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よくできたウソ


 昔、中国で幼帝が位につき、ある宦官(かんがん)が権力をほしいまま手にした時代があったそうです。宦官は幼帝を軽んじ、ある日「馬を献上します」と言って、鹿を献上しました。幼帝でも馬と鹿の区別はつきます。「これは馬ではない鹿だ、皆の者そうであろう」幼帝は家臣たちに問います。家臣たちの意見は分かれます。真に皇帝に仕えるものは「鹿である」と言い、宦官が怖いものは「馬だ」と言う。幼帝に何の力もなく、「鹿である」と言ったものは宦官に殺されます。
 これが馬鹿の語源であるという話を複数回聞いたことがあります。
 意味深いお話ですね。馬を鹿と言った者が馬鹿なのか、鹿を馬と言った者が馬鹿なのか。現在の私たちにも突き付けて、考えさせる物語です。
 どうもこれ、ウソらしいです。フェイク故事です。いえ、そういう中国の故事は確かにあるのですが、それが馬鹿の語源になったというのはウソなのです。
中国の人に「馬鹿」という単語には特別な意味があるか聞いてみたら、これは「『馬』と『鹿』で特別な意味はない」とのことでした。
 辞書で調べるとバカは梵語の「moha=無知」が語源だそうです。馬鹿は当て字だそうです。これが有力な説だそうです。
本当かもしれないけど、つまらないですね。
 こんなよくできたウソを思いついて、広めたのは誰なんでしょう? これはもうこっちが本当でいいんじゃないかなぁ?
 私もこんなよくできたウソを思いついて、広めてみたいなぁ。
イラスト by 八緒 のら

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