返す仁菜。意外に強情な一面があるとわかる。あとこのへんはコロコロと変わる仁菜の表情の百面相が楽しい。
貯金や、家を出るときに少しお金をもらった・・・という仁菜の話に「楽勝じゃん」と返す桃香。しかしその言葉が「トゲ」に触れてしまったらしく、「それだけで私の何がわかるのか」と仁菜は桃香の家を飛び出してしまう。
しかし仁菜の忘れていったスマホを持って追いかけてきた桃香。
「足、はえぇんだな」
どうでもいいが、これいわゆる「おまえ・・・意外とまつ毛、長いんだな」みたいなやつでは・・・(突然の百合厨)(ご無礼)
仁菜に頭を下げて謝罪する桃香。
「その歳で高校辞めて、こっちに出てきたんだもんな・・・楽勝なわけないよな」
さらにお互いのことを話す二人。
仁菜は夢があって上京したというわけではないらしい。まだ具体的な事情はわからないが、やむを得ず、しかし状況に「負けたくない」という意志を持ってここまで来たようだ。
桃香もバンドメンバーとの喧嘩別れについて仁菜に聞かせてくれる。メンバーは音楽を続けていくということで、曲の権利を渡してしまったらしい。
「またいい曲書けばいいやって、そんときは思ったんだけどねえ」
「そん時は」とやや後悔をにじませてはいるが、非常にサバけた性格なのだろう。
それで距離が(色んな意味で)縮まったのか、今度はカラオケに行く二人。
ダイヤモンドダスト(桃香)の曲は自分にとって「テーマ曲」だと言う仁菜。
それに対して桃香は、先ほどのストリートライブが、ダイヤモンドダストの歌を歌う最後だったと言う。
「私・・・」と何か言おうとする仁菜だが、桃香にはぐらかされる。
その後は、おそらくそのままカラオケを歌って桃香の家に戻ったのだろう。
一緒に
翌朝、桃香の家で目覚める仁菜。そこに桃香の姿は無く、書き置きがあり、「駅前をぶらついて帰る」「私のギター、もらってくれ」とあった。
桃香のギターを背負い、不動産屋で鍵を受取る仁菜。
(おそらく同席していた)おじさんに対してこっそり中指を立てる。
ギターを持って新居に着くと、ポケットに何か入っているのに気がつく。そこには桃香のサインが書かれたチケットがあった。
そしてギターケースを開けてみると、そこには・・・
ギターを裸のまま抱えて、走り出す仁菜。駅前で桃香の姿を探すが、見つからず・・・
Aパートで登場した縄張り争いの二人が路上ライブをやっているところに礼儀正しく乱入し、マイクで桃香に呼びかける仁菜。
尋常ではない仁菜の様子に、「大丈夫か?」と声をかける縄張り争いの人。
「本当にいいんですか?終わったら、終わっちゃうんですよ?終わりって自分で言ったら、本当に終わっちゃうんですよ?」
「めちゃくちゃわがままで、めちゃくちゃ自分勝手なことを言います」
「私、負けたくなくてここに来ました・・・だから桃香さんにも負けないでほしい」
「一緒に・・・一緒に中指立ててください!!」
ここで思い出すのだが、作中で桃香が、「中指を立てる」ことの意味を仁菜に具体的にどう説明したのか(仁菜が具体的にどういう意味として認識しているのか)というところは描かれていない。
そしてそこがいい。そこに想像力をかきたてられるからだ。
すると、ギターの音が響き・・・
「歌えるよな?」
「はい!」
ライブシーン
そして始まるライブシーン。
そして即興で二人に合わせる縄張り争いの人。
途中、テストの答案用紙?の上でもう一人の自分と対峙する仁菜。学校に通っていた頃の彼女、というイメージだろう。
仁菜のシャウトが響き渡る・・・この作品においては「クライ」と言うべきかもしれない。
<第一話挿入歌「空の箱」>
曲終わりで第一話終了。
●全体的な感想
比較的王道な構成の第一話だったと思うが、それが退屈というわけでもない。
CGアニメということで、その点であまり受け付けない人もいるかもしれない。(筆者もどちらかと言えば2Dアニメの方が好みではある)
だがキャラクターの動きや表情は表現豊かで、個人の好みにはなってしまうが、筆者としてはコミカル過ぎず、地味過ぎず、いいバランスだと思う。
表情がコロコロ変わる仁菜ちゃんかわいいよ仁菜ちゃん。
また本作の肝たる楽曲についてだが、正直、現時点でめちゃくちゃ好きというわけではないが、本編のライブシーン(映像)含めて「おっ」と感じる瞬間がある。特に仁菜ちゃんの切々とした歌声は、(これも個人のイメージによるが)「ガールズバンド感」があっていいと思う。
今のところあえて声優さんなどの詳しい情報を調べていないが、年齢感というか、大人っぽすぎず、子供すぎない。まさに仁菜の年齢である17歳という感じの声が曲調や歌詞にマッチしているように思う。
今後どうなっていくのか、他のバンドメンバーの登場や他の楽曲にも期待して次週を待ちたいと思う。
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