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【振り返り】「経営企画カンファレンス2023」(2023.06.06)

経営企画としての私

私が自分の職業を聞かれたときに答えるのが「経営企画」です。
おかげさまで"CFO"や"IRの人"としてもお声がけ頂くことがありますが、本職は『経営企画』だと思っています。

これは、経営企画という職種が、なんでもできるからです。
例えば営業職であれば営業をし、経理職であれば経理です。
とてもわかりやすいですね(笑)。

これに対して「経営企画」は、各社によって、または各人によってほぼ全員が異なる業務を担っています。
新しく発生したり、主管部門が決まっていないのに誰かがリードしなければいけない案件というのは、どの会社でも必ず発生します。
「経営企画」は、そんなときに手を挙げれば任せてもらえる「遊軍」「何でも屋」的な動きができます。

2023年にSCALE CLOUD様のお声がけで、この経営企画職のサミット「経営企画カンファレンス2023」に登壇させて頂きました。
2024年も開催が決まっており、こちらも多くの方がいらっしゃるようです。
これに先立ちまして、まずは前回の登壇したときのことを振り返ってみたいと思います。


「経営企画カンファレンス2023」とは

『経営企画カンファレンス2023』(2023.06.06)(https://scalecloud.jp/download/conference2023_sessionlist

このカンファレンスでは、セッション毎に2名のパネラーと、1名のファシリテーターの方が話をするというスタイルでした。

「1.PL管理とKPI管理の一元化」、「2.大企業/上場企業における予実管理」、「3.攻めと守りのIR戦略」、「4.経営企画のキャリアアップ」、「5.経営企画組織のつくり方」、そして「6.スタートアップ企業/上場準備企業における予実管理」の6つのセッションがあり、私は「5.経営企画組織のつくり方」に登壇しています。

「5.経営企画組織のつくり方」
https://scalecloud.jp/download/conference2023_session05

セッションの内容としては、「経営企画部発足タイミングはどんなフェーズか」や「社内から抜擢?社外から登用?」といったものです。

私はこれまで異なる5つの業界で働いてきましたが、いずれも規模、フェーズ、既存の管理部門・経営企画部門の状態が異なる会社で働いてきました。

「こうやったら上手くいきます!」という必勝方法は私もまだ見つけられていませんが、「こういう苦労は発生しますよ・・」や「こういうトラブルがありますので気をつけてくださいね・・」といったことはお話しできるかなと思って登壇させて頂きました。

このカンファレンスの登壇者の方たちは、経営企画界隈では有名人揃いで、セッションの組み合わせが発表されたときも「ビットキーの福澤さんとベーシックの角田さんだ!」と嬉しかったのを覚えています。

ファシリテーターの福澤さんは、人づてではありますが非常に人をまとめるのがうまい方だと聞いていたので、私は流れに乗る気で全てまかせようと思っていました(笑)。

同じ登壇者の角田さんは、国内最大級の経営企画コミュニティを運営されている方で、経営企画"も"できる、管理部門全般をカバーされる守備範囲の広い方というイメージでした。

お2人とも尖っているのに柔らかく、仲良くなれそうな方たちだなというのが顔合わせのときの第一印象で、本番のセッションも楽しく話させて頂きました♪


組織における「経営企画職」とは

そもそも前述のように、「経営企画職」というのは非常に定義が曖昧な職種です。
私がよく受ける質問の一つが「いつ経営企画部門を作ると良いか」です。

私は「事業が拡大に入った時期ぐらい」だと思います。

用意したスライド「組織における「経営企画職」とは」

上記の図にある、起業したばかりの「0→1フェーズ(創業期)」や「1→10フェーズ(過渡期)」では、経営や企画をする職種は、いればいいですが、まずは売上や利益を出すこと・伸ばすことが第一だと思います。

(1) 0→1フェーズ(創業期)

起業したばかりは、まず人がいません。社員は社長と数名、夢はあるけどプロダクトはない、という状態だと思います。

社長が先頭にたってプロダクトやサービスを考え、売り歩き、帰社(帰宅?)するとメール等の対応や月末になると支払いをする、というのが実態です。

この時期に私が「IPOについてですが・・」と言ったらどうでしょう?違和感しかありません。

もし私が誘って頂けるとしたら、社長の夢がどう実現していくかの壁打ちをしつつ、一緒に営業をまわり、メール等の対応や拙い経理業務を精一杯やると思います。

(2) 1→10フェーズ(過渡期)

人数も増え始め、会社を代表するプロダクトやサービスのプロトタイプが定まり始める時期だと思います。

この頃になると営業チーム、エンジニアチームといった、なんとなくの組織っぽいものができています。「チーム」といっても一人部署かもしれませんが・・。

社長が「社長業」を始めるのもこのフェーズだと思います。
それまで一緒にプロダクトやサービスを作っていた社長が、いきなり株主と話しはじめたり、社外の人と会ったりするので、「社長も変わったよね・・」と初期メンバーに思われてしまうかわいそうな時期です。

私はフェーズで入社したことが2回あります。
「経営企画室長」という職位でしたが、当然一人部署です。
自分が培ってきた経験やネットワークを活かし、会社に新しい「勢い」を生みます。

時にはハレーション(「好ましくない影響を他人に与えること」「周りに悪影響を及ぼすこと」)も生じますが、会社や組織を一気に成長させるには躊躇できません。

これはこれまでの組織にはなかった機能であり、新しいことをする人は必ず「なんだコイツ??」という目で見られます。

この「なんだコイツ??」を黙らすには、「成果をもって自分の価値を実感してもらう」「協調しながら一緒に歩む」「無視して突き進む」など、それぞれのスタイルがあると思います。

私は「新参者」は、どの職種であれ自分を迎え入れてくれた組織やメンバーに感謝し、尊重しつつ自分の色を出すべきだと思っています。

特に新しい職種の一人目の人は、その会社や組織にない機能なので入社する側もですが、受け入れる側もおっかなビックリです(笑)。

ちゃんと朝は挨拶をし、仕事をちゃんとすれば、成果が出るまでの時間に差はあると思いますがいずれ受け入れてくれるようになります。
「自分の色」を出すのはそれぐらいからでもいいのではないでしょうか・・。

(3) 10→100フェーズ(拡大期)

この時期になると、即戦力が求められ、即戦力が採用できるようになります。
「即戦力」と言われる方たちは、それまでどこかで腕を磨いています。
そのような方たちが新たな場として転職をしてきてくれます。

「即戦力」クラスの方で、思い切りがあって、リスクを取ることを厭わない方は起業という選択肢もありますが、多くの方は転職を選びます。
この方たちの”視界”に社名が入るようになるのがこのフェーズの企業です

どの企業にも成長の機会があるように、リスクも内包しています。
給与水準や家族・パートナーへの配慮も考えると、このフェーズへの転職が一番安定感があると判断するのもわかる気がします。

この時期に企業側で発生するのは、組織の拡大と共に「社長が全社を見れなくなる」という状態です。

従業員数が増えるのはもちちろん、部署も、プロダクトやサービスの数、取引先も相当な量になります。

これらを効率的に運用するために部署が作られ、部門長を選任するなど組織化がはじまるフェーズです。

「組織化」といってもまだ属人性が強く、部門長が替わると大きく悪化してしまう危うさもあります。
これへの対応としては、人材を採用し、属人性を最小限に抑える備えをするしかありません。

そして社長は、社長にしかできない「社長業」への比重が増え始めます。
メンバーとの交流は減り、各部門を担う管理職としか綿密なコミュニケーションが取れなくなります。

少人数のときには阿吽の呼吸でわかってもらえたことが伝わらず、溝が生まれます。
社風やミッションなど、会社の最上位概念を重要になるので、それを定めるのも社長です。
調達をしていれば株主と、上場していればIRと、社長が行うのが一番効果的な業務も発生します。

こうなってくると経営管理を専門に行う「経営企画職」は活きてきます。

もちろん求められる業務は会社によって異なると思います。
IPO準備、IR、M&A、経営管理、管理部門の統括..。
採用をする側は、経営企画職を採用するのではなく、上記のような「会社が求める業務」で判断して採用するとミスマッチも少ないかと思います。

採用される「経営企画職」側は、オファー内容が精査されていない(イメージが明確ではないため)ことや、入社後に聞いていた話と違う場合もあるかとは思いますが、「そんなもの」、です。選んだのはあなたです。諦めて日々がんばりましょう(笑)。

特に大きな企業から転職される方は、このフェーズの企業であればちゃんとしていると思っていらっしゃることが多いですが、まだこのフェーズの会社は大企業に比べれば未整備みたいなものです。

求められていることをやらないことや、そのミスマッチを埋める努力をしない方がいらっしゃいます。
自分が選んだ会社ですし、未整備の段階だからこそ自分が引っ張るぞ!という気概を持ちましょう。
努力する人、一緒にがんばろうと思っている人を受け入れないほどスタートアップは冷たくありません。

(4) 100~フェーズ(組織的対応期)

この時期になると、その会社の「経営企画」が何をやっているか、業務分掌規程はもちろん、社内でも認知されていると思います。
採用についても、「経営企画職」ではなく、業務内容別に、そして一定のスキルかポテンシャルが求められます。

例えば、以下のような感じになります。
(必須)
 ・上場企業の予算実績管理の経験
 ・管理会計の理解と実務経験
 ・開示(適時開示必須。法定開示は理解程度で可)
(あれば望ましいスキル・資格)
 ・英語(ビジネスレベル)
 ・公認会計士

この募集要項であれば、紹介してくれるエージェントも理解でき、求職者側のミスマッチもほぼありません。
私はあまり専業化されている組織は好きではないので、「業務範囲が狭くて窮屈そうだな・・」と思ってしまいますが(笑)

組織が大きくなると、業務範囲は狭くなりますが、その職種のプロフェッショナルだらけですし、育成もそのようになっています。

私は一つ軸となる業務があるとそれを武器に横展開をして業務範囲を広げらえると思っているので、大企業でしっかりと基礎を磨かれた方はスタートアップでも活躍できると思っています。
多少のカルチャーギャップは耐えて頂くとして・・。


社内から抜擢?社外から登用?

理想をいえば、すべての職種は社内で育成し、抜擢するべきだと思います。
経営企画職においてもこれは同様です。

用意したスライド「経営企画部門の組織設計」

ところが実際に経営企画職の人数は多くありません。これは育成の難しさがあると思います。

例えば営業職ですが、どこの会社にも必ずある職種であり、社内にロールモデルとなる方が存在します。
更にある程度の育成メソッドもあり、未経験でもその育成メソッドで基礎が学ぶことができ、その上で独自のスキルを身に付けることができます。

これに対して経営企画職は、社内にロールモデルとなる方がいない場合が多いです。
社内にロールモデルが、社外にメンターがいることは、人が成長するためには非常に効果的だと思います。

私は最初の会社で経営企画職とCFO職のロールモデルとなる方がいらっしゃり、お2人と仕事をすることで仕事の型ができたことが、守破離でいう「守」になりました。
そして大学院でファイナンスやアカデミックな考え方を学んだり、さまざまな業界やフェーズの会社を経験することで、守破離の「破」になったと思います。
守破離の「離」は、型や考えから離れ新しいものを生み出すことですが、今のところ離職の「離」なので大きなことは言えませんが・・。

このように、私には優れたロールモデルが身近にいらっしゃり、厳しくも優しい(そして過酷な・・)指導を受け、新卒2年目の未経験ながら経営企画職に抜擢してもらえたという幸運があります。
私は自他ともに認める「運がいい男」ですが、このような幸運は残念ながら皆さんに等しく発生しません。

そして企業側も経営企画職を必要とする段階で即戦力を求めます。
たとえば社長が上場するぞ!と決め、3年後のIPOを目指して、管理部門や経営企画部門を設けたいとします。
その企業は3年間でIPOやその後のIRなどを担える人材を0から育成できるでしょうか?
または、社内にいる方が成長するのを待って、その時期にIPOの時期を延ばすでしょうか・・。

このような場合は、やはり即戦力である社外から採用し、その人をリーダーとして進めていくのが一番だと思います。

そして、その即戦力として採用された方は会社のカルチャーを大切にし、既存の組織に不足している「+α」として求められているスキルや経験を発揮し、既存の社員の方を巻き込みながら会社を強くするのが理想ではないでしょうか。

用意したスライド「経営企画部門の作り方」

こうしてできた「経営企画部門」も、いずれ業務が定まり、ロールモデルとなる人物も生まれ、属人性が排された組織として安定稼働すると思います

ということを言いたかったのですが、この登壇では「採用したほうがいいですね」「組織はスクラップ&ビルド」的な発言をしてしまい、自身のトーク力のなさに涙した思いをこの記事を書きながら思い出しました(笑)


「経営企画カンファレンス2024」にむけて

2024年の「経営企画カンファレンス2024」もいよいよ来週となりました。

https://scalecloud.jp/seminars/conference_2024/

今年 私が頂いたテーマは『市場で評価される経営企画人材とは』(登壇予定時間:13:35-14:25)です。
(お前が「市場で評価される経営企画人材」か!)というツッコミは重々承知していますが、クレームは運営者のScale Cloud社様へお願いいたします・・。

今回はちょっと番宣っぽくなりましたが、私のトークスキルが未熟なので「あれも話せば良かった・・」「本当はこういう意図だったのに・・」といつも思うので、これからは登壇後に振り返りも兼ねてこのような記事を出していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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